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各ポジションをカバーする概念。いまだ日本サッカーに浸透せず

杉山茂樹スポーツライター
(写真:アフロスポーツ)

 名古屋グランパスとセレッソ大阪が対戦したルヴァンカップ決勝。結果は2-0で名古屋に軍配が挙がった。しかし、支配率が高かったのはC大阪(63%)。持たされていたと言うよりゲームをコントロールしていた印象だ。後ろで守ろうとした名古屋に対し、C大阪は相手陣内でプレーしようとした。

 よって目はおのずとC大阪の展開力に注視させられることになった。布陣は4-4-2。なにより浮き彫りになったのは、左から、乾貴士、原川力、奧埜博亮、坂元達裕と並ぶ4人の中盤が、左右対称の関係にないことだった。右の坂元達裕が開き気味に構えたのに対し、左の乾はやや内側にポジションを取った。右サイドは、坂元と右サイドバック(SB)松田力が高い位置と低い位置で縦の関係を築くことができていた。両者がサイドアタッカー然と構えたのに対し、左は左SB丸橋祐介が1人でサイドに張ることになった。

 松田(右SB)と丸橋(左SB)の関係も対称ではなかった。松田が、坂元との上下関係を意識するように構えたのに対し、左のタッチライン際を1人でカバーする丸橋は、松田より高めの位置で構えた。右と左とでは様子が違ったのである。

 ウイングバックが単独でタッチライン際に張り出す3バック(5バック)は、左右対称になりやすいが、4-4-2や4-2-3-1、4-3-3のように、サイドアタッカーを両サイドに各2人を擁すサッカーは、左右対称の場合もあれば、非対称の場合もある。チームの特徴が現れやすいポイントになる。

 C大阪は乾がスペインから戻る前に、その左サイドを務めていた清武弘嗣も、現在と同じ傾向を示した。清武もまた真ん中に入り込んで構える機会が多い選手となる。

 なぜこのような現象が起きるのか。選手が勝手に動きやすい位置に移動してしまう状態を、ベンチは追認というか黙認しているのか。それともベンチの指示に基づいた動きなのか。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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