なぜ久保建英はリーガの試合で「消えて」しまったのか?エメリ・ビジャレアルでの「立ち位置」とは。
思うようには、いかないものだ。
久保建英がヨーロッパリーグで大活躍した。それは数日前の出来事だ。
だが先発のチャンスを得たリーガエスパニョーラでは不発に終わった。得点とアシストがなかっただけではなく、久保が「消えて」いたのは明らかだった。
現在、危惧されるのは「久保は良いがチームが悪い」という論調になることだ。それでは本質を見誤る。サッカーはチームスポーツだ。そこを起点に議論が展開されるべきである。久保に関しては、どうしても彼の個人のパフォーマンスに焦点が当てられる傾向がある。久保が起用されなければ、あるいは良いプレーをしなければ、監督やチームメートが批判される。だが、そんなことが許されてはならない。
別に久保を批判したいわけではない。ウナイ・エメリ監督を擁護したいわけでもない。「良いものは良い」「悪いものは悪い」と言えるかどうかが重要なのだ。
■ヨーロッパリーグでの活躍
さて。本題に入る。まずはヨーロッパリーグ(EL)の試合だ。
ヨーロッパリーグ・グループステージ第1節ビジャレアル対シバススポルの一戦で、久保は輝きを放った。
その試合の久保は良かった。久保はシバススポル戦で【4-2-3-1】のトップ下に入り、攻撃の全権を担うように、躍動する。
【4-1-4-1】を敷いていたシバススポルは、お世辞にも守備のオーガナイズが整ったチームとは言えず、アンカー脇のスペースをまったくカバーできていなかった。
そして、ビジャレアルは【4-2-3-1】と【4-3-3】の可変の形で試合を進めて行く。この恩恵が久保にもたらされた。フランシス・コクラン、マヌ・トリゲロス、久保が流動的にポジションを入れ替えながらボールを受ける。相手はプレスの的を絞れず、マークにもズレが生じた。これにより久保は最も得意とするハーフスペースでパスを受け、前向きな状態でボールを保持するということが可能になった。
また、久保は「サイドフロー」で度々フリーになっていた。右インサイドハーフから、右サイドに流れて、スペースを巧みに使っていた。
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