杏子と餡子の甘酸っぱい関係?月島の老舗「古埜木堂」さんのあんず巻きは月島の名物和菓子になるのかも
ノスタルジック、商店街、路地裏…そんな「レトロ」な響きが似合う街、月島。今では西仲通りという商店街はもんじゃ焼き屋さんがひしめき合い、その隙間を縫うように人々の生活の息吹を感じ、観光客よりもローカルな人たちで盛り上がりを見せるような居酒屋さんが建ち並ぶ、ある意味カオスともいえる街です。
その歴史は古く、約130年の歴史を紡いでいるといわれています。その間関東大震災等もありましたが、当時近隣に集積していた石川島造船所を代表とする工業で栄えた街であったことから、復興も早かったといわれています。
さて、今回ご紹介する和菓子は月島で99年の歴史を紡ぐ街の和菓子屋さん「古埜木堂」さんの「あんず巻き」です。
ご覧ください。このクレイジーともいうべきドライ杏子の量を!一枚皮にこし餡とドライ杏子を巻きこんだ構造自体は非常にシンプルな和菓子なのですが、こし餡とどらい杏子の比率が半々、むしろ杏子の方が多いのではないでしょうか…。丁寧に刻まれた杏子はやや大ぶりで、こちらはきちんと杏子の食感や甘酸っぱさをダイレクトに感じてもらえるようにと試作を重ねてたどり着いた大きさだとか。確かにしゃきしゃきという歯ごたえと耳に響く音は、他に類を見ないかもしれません。きゅんと頬の内側が締め付けられるような甘酸っぱさも心地よいスパイス。
杏子に頼ることなく、皮とこし餡にも拘りが。皮は極力空気を含ませないようにかつ滑らかになるように混ぜ合わせ、薄く均一になるように焼き上げるとのこと。お砂糖などの甘味料や薄力粉の量もどら焼きの皮と全く異なり、更にこし餡もこのあんず巻きのためだけに調整しているのだとか。
また、半分に折りたたむのではなくあえてスティック状にしたのは、どこから食べても杏子やこし餡を一緒に召し上がっていただけるようにという配慮だからだとか。
さて、ここでちょっと小話を。
月島のもんじゃ焼き屋さんには「あんこ巻き」という、あんこと杏子を生地で巻いた和製クレープのようなデザートがあるのですが、こちらはとある老舗のもんじゃ焼き屋さんが始めたら人気に火が付いたので、あちこちに広まったんだよと古埜木堂のご主人。
あんずと餡子、月島の歴史を語る上では切っても切れない甘酸っぱい関係なんですね。
<古埜木堂>
東京都中央区月島1-6-12
03-3531-1062
9時30分~17時
定休日 日曜日(※お盆期間など変動有)