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消えた梅雨前線と危険な暑さ、復活する梅雨前線と梅雨明け直前の九州や東海~北陸の大雨

饒村曜気象予報士
日本上空から消えた梅雨前線と中国大陸の梅雨前線(7月6日12時00分)

消えた梅雨前線

 令和5年(2023年)7月6日は、日本上空から梅雨前線が消えました(タイトル画像)。

 このため、九州南部~奄美大島と北海道で雲が多く、所によって雨が降ったものの、ほぼ全国的に晴れて気温が上昇しました。

 7月6日に全国で気温が一番高かったのは高知県四万十市・江川崎の36.7度で、2日前に岐阜県揖斐川町・揖斐川で観測した36.5度を上回り、今年の最も高い気温となりました。

 また、最高気温が35度以上という猛暑日は19地点(気温を観測している915地点の約2パーセント)、最高気温が30度以上という真夏日は540地点(約59パーセント)と、これらも今年最多を記録しました(図1)。

図1 夏日と真夏日の観測地点数の推移(令和5年4月1日~7月6日)
図1 夏日と真夏日の観測地点数の推移(令和5年4月1日~7月6日)

 ただ、最高気温が25度以上という夏日は、816地点(約89パーセント)と、6月28日の838地点(約92パーセント)などには及びませんでした。

 7月7日は、中国大陸から新たな梅雨前線が九州付近にのび、西から雨の範囲が広がってくる見込みです。雷を伴った激しい雨の所も予想されていますので、雨の降り方に注意・警戒してください(図2)。

図2 予想天気図(7月7日9時の予想)
図2 予想天気図(7月7日9時の予想)

 ただ、近畿~北日本にかけては引き続き、晴れて気温が上昇する所が多くなる見込みです。

 最高気温は、京都府・舞鶴と兵庫県・豊岡で38度、福島・福井・京都などで37度という猛暑日が予想されています。

 また、全国で猛暑日になると予想されているのは135地点程度、真夏日が510地点程度、夏日が865地点程度です。

 予想通りなら、7月7日は舞鶴か豊岡で今年最高を記録し、猛暑日と夏日の観測地点数が今年最多となります(図3)。

図3 最高気温の予想(7月7日)
図3 最高気温の予想(7月7日)

 7月7日も、屋外での運動は控え、屋内ではエアコンを適切に使用し、熱中症に十分注意してください。

復活する梅雨前線

 7月8日は中国大陸からの梅雨前線が東日本にまでのび、西日本から東日本は、前線に向かって湿った空気が流入する見込みです(図4)。

図4 予想天気図(7月8日9時の予想)
図4 予想天気図(7月8日9時の予想)

 気象庁は5日先まで、警報を発表する可能性を「高」「中」の2段階で示した早期注意情報を発表しています。

 この大雨に関する早期注意情報によると、7月7日朝から夜遅くは、長崎県と大分県・宮崎県の一部を除いた九州で「中」、7月8日と9日は、九州北部で「高」、九州南部や中国、北陸~東海で「中」となっています(図5)。

図5 大雨に関する早期注意情報(7月7日~7月10日)
図5 大雨に関する早期注意情報(7月7日~7月10日)

 さらに、九州北部は7月10日も「中」です。

 九州地方は、線状降水帯が発生して大雨が降ってから、一週間もたたないうちに再度の大雨です。まだ土の中には水分が残っており、土砂災害が発生しやすい状態が続いていますので、最新の気象情報の入手に努め、警戒してください。

早い梅雨明け?

 各地の10日間予報をみると、梅雨明けをした那覇と奄美大島・名瀬では、7月7日以降の10日間は傘マーク(雨)の日がなく、沖縄はお日様マーク(晴れ)が続く予報です(図6)。

図6 各地の10日間予報(7月7日~13日は気象庁、14日以降はウェザーマップの予報で数字はともに最高気温)
図6 各地の10日間予報(7月7日~13日は気象庁、14日以降はウェザーマップの予報で数字はともに最高気温)

 東京から鹿児島は、7月10日までは傘マーク(雨)の日が続く予報ですが、11日以降は、お日様マーク(晴れ)が続く予報です。

 そして、新潟と仙台は、傘マーク(雨)の日が続く予報です。

 令和5年(2023年)の梅雨明けは、沖縄地方では、平年より4日遅い6月25日でした。

 また、鹿児島県の奄美地方は平年より3日早い6月26日でした(表)。

表 令和5年(2023年)の梅雨
表 令和5年(2023年)の梅雨

 各地の10日間予報からみると、7月11日に九州から関東甲信の広い範囲で梅雨明けの可能性があります(北陸と東北は梅雨が継続)。

 仮に、7月11日に梅雨明けしたとすると、いずれも平年より早い梅雨明けということになります。

 また、梅雨がないとされる北海道ですが、7月11日~16日は傘マークの日が続き、梅雨のような天気になると考えられます。

 いずれにしても、この10日間予報は、全国のほとんどで最高気温が30度以上の真夏日という予報です。

 雨の予報の日でも真夏日が予想されていますし、真夏日でない場合でも28~29度と真夏日直前の気温です。

 湿度が高くて気温が高いという、熱中症になりやすい危険な暑さが続くという予報ですので、熱中症には最大限の警戒が必要です。

タイトル画像、図2、図3、図4、図6の出典:ウェザーマップ提供。

図1、図5の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

表の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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