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猛暑は海にも影響 台風が大型化するおそれ

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
沖縄に近づく台風10号。猛烈な暑さで海面水温も上昇している(ウェザーマップ)

 連日の猛暑で日本近海の海面水温が上昇している。海が暖かくなると台風が大型化しやすく、勢力を弱めずに本州に接近するおそれがある。

今年の梅雨終わる

 気象庁は20日午前、東北北部が梅雨明けしたとみられると発表しました。名実ともに、日本列島に夏の到来です。今年の梅雨明けは沖縄、奄美、九州南部を除いて、平年と比べ一週間以上早くなりました。

 今年2月末に発表されたこの夏の天候予想では、暑い夏になる見通しではあったものの、これほどまでの暑さは予想外でした。少なくとも今月いっぱいは猛烈な暑さが続きます。

記録的な暑さで沖縄が避暑地

 この夏はこれまでに、のべ1622か所(7月20日午後3時現在)で猛暑日となりました。これは2012年以降で最も多く、6年平均の約4倍です。

 猛暑日を観測した都道府県は43府県、一方で猛暑日となっていない所もあります。それは北海道、青森県、秋田県、そして沖縄県です。

この夏「猛暑日」を観測した都道府県(7月20日現在,著者作成)
この夏「猛暑日」を観測した都道府県(7月20日現在,著者作成)

 今年の沖縄県の最高気温は与那国空港で5月29日に観測された33.6度です。那覇市でも32.9度と猛暑日に遠く及びません。

 日差しはどこよりも強いけれど、海が暑さを受け止めるため、極端な暑さにはなりにくいのです。岐阜県多治見市の40.7度を思うと沖縄が避暑地に感じられます。

海水温上昇で、台風が弱まらずに接近も

 暑さの影響は熱中症だけではありません。こちらは日本近海の海面水温を見たものです。左上は今年7月1日、右下は7月19日です。

日本近海の日別海面水温を比較した図(気象庁ホームページ,著者加工)
日本近海の日別海面水温を比較した図(気象庁ホームページ,著者加工)

 水温29度以上(ピンク色,青点線で囲った部分)に注目してみました。今月初めは日本の南海上だったのが、徐々に北へ広がり、20日ほどで太平洋沿岸まで達しました。猛烈な暑さは海にも影響しています。

 海が暖かくなると、今後の台風が気になります。台風の勢力は海水温に大きく影響を受けるため、海が暖かければ暖かいほど、台風は勢力を増し、弱まらずに本州に接近することが考えられます。

 猛暑が一段落しても、一度暖かくなった海はなかなか冷えません。この猛暑は秋にかけて、台風にも影響しそうです。

【参考資料】

気象庁ホームページ:表層水温に関する診断表、データ

気象庁ホームページ:真夏日などの地点数(昨日まで)

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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