保釈1年 籠池氏“新型兵器”は「皆さん方の大いなるパワー」安倍氏批判の“諄子節”炸裂「ここで一句」も
森友学園の籠池泰典前理事長(66)と妻の諄子さん(62)が補助金事件で逮捕起訴され、300日間の勾留の後に保釈されて、5月25日でちょうど1年になった。節目の日を前に籠池氏は24日、東京・文京区で記者会見。森友事件の焦点である国有地値引きの根拠とされたごみは「なかった」と見解を述べた。事前に予告していた“新型兵器”は「皆さん方の大いなるパワーなんです」と述べ、政権打倒へ一致団結を呼びかけた。
同席した妻の諄子さんは、過去の反省と今への感謝を口にするとともに、来日したトランプ米大統領の歓迎は「税金のムダ」とバッサリ。「安倍政権は許せません」と“諄子節”を炸裂させ、聴衆の拍手喝采を浴びた。
国有地値引き根拠のごみ「なかった」
市民団体が開いた記者会見とシンポジウムの会場に姿を見せた籠池夫妻。会場にはテレビ局や新聞社などの報道関係者のほか、シンポジウムに大勢の人が訪れ、300席の会場は一杯になった。
保釈からの1年について籠池氏は、自宅を差し押さえられて解体され、系列の保育所も解体されていると説明し、「何から何まで訴訟をして、籠池をつぶしてしまえ、安倍政権に逆らった奴は何としてでも抹殺せにゃいかんということです」と現状を訴えた。
森友事件の最大の焦点は、学園に売却された国有地の8億円余りの値引きが妥当かどうか。値引きの理由とされた「地下3メートルより深いごみ」について、「再び除去しなければいけないごみはなかった」と自らの見解を述べた。会見の場で「なかった」と述べるのは初めてのこと。
その根拠については、ごみが見つかったとされる日から、理事長だった自分に報告があるまで5日も経っていて、その間、校舎の工事が止まっていたことの不自然さ。さらに業者らが作った資料を確認したところ、以前の工事で出てきたごみを近畿財務局の指示で埋め戻したととれる部分があり、これは撤去の必要なごみとは考えられないことを理由としてあげた。
会見後のシンポジウムに参加した環境ジャーナリストの青木泰さんも、業者が撮った写真から、出てきたとされるごみは実は外部から持ち込まれたものとしか思えないと指摘した。ただし、いずれも個人の見解であり、確実な証拠があるわけではない。
予告された籠池氏の“新型兵器”は…
これより先、籠池氏は急病で緊急入院した大阪市内の病院を22日に退院する際、筆者に「(会見には)新型兵器を持っていきますよ。今は言えないけどね。国民に考えてもらうための材料を出します」と語っていた。
そのことについて会見で別の記者が尋ねた。
記者)籠池さんは「新型兵器を持っていく」と話していたそうですが、「ごみはなかった」という話が新型兵器なんでしょうか?それとも別の新型兵器があるんでしょうか?
籠池氏)ごみがなかったことも新型兵器だと思いますが、それよりも、皆さんにもっと疑ってかかってほしいということです。政権のことを、行政のことを、もっと疑っていかないと。文書改ざんがありましたよね。そんなことやるなんて、これまでの我が国になかったことですよ。
新兵器として申し上げたいのは、皆さん方が力を統一して、政権を倒して、その後の新しい政権によって、本当はあの時どうなっていたのか、まじめに見つめていかないといけないということです。
つまり新兵器は皆さん方の大いなるパワーなんです。それを糾合して一つのところに持っていかないといけない。非常に重要なことだと思いませんか?(拍手)そっちの方に風を吹かせていこうよ。それが大きな大きな新兵器になります。
せっかくの“新兵器”もほとんど報道されず
これは事実上、野党連合を実現して支持しようと呼びかけたに等しい。籠池氏の発言は、集まった聴衆には大いに受け、何度も拍手が送られた。
しかし最前列にいた記者たちにとっては、“爆弾”級の新事実を期待していたのにすかされたという思いがあったようだ。これまでのところ、籠池氏の「皆さんの力を糾合して新兵器に」発言はほとんど報じられず不発気味に終わった。「ごみはなかった」発言は一部で報じられている。
私も記者の一人として“新型兵器”は新事実であってほしいと思っていた。会場で私は「籠池さんには運動家になってほしくない。最大の武器は事実です。新事実を明らかにしてほしい」と発言した。だが籠池氏の発言を伝えることにも意味があると考えている。
反省と目覚め 安倍政権批判の“諄子節”が炸裂
続いて諄子さんが発言した。これが籠池氏に勝るほどの拍手を集める大受けとなった。何がそんなに受けたのか?
