GI馬ノーリーズンを探せ!3年ぶりに通常開催中の「相馬の野馬追」
3年ぶりに通常開催の「相馬の野馬追」
2022年7月23日から25日にかけて、福島県南相馬市において伝統行事「相馬の野馬追」が開催されている。中でも24日は本祭りとされ、「甲冑競馬」「神旗争奪戦」といった人気行事がある。そして、今回の開催は新型コロナウイルスの影響を受けて縮小されていたが、3年ぶりの通常開催となる点も注目されている。
その中で、2002年に皐月賞(GI)を制したノーリーズンがこの祭りにも参加する。かつては激しい運動を伴う「神旗争奪戦」に参加していたノーリーズンだが、御年23歳。年齢を考慮して、今年は「お行例」と呼ばれる甲冑の馬装をし行列をなして練り歩くかたちで式典を盛り上げる。
ノーリーズンは池江泰郎厩舎で競走馬時代を過ごしたということもあり、筆者にとってもひじょうに馴染み深い馬だ。
約20年ぶりに実際に姿を見るが、どのように元気にしているのか、とても気になった。
■2002年皐月賞(GI) 優勝馬 ノーリーズン
年齢的にかなり老け込んでいても不思議ではないし、繋養されている鹿頭ステーブルさんにお話を伺う限り「元気にしている」というが具体的にどんな様子なのだろう、と想像しても答えが出なかった。
しかし、実際に本日、ノーリーズンと対面して、まだノーリーズンの中にギラギラしたものがある、ということが確認できてホッとした。
馬装がスタートした時点では少しぼーっとしている印象だったのだが、背中に鞍を乗せられ、腹帯を締められると、ノーリーズンの眼は一気にキリっとし、うつむいていた顔を上げ、周囲を見渡しだしたのだ。
レースを重ねた経験のあるサラブレッドたちは、レース前の馬装が始まるとテンションが上がり出すケースがよくある。「これから自分が戦うのだ」と自覚しているのだろう。眼に炎が見えるような、いい意味での”ドヤ顔”をする。
23歳、しかも今日は競馬の前座に馬装して歩くだけなのに、ノーリーズンの顔はすっかり戦闘モードだ。スイッチが”オン”になっているのだろう。人が触ると耳を絞り、キツい顔をする。筆者は競馬のときもそうだが、こういったときは極力遠目から見守るようにしている。ノーリーズンのリズムを崩さないように、離れて見守るのが一番だ。
しばらくすると、馬装されたノーリーズンがボロをした。すると、かつて「神旗争奪戦」でコンビを組んだ鹿頭さんが仲間たちに「ノーリーズンは頭がいい。ノーリーズンなりに体を本番に向けてつくっているんだ」と話していた。そう、ノーリーズンの戦いはすでに始まっているのだ。
今回の「相馬の野馬追」はYouTubeでもライブ配信されている。お行列には350騎、全体で500騎ほどが参加するという。さすがにライブ中継でノーリーズンの姿を見つけるのは大変かもしれないが、ノーリーズンは「黄色い『御家』」と書かれた旗をさして登場する。この旗はかつて戦で敵味方を見分けるため用いられた目印でもある。
筆者は「相馬の野馬追」を取材するのは初めてでなかなか要領を得ないのだが、これから久々に見られるノーリーズンの雄姿を楽しみにする気持ちを胸に秘めながらこの伝統行事を楽しみたいと思っている。
令和4年度「相馬の野馬追」本祭りのタイムスケジュール
お行列 午前9時30分から午前11時
甲冑競馬 午後0時スタート
神旗争奪戦 午後1時スタート
■相馬の野馬追 2日目オンライン配信
■2019年相馬の野馬追ハイライト