「がんばりょんかぁ、マサコちゃん」森友事件の漫画 最終話は震災被災地 #スピリッツ #安倍元首相
安倍元首相らしき人物も登場
小学館の週刊ビッグコミックスピリッツで去年1月から連載されてきた漫画「がんばりょんかぁ、マサコちゃん」が今月最終話を迎えました。森友学園への国有地値引き売却を巡る財務省の公文書改ざん事件を背景に、命を絶った近畿財務局職員、赤木俊夫さんの妻、雅子さんが主人公のモデルです。
作品はフィクションで実在の人物や団体とは関係ありませんとしつつ、断り書きには「実在する人々の切なる想い、祈りには大きく関係しています」とあります。これまでに安倍元首相、麻生元財務大臣、佐川元財務省理財局長など、森友事件の渦中にいた人々を思わせる人物も仮名で登場してきました。
東日本大震災の被災地に駆けつけたトシオさん
最終話では、2011年の東日本大震災の直後、トシオさんが被災地の支援に駆け付けていたことをマサコさんが思い出し、現場の町役場を訪ねます。そこにはトシオさんの執務中の写真が残っていました。マサコさんは町長に話を聞き、トシオさんの仕事ぶりが地元で感謝されていたことを知ります。
「一番辛いのは…忘れられてしまうこと」
続いてマサコさんは、津波で大きな被害を受けた海岸で、中学生の息子を亡くした経験を語り部として語り続けている女性と出会います。マサコさんは尋ねました。
「息子さんのことを語り続けるのって 悲しいことを思い出して辛くありませんか?」
夫を亡くしたマサコさん自身、夫のことで裁判を続けていると悲しみを呼び起こされてきたからです。すると女性は、
「辛いこともありますけどね…一番辛いのは…忘れられてしまうことなんです。だから忘れられないためには、語り続けるしかないですもんね…」
「これからも一緒に生きていこう」
女性は、翌日再びこの海岸に来るようマサコさんを誘いました。翌日は3月11日、東日本大震災から10年となる日。毎年この海岸に大勢の人が集まり、鳩型の風船に亡き人へのメッセージを書いて空に飛ばします。マサコさんが書いた言葉は、
『トシくんへ「これからも一緒に生きていこう」マサコ』。
黙とうの後、一斉に宙へ放ちました。空を舞う鳩風船を見上げるマサコさん。漫画家、魚戸おさむさん渾身の絵が見開きページに広がります。
ほぼ実話に基づく最終話
このシーン、実はほぼ実話そのものです。2年前の2021年3月9日、赤木雅子さんは東日本大震災で夫が支援に駆け付けた宮城県七ヶ浜町を訪れました。
役場では寺澤薫町長が出迎え、俊夫さんの執務中の写真を見せながら当時の状況を説明してくれました。
次の日、雅子さんは宮城県名取市の閖上(ゆりあげ)地区を訪れ、知人の紹介で語り部の丹野祐子さんと話をしました。その時の会話はほぼ漫画で描かれている通りです。
震災10年となる3・11の日も閖上を訪れ、一緒に鳩風船を飛ばしました。風船の上面に書いた言葉は、
『赤木俊夫様 としくんへ 元気にしてますか? 閖上の皆さんと仲良く鳩ふうせんを読んでください 何年たっても大好きだよ』
さらに下面には、下の画像のように漫画とほぼ同じメッセージを書きました。
雅子さんの旅が10分余の動画作品に
この旅には、ドキュメンタリー映像作家の久保田徹さんも同行しました。去年、軍政の弾圧が続くミャンマーで3か月半拘束されたことが大きく報じられましたので、ご存じの方もいらっしゃると思います。
久保田さんは雅子さんの旅を密着撮影し10分余りの作品を制作しました。その動画がYahoo!ニュースで公開されています。
タイトルは、
「夫のために、真実を知りたい。私にできることは裁判」―「森友学園問題」で夫を亡くした赤木雅子さんの今
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/d0a8abb425f15103d66549a7ebd532e6a0015964
週刊文春でも記事
この旅のことは2年前、週刊文春で記事にし、Yahoo!ニュースにも転載されました。今も文春オンラインで読むことができます。
「何年たっても大好きだよ」森友改ざん事件・赤木俊夫さんの妻が空に放ったメッセージ
https://bunshun.jp/articles/-/44451
コミックス最終巻には雅子さん自身のメッセージも
最終話が掲載された週刊ビッグコミックスピリッツの販売はすでに終わっています。11月30日頃発売と告知されているコミックス第3集にはこの最終話が含まれています。さらに赤木雅子さん自身が読者の皆さまへのメッセージを寄せています。今の思いを率直に記したそうです。