【泉南市】駅チカなのに誰も知らない「無敵の日替り定食600円」 圧倒的コスパの秘密に「人の絆」あり
お昼ごはんの予算を1000円以内におさめるのが難しくなってきたこの頃。
駅チカでみつけたお値打ち価格の「日替り定食」をご紹介します。
「居食酒屋 赤ちょうちん」
今回ご紹介するお店は、南海 樽井駅から徒歩5分ほどのところにある「居食酒屋 赤ちょうちん」。オープンから20年、閑散とした駅前通りにぶらさがる赤ちょうちんがなじみ深いお店です。
今どきなかなか出逢えない、びっくり価格の「日替り定食」。
「居食酒屋 赤ちょうちん」では、11時から13時の間だけ “数量限定” でお昼の定食を提供しています。(昼は「日替り定食」のみ。売り切れ次第終了)
ところが、地域の人にお話をうかがうと 、この「日替り定食」の存在を誰も知らないと言うのです。
改装して心機一転
20年ぶりに改装したという店内は、新旧が混在しながらもすっきりとした印象で、真新しいカウンターテーブルを臨む椅子たちがどこか誇らしげです。
改装はすべてご家族の手によるもの。カウンター7席、小上がり席6名定員のこぢんまりとしたお店ですが、足繁く通う常連さんもいます。
熱々の鉄板でサーブ! ふんわりボリューミーなチキンカツ
席に着き、ほどなくして「日替り定食」が運ばれてきました。
この内容で600円ポッキリってちょっと驚きませんか?
取材日の献立は、「チキンカツの卵とじ」ほか副菜4品(サラダ、なめたけと大根の和え物、しば漬け、味噌汁)。
「チキンカツの卵とじ」は、副菜とは別に熱々の鉄板で用意され、そのボリュームとライブ感にびっくり。
この定食には、夜のみ提供されるドリンク「ウーロン茶200円」がもれなく無料でついてくるので 実質 “定食” は400円です。
さらに、ご飯とウーロン茶はおかわり自由…
これは、もう無敵です。
「日替り定食」は、値段が安いからといって侮れません。
女将の辻野 勝美(つじの かつみ)さんが日々納得のいく素材を吟味し、豊かな料理経験の記憶をたどり、腕を振るいます。
チキンはふんわりとやわらかく、出汁の利いた甘たまごを絡めて食べると昔なつかしいおかあさんの味わいに。
ごはんにのせて食べるもよし、別で頬張るもよし、甘辛い半熟卵とチキンカツの組み合わせは、いろいろな可能性を感じさせてくれます。シンプルな料理ほど、“加減”が大切。火加減、味加減、量加減、すべてにおいてバランスがよく、食べる人を想い丁寧につくられた料理だということが感じとれます。
「日替り定食」の献立は、季節やその日の仕入れ状況をみて決めるため、当日の朝までわからないことも。たとえば、ある日の献立は「牡蠣ご飯ほか4品」「ミックスフライほか5品」でした。
ほかにも、「カレー」の日(400円)、「丼もの」の日(500円)など、よりリーズナブルな日もあり、玉手箱をあけるような楽しみも。
駅チカで、何がでてくるかわからない可笑しみと、ボリューム満点の料理が600円で食べられるよろこび。なかなかほかにはない「無敵の日替り定食」だと感じます。
「毎日食べるお昼ごはん」だからこの価格で
夜のお店として地元で親しまれていた「居食酒屋 赤ちょうちん」は、おととしの6月に昼の営業をスタート。お仕事を引退されたご主人(辻調理師専門学校ご出身の調理師さん!) が手伝ってくれるようになったことと、コロナ禍で打撃をうけたことがきっかけだったと話します。
はじめた頃は、「かき揚げうどん」と「かき揚げ丼」のみを提供していましたが、あまりうまくいかずシフトチェンジ。
「日替り定食600円」のあまりの安さに目を丸くしていたわたしに、こんな姉御風が吹いてきました。
「600円は安すぎるとお客さんに心配されるけど、毎日食べるお昼ごはんだもん。こんなもんでしょ?」
老舗鮮魚店とのおつきあい
そんな辻野さんは、前回取材をさせていただいた老舗鮮魚店「太与茂徳水産(たよもとくすいさん)」の大将とも長いおつきあい。
お仕事の合間に朝市に出掛け、無償で店の手伝いをするなど、まるで親子のような絆で結ばれています。
参考記事:閑散とした駅前通りで30年賑わう。有名料理人も太鼓判をおす「レジェンド鮮魚店」の“夕市”
高いコストパフォーマンスを実現できるのは、この深い絆のおかげでもありました。
小あじやカンパチ、ときにはタイのあらやカニが舞い込んでくることも!
手際のいい辻野さんは、それをササっと調理し無駄なく献立に追加します。
自分の目でみて、納得したものだけを仕入れている。たまに、おとうちゃん(大将)に「なんでこんな高い魚買うねん!」と怒られる、とホントの親子のようです。
20年毎日欠かさず「本日のおすすめ」を手書きで
20年毎日書いているという「本日のおすすめ」には夜の一品ものがびっしり。
愛嬌のある文字とかわいいイラストがポイントです。
日々、この手間を惜しまないというのですからお客さんへの愛情もたっぷりですね。
メニューは、“その日あるもの” で 。数量限定のため、なくなり次第終了です。
人の絆から生まれた「無敵の日替り定食」
辻野さんは、やさしい人たちに囲まれています。それは、家族だったり、息子さんのご友人だったり、大将だったり、お客さんだったり。人と人の深い結びつきが、辻野さんの人生を紡ぎ支えている。
原材料の価格高騰が続く中、「無敵の日替り定食」を提供できるのは、シャイだけど懐の深い辻野さんの人柄があってこそ。
おしゃれなカフェもいいけれど、昔ながらの店もいい。
心が疲れたとき、お財布にやさしく人の温かさを感じるごはんはいかがですか?
明日からちょっとだけ、強くなれる自分に期待して。
【基本情報】
店名:「居食酒屋 赤ちょうちん」
公式インスタグラム(外部リンク)
住所:泉南市樽井6丁目22-7
Tel:072-485-0168
営業時間:昼の部11:00~13:00/夜の部 18:00~23:00(ラストオーダー22:30) 土曜のみ18:00~21:00(ラストオーダー20:30)
定休日:水曜・日曜・祝日(臨時休業あり)
駐車場:お店に要問い合わせ
取材協力 「居食酒屋 赤ちょうちん」女将 辻野 勝美 様
*記事内容は取材当時のものです。
*「日替り定食」の詳細について知りたい方は、当日の朝 お電話でお問い合わせください。