30年の時を経てついにメニューになった! 二度と味わえない「幻の豚骨醤油」ラーメンとは?
30年前は1店舗しかなかった『博多一風堂』
1994年に開業した『新横浜ラーメン博物館』(神奈川県横浜市港北区新横浜2-14-21))は、今年創業30周年を迎えた。その記念企画として、これまでラーメン博物館に出店して来た店が入れ替わりで期間限定出店するプロジェクト「あの銘店をもう一度」を展開中。これまで多くの人気ラーメン店が再びラーメン博物館に帰ってきて、リレー形式で出店を重ねてきた。
1994年のラーメン博物館開業時から2001年まで、7年の間出店していた『博多一風堂』も23年振りにラーメン博物館に暖簾を掲げ、5月12日(日)まで期間限定で出店している。現在では国内約150店舗、海外を合わせると約300店舗を展開する人気店の『博多一風堂』だが、今から30年前、ラーメン博物館の開業時には福岡に1店舗しかなかった。創業者の河原成美さんも原点の想いに立ち帰り、ほぼ毎日厨房に立ってスープを作り、麺を上げてラーメンを作っている。
30年前に世に出るはずだった「幻の一杯」
今回の凱旋出店では新横浜ラーメン博物館出店当時、1994年の味をブラッシュアップしたラーメン「原点のラーメン」(税込950円)が提供されている。まだ博多ラーメンにそれほど馴染みがなかった関東の人たちに衝撃を与えた伝説のラーメン。このラーメンの登場から博多ラーメンの認知度が一気に上がったと言って良いだろう。しかし、このラーメンの陰にはもう一杯の「幻のラーメン」があったのだ。
福岡から新横浜へ出店するにあたり、どのようなラーメンで勝負をするか。河原さんは首都圏の人たちに合わせて醤油を効かせた新しい豚骨醤油ラーメンを出したいと考えていたが、一番弟子でありラーメン博物館出店時の店長で、現『麺の坊砦』店主の中坪正勝氏さんは、福岡の本店の味そのままで勝負したいと考えていた。
最終的に河原さんは中坪さんの意思を尊重し、新たな味の豚骨醤油ラーメンは提供されなかった。それが5月6日(祝)まで販売中のメニュー「幻のとんこつ醤油ラーメン」(税込1,200円)。このラーメンこそ、1994年に河原さんが開発していたものの、結果として世に出ることがなかった、まさに「幻の一杯」だ。
幻の一杯が食べられるのは5月6日限り
一風堂自慢のまろやかで甘みのある豚骨スープに、関東らしい醤油のキレ、さらに背脂でコクを与えたスープが白眉の出来栄え。家系ラーメンなど豚骨醤油ラーメンに注目が集まっているが、今から30年前にこのラーメンで勝負をしようとした河原さんの先見性に改めて驚かされると同時に、結果として博多らしい豚骨ラーメンで勝負したからこそ、博多ラーメンと一風堂の認知度が上がったとも考えられる。
この「幻の一杯」は3月に2日間限定で販売され人気を得たが、その反響が大きくこのゴールデンウィーク期間に再び販売され、連日完売となる人気を集めている。一風堂が30年前に勝負したかった「幻のとんこつ醤油ラーメン」が食べられるのも5月6日(祝)一日限り。ぜひラーメン好きの人は新横浜ラーメン博物館まで足を運んで頂きたい。
※写真は筆者によるものです(出典があるものを除く)。
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