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ポリス+キング・クリムゾン+...=∞?ロック界の強豪が集結、ギズモドロームが2018年4月来日

山崎智之音楽ライター
Gizmodrome / (c)annitafanizza

ロックの最前線を突き進んできた凄腕ミュージシャン達によるスーパーグループ、ギズモドロームが2018年4月、初来日公演を行う。

スチュワート・コープランド(ポリス/ドラムス、ヴォーカル、ギター)、エイドリアン・ブリュー(キング・クリムゾン/ギター、ヴォーカル)、マーク・キング(レヴェル42 /ベース、ヴォーカル)、ヴィットリオ・コズマ(PFM/キーボード。ヴォーカル)という凄腕プレイヤーたちが合体したのがギズモドロームだ。アルバム『ギズモドローム』を2017年9月に発表した彼らは年が明けた2018年3月からライヴ活動をスタート。イタリア、ドイツ、イギリスを経て4月、日本に上陸することになる。

ヨーロッパでの一連のショーを終えて、いったん演奏曲目を見直してからジャパン・ツアーに臨むという彼らだが、ひとまずヨーロッパ公演を参考にしながら、ギズモドロームのライヴがどんなものになるか予測してみよう。

●ポリスのレア曲

ギズモドロームではスチュワートがドラマーだった伝説的ロック・バンド、ポリスの楽曲もプレイされる。しかも演奏されるのはスティングが作曲した「見つめていたい」「孤独のメッセージ」といったヒット・ソングではなく、「ミス・グラデンコ」「ダズ・エヴリワン・ステア」「暗黒の世界 (Darkness)」「ボムズ・アウェイ」など、スチュワートが書いた曲だ。

おそらくポリス時代にライヴ演奏されたことはなく、数曲がギズモドロームの前身バンドであるギズモ(スチュワートとヴィットリオ中心の編成)でプレイされたのみで、日本では初演となる筈だ。

ギズモドロームのメンバー達は長期的な活動を視野に入れているというが、セカンド・アルバム発表後に再来日があった場合、これらの曲の幾つかがカットされる可能性も十分ある。そんなレア曲をスチュワート自らがギターとヴォーカルを担当する貴重な機会を見逃したら、一生後悔することになるかも知れない。

なおヨーロッパではスチュワートがクラーク・カントの変名で発表した『ミステリアス・デビュー』(1980)からの「エクセシズ」も演奏された。

余談ながら、“ポリス=警察”やスーパーマンの世を忍ぶ仮の名前をヒネった“クラーク・カント”、さらに兄マイルスが設立したレーベルが米国国税庁を意味する“IRS”など、スチュワートが関係するバンドやレーベルは官憲や権力者の名前を冠したものが多い。それは彼の父親がCIA高官だったことと関係するのか?...と本人に訊いてみたところ、「まったく関係ない!」とのことだった。

Stewart Copeland / (c)annitafanizza
Stewart Copeland / (c)annitafanizza

●キング・クリムゾンの有名曲

ヨーロッパではキング・クリムゾンの『ディシプリン』(1981)から「エレファント・トーク」「セラ・ハン・ジンジート」が披露された。

ポリスの場合はレア・ナンバーということでお得感があったが、こちらはエイドリアン在籍期を代表する有名曲で、オリジナルではビル・ブルーフォードが叩いたドラムスをスチュワートが、トニー・レヴィンが弾いたベースをマーク・キングがプレイする超豪華ヴァージョン。彼らのライヴで最も盛り上がる瞬間のひとつになることは間違いない。

さらに「スリープレス」あたりをマークのベースで聴いてみたい!...というファンの声もあるが、はたしてどうなるか。

なおエイドリアンのソロから「ヤング・ライオンズ」(1990)も演奏されて、ヨーロッパの観衆をどよめかせた。

Adrian Belew / (c)annitafanizza
Adrian Belew / (c)annitafanizza

●ギズモドロームの進化形

そしてもちろん、ギズモドロームではアルバム『ギズモドローム』からのナンバーも多数プレイされる。

アルバムのレコーディングは、リハーサルの初期段階から曲のアレンジを全員でどんどん変えていったとのことだが、そのプロセスは未だに続いている。我々はアルバム収録曲のさらに新しいヴァージョンを聴くことになるだろう。

Mark King / (c)annitafanizza
Mark King / (c)annitafanizza

●プラスアルファ=∞...?

ギズモドロームとして3回目のライヴとなるドイツ・アシャッフェンブルク公演のステージMCで、スチュワートは「君たちは実験動物のモルモットなんだ!」と観衆に向かって話している。これは決して失礼なのではなく、バンドがさまざまな実験を行いながら進化していく過程を、そのまま我々に見せていることを意味する。彼らは既に2作目のアルバムを視野に入れており、それにはツアー・ドラマーとして同行するピート・ビギンも新作のレコーディングに関わる可能性もある。日本公演はギズモドロームとしての“次”を予見させるライヴになる。

日本公演まで待ったなし、カウントダウンが始まる。

Vittorio Cosma / (c)annitafanizza
Vittorio Cosma / (c)annitafanizza

●アルバム『ギズモドローム』発表時のインタビュー

スチュワート・コープランド

https://www.barks.jp/news/?id=1000148487

エイドリアン・ブリュー

https://www.barks.jp/news/?id=1000148599

マーク・キング

https://www.barks.jp/news/?id=1000148608

アルバム『ギズモドローム』ワードレコーズGQCS-90439 現在発売中
アルバム『ギズモドローム』ワードレコーズGQCS-90439 現在発売中

【公演日程】

2018年4月8日(日) メルパルクホール大阪

17:30 open / 18:00 start

2018年4月9日(月) 東京 Bunkamuraオーチャードホール

18:30 open / 19:00 start

ウドー音楽事務所 公演特設サイト http://udo.jp/concert/Gizmodrome 

音楽ライター

1970年、東京生まれの音楽ライター。ベルギー、オランダ、チェコスロバキア(当時)、イギリスで育つ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、一般企業勤務を経て、1994年に音楽ライターに。ミュージシャンを中心に1,300以上のインタビューを行い、雑誌や書籍、CDライナーノーツなどで執筆活動を行う。『ロックで学ぶ世界史』『ダークサイド・オブ・ロック』『激重轟音メタル・ディスク・ガイド』『ロック・ムービー・クロニクル』などを総監修・執筆。実用英検1級、TOEIC945点取得。

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