Yahoo!ニュース

カシメロと対戦する“ダークホース”リゴンドー その驚異の実力とは

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:ロイター/アフロ)

8月14日、ボクシングWBOバンタム級王者のジョンリール・カシメロ(32=フィリピン)とWBA同級王者のギジェルモ・リゴンドー(40=キューバ)が対戦すると発表された。

試合の経緯

カシメロは当初、WBC王者のノニト・ドネアと対戦予定だった。

ともにフィリピン人、加えて世界王者ということで注目され、ファンからも期待の声が寄せられていた。

しかし、カシメロがVADA(アンチ・ドーピング機構)の薬物検査を拒否することを示唆し事態が急変。

ドーピングの疑いがあるカシメロに対して、ドネアは試合中止を決断し対戦は流れてしまった。

そのため、当初カシメロとの対戦が決まっていたリゴンドーに再びチャンスが巡ってきた。

リゴンドーとは

ギジェルモ・リゴンドーはアマ戦績243勝4敗の驚異のレコードを持ち、アマチュアボクシング界で「伝説」と呼ばれていたボクサーだ。

世界王者になるより難しいと言われるオリンピック大会で2連覇を達成している。

プロではスーパーバンタム級、バンタム級の2階級を制覇。

サウスポースタイルから徹底的に打たせずに打つボクシングを貫き、プロでは22戦20勝(13KO)1敗1分の戦績を誇る。

プロでの敗戦は、2017年に行われたワシル・ロマチェンコとの一戦のみ。負けはしたがフェザー級で戦っていたロマチェンコと階級差があって行われた試合だった。

WBC王者のノニト・ドネアも2013年に対戦しているが、リゴンドーに敵わなかった。

日本では2014年12月31日に天笠尚(山上)と戦っており、11RTKOで勝利している。

実力はピカイチだが、ファイトスタイルは地味でディフェンシブなため本場アメリカでの人気はいまひとつ。なかなかビッグマッチのチャンスが訪れなかった。

そのため上の階級から下げて、激戦区のバンタム級に主戦場を移した。

前回の試合ではリボリオ・ソリスに勝利し、WBAバンタム級レギュラー王者を獲得している。

写真:ロイター/アフロ

主役となれるか

鉄壁のディフェンスを持つリゴンドー、強打を振り回すカシメロの試合は興味深い。

勝利した方が一気にこの階級の主役に躍り出るだろう。現在、バンタム級は以下の王者たちが君臨している。

WBAスーパー&IBF 井上尚弥

WBAレギュラー ギレルモ・リゴンドウ

WBC ノニト・ドネア

WBC暫定 レイマート・ガバリョ

WBO ジョンリル・カシメロ

リゴンドーがこの試合に勝てば、ドネアとの再戦や井上尚弥との対戦に繋がる。

地味な存在だったリゴンドーが一気に主役となるチャンスだ。

4団体統一を目指す井上は、この試合の勝者との対戦が期待される。

WBO、WBAレギュラーのベルトを持った王者が、井上またはドネアと戦えば一気に4団体統一に近づくだろう。

意外にも日本にはリゴンドーのファンは多い。ハイレベルな駆け引きと技術はピカイチだ。

ダークホースとなるリゴンドーの参戦で、バンタム級戦線の火蓋が切って落とされる。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

木村悠の最近の記事