ミャンマー拘束の映像作家が現地映像初公開へ
軍政下のミャンマーで3か月半にわたり拘束され先月解放されたドキュメンタリー映像作家の久保田徹さんが、現地で撮影した映像を帰国後初めて、都内で開かれるドキュメンタリー映像のイベントで公開することになった。
久保田徹さん(26)は7月30日、ミャンマーの最大都市ヤンゴンでデモを撮影中、当局に拘束された。扇動罪など3つの罪に問われ禁固10年の判決を受けたが、11月17日、3か月半ぶりに解放され、翌18日早朝に羽田空港着の便で帰国した。以降、記者会見や各マスコミの取材に応じているが、誰でも申し込みができる会費制のドキュメンタリー映像のイベント「ドキュ・メメント2022」に参加することになった。
このイベントは「社会に埋もれがちな“聴きとりづらい声”を聴く場所」というキャッチフレーズで、ドキュメンタリー映像作品の当事者と作り手、観客が同じ場で作品を見ながら意見を交わす。久保田さんはイベント2日目の12月4日(日)午後7時45分から45分間、同じくミャンマーで拘束された経験のあるジャーナリストの北角裕樹さんとともに登壇する。その際、久保田さんが7月14日にミャンマーに入国してから拘束されるまでに撮影した映像を帰国後初めて、一部公開することになった。拘束された際にカメラなどは当局に押収されたが、その前に日本に送っていた映像データを編集する。内容は安全上の理由から、撮影対象者の個人情報を伏せた形にするという。
久保田さんは、デモに参加して人々を扇動したという罪に問われた。それについて次のように語った。
「デモを撮影はしましたが参加はしていません。拘束された後、当局を批判する横断幕を持たされて写真を撮られました。ただ、私の気持ちはデモの参加者と同じですので、裁判であえて否定しませんでした。私が撮影した映像を通してミャンマーの人々が置かれている状況を少しでも理解してもらえればと思います」
このイベント「ドキュ・メメント2022」は12月3日と4日の2日間、東京・品川区の本照寺と付属の寺子屋みろくで催される。3日は『わたしたちに「性」は必要ないの?~障がいがあっても「性」を語りたい』というテーマのトークショーなど。4日は久保田さんの登壇のほか、イベントの共同代表の松井至さんと内山直樹さんの『人と自然のあわいの場所で撮る』というドキュメンタリー制作を巡るトークセッションや、近隣の小中学校の子どもたちを集めた「ドキュメンタリー寺子屋」も催される。また会場では“隻眼の戦場カメラマン”として知られる亀山亮さんが、麻薬マフィアを巡り騒乱の続くメキシコで撮影した最新の作品が展示される。
イベントの詳細は以下のサイトで。