BBCが選ぶ映画100本、黒澤明が選んだ映画100本
今月23日、イギリスの公共放送局BBC(英国放送協会)が選んだ、「21世紀の偉大な映画ベスト100」というランキングが発表された。
4位に、宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』が入ったというので、話題になっている。
というか、100本の中に、日本映画は、これ1本だけなのだ。
むしろ、そちらのほうを話題にすべきかも(笑)。
で、100本のうち、1位から10位までを見てみると・・・
1.『マルホランド・ドライブ』(2001、デヴィッド・リンチ)
2.『花様年華(かようねんか)』(2000、ウォン・カーウァイ)
3.『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』
(2007、ポール・トーマス・アンダーソン)
4.『千と千尋の神隠し』(2001、宮崎駿)
5.『6才のボクが、大人になるまで。』(2014、リチャード・リンクレイター)
6.『エターナル・サンシャイン』(2004、ミシェル・ゴンドリー)
7.『ツリー・オブ・ライフ』(2011、テレンス・マリック)
8.『ヤンヤン 夏の想い出』(2000、エドワード・ヤン)
9.『別離』(2011、アスガー・ファルハディ)
10.『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』
(2013、ジョエル、イーサン・コーエン)
・・・うーん、かなりシブい選択であることが、わかる。
「100本の映画を選ぶ」ということで、思い出したのが、黒澤和子:編『黒澤明が選んだ100本の映画』(文春新書)だ。
もちろんBBCのような、「21世紀の・・」ではないけれど、あの黒澤明監督が、自分の好きな映画作品とその理由を率直に語っている。
たとえば、尊敬と憧れの対象だったジョン・フォード監督『荒野の決闘』。
カメラワークの勉強になったと語る『第三の男』。
テンポとラストに感心したという『太陽がいっぱい』。
さらに、ウディ・アレン『アニー・ホール』も。
邦画では小津安二郎『晩春』、成瀬巳喜男『浮雲』から、『となりのトトロ』や北野武監督作品にまで言及している。
愛娘である和子さんを相手にしての感想、インタビューでの言葉、そして作品解説などで構成されている本書。映画にまつわる巨匠の”肉声”を聴けることが最大の贈り物だ。