残業を絶対ゼロにする「冷蔵庫のキッチンタイマー」
私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントです。結果を出さなければ存在意義のないコンサルタントですから、キレイゴトは好きではありません。目標が100億円だったら、1円でも下回ってはいけませんし、残業を「絶対ゼロ」と言ったら、30分でも残業してはならないのです。極端だと言われることもありますが、それぐらいの姿勢でなければ、組織改革をするといっても徒労に終わるだけです。
残業を「絶対ゼロ」にするには、定時で終了し、職場を出なければならない危機感を持つことが一番効力があります。
現実的に最も効力のある手法は、セコムなどのセキュリティ会社に来てもらい、オフィスを強制的に閉めることです。外部の力を使って、オフィス内に滞在できなくすることで、残業「絶対ゼロ」は実現します。(もちろん、この施策だけでは副作用が大きいので、教育や役割分担などの下準備が必要です)
しかし組織的な改革が望めず、自分ひとりで何とかしたいと言う場合では、オフィスの外に何か揺るぎないものを仕掛けておくことをお勧めします。オフィス内の施策ではどうとでもなってしまうので、オフィス外に仕込むのです。絶対に約束を守らなければならない人と、夜の6時半に待合せをするとか。スポーツジムのトレーナーとのトレーニング契約を夕方に結ぶとか、そのような施策です。
お遊び程度のものでよければ、冷蔵庫に張り付けたマグネット式の「キッチンタイマー」も使えるグッズです。残業を絶対ゼロにする「タニタのキッチンタイマー」では、オフィス内での活用方法を書きましたが、今回は家庭内での使い方です。
朝、家を出る前にキッチンタイマーで、定時に会社を出て帰宅すれば間に合う時間を設定しておきます。たとえば夜7時とか。
会社の定時が夕方の6時で、定時にオフィスを出て寄り道せずに家に戻ると6時50分ぐらいだとします。すると7時に設定していたキッチンタイマーを止めることができます。(時刻指定ができなければ9時間後などとセットします)しかし1分でも遅れたらキッチンタイマーが鳴りはじめます。止めるまで鳴り続けます。世の中には、驚くほど大きな音を出すキッチンタイマーが存在します。これを冷蔵庫に貼っておきましょう。そして可能ならキッチン周辺の窓を少し開けておくのです。
当然のことながらキッチンタイマーが鳴り続けたら近所迷惑です。もちろん家族に誰か人がいれば、止めてくれるでしょうが、それでも迷惑な話。仕事をしている最中、ずっと考えるはずです。「家に7時までに戻らないと迷惑がかかる」「家に7時までに戻らないと迷惑がかかる」……と。一般的には、誰かに有益になることより、誰かに迷惑がかかることを回避するこのとのほうが、動機付けになります。だからこのような施策が威力を発揮するのです。
もっと覚悟を決めたい、というのであれば、冷蔵庫の電源をタイマーで制御するのです。夜7時までに戻らなければ冷蔵庫の電源がオフになるよう設定しておけば、かなり焦ることでしょう。5、6分遅れるぐらいならいいですが、1時間も2時間も遅れてしまうと、冷蔵庫の中に入っているものがダメージを受けます。
定時までに仕事を終えようと思っていても、なかなか終わらないもの。残業なんてものは、業務効率化のテクニックをどれだけ駆使してもなかなかなくなりません。そういう発想ではなく、夜の7時とか8時までに、ある場所へ行かなければならないというイベントを用意することでインパクトのある強制力が働き、残業「絶対ゼロ」を実現させてくれます。このような荒療治を繰り返すことで、仕事に対する集中力が増し、ダンドリも良くなってくるものです。何事も強制力がないとスキルは身に着かないものなのです。