諄子さん)この1年を振り返って、今、一番幸せです。これまでこれで(両手で顔を挟み視野の狭さを示す仕草)偏っていたと言うか、自分の思い込みと言うか、人の意見をはねつけるという自分がいて、視野が狭かったなあと本当に感じています。皆さま方といろんなところでお声をかけていただいて、いろんなところでお話ししていただいて、幸せやなあって本当に思います。
しかしながら、この安倍政権、許すことはできません。安倍さんを守るために特捜部、検察、財務省、建設業者と設計業者と司法取引をして私たちを倒そうとしてきました。
トランプ大統領が来日して安倍さんと高級居酒屋や高級ゴルフ場に行くようです。主人は「ゴルフ場じゃなく(東日本大震災の)被災地を見に行けばいいじゃないか」と言います。国民の税金の無駄遣いです。いかがかと思います。桜を見る会もまったくの無駄遣い。それより生活に困窮している方に手をさしのべるべきです。安倍さんがもてなすなら自分のお金でやればいいです。
N参議院議員、I衆議院議員(発言はいずれも実名)、あんなに私たちに寄り添うようなことばかり言っていた人が、手のひら返しで、国会でうそばかり言っていました。どうしてあんなことが許されるのか。
国民の中に悶々としてあきらめかけている人がいっぱいいる。そこに火を付けていかなけりゃいけないと思います。
私は20歳くらいまで人前で話すのが苦手で「お前はダメだ」と祖父母に言われ、父に叩かれました。でもこんな素晴らしい主人と結婚して、口が達者になりました(笑)。ですから、若い人に火を付けて歩いていきたい。皆さん、助けてください(大きな拍手)。安倍政権に対し断固として許せないことは許せないと言っていくべきだと思います。
この豊かな時代の中、権力者のかげに犠牲になっている人がたくさんいることを(拘置所で)見ましたので、これから何かお役に立つことがあれば、私も頑張っていきたいと思っております。
「ここで一句」が一句で済まず
過去の反省と目覚めがあって今の自分がある。諄子さんの発言で会場は大いに盛り上がった。参加者の中には「諄子さんがああいうことを言うとは思わなかった」と、いい意味で驚いたと語る人もいた。
会見とシンポジウムを振り返って、私は籠池氏に恒例の「ここで一句」をお願いした。するとまず…
「夏日なり 論戦たけなわ 火花散る」
確かにこの日は暑く、論戦で火花が散って会場はさらにアツかった。続いて…
「日落ちて 文京会館 熱気あり」
これも同じ状況を指している。会場は正式には「文京区民センター」だが、それはこの際よい。さらに…
「忖度(そんたく)を 許しはせぬと ほととぎす」
「夏近し 保釈一年 血たぎる」
刑事裁判の法廷が近づいている。血もたぎるだろう。ここで一句、のはずが、一句では止まらない籠池氏であった。
ここで諄子さん、「なんぼでも出てくるそうです。まだまだ出てくる主人の泉!(笑)」
籠池夫妻を招くトークイベントは26日にも横浜で開かれる。そして来週29日から、大阪地裁で補助金事件の刑事裁判が再開される。籠池夫妻の血はたぎる!
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