学生の恋と社会人の恋は違う? 久間田琳加が菊池風磨に惹かれる部下に。「大人は突然流行と遮断されます」
オフィスで繰り広げられる“大人のピュア恋”を描くドラマ『私たちが恋する理由』に、久間田琳加がヒロインとして出演している。菊池風磨が演じる寡黙な課長の部下で、恋に距離を置いていた彼に変化をもたらす役どころ。学生の恋愛ものには数多く出演してきたが、本格的に会社で働いている役は初めて。自身が大人になっての変化と合わせて聞いた。
「このあと話せる?」は社会人ならではだなと
――『私たちが恋する理由』で演じる森田葵は広告会社に入社3年目で、菊池風磨さんが演じる上司の黒澤智也に恋心を抱く役。学生の恋愛ものは数々経験している琳加さんですが、大人の恋は違う感じがしますか?
久間田 オフィスのシーンが多くて、どんどん自分のデスクに馴染んできて、いつも決まった場所に黒澤さんがいるのが、今までなかったシチュエーションですね。「このあと話せる?」みたいなのが、社会人ならではだと感じます。会社ではできない込み入った話を外でしていて。学生だと学校の中で済ませるので、メリハリがあるのが大人だなと。
――逆に、大人でも恋に関して、学生と変わらないと思うところも?
久間田 手を突然掴まれたり、顔が急に近づいたりしてドキッとするのは、同じようなところがありますね。そういうシーンが今回たくさんあります。
――仕事をしながらも、黒澤のことをチラチラ見ていたり。
久間田 それも学校のシチュエーションでもあって、目の前にあるのがプリントではなく、パソコンになりました。あと、学校ではみんな前を向いていたのが、オフィスだと席がいろいろなところに向いていて。目が合いやすい感じがします。
仕事する姿もプライベートも見られて
――もともとオフィスラブにはどんなイメージがありました?
久間田 今回の原作を読んだとき、「わーっ、いいな」と憧れが詰まっているように感じました。常に相手と同じ空間にいて、仕事する姿を見ていて、プライベートの姿も見るようになって。どちらも知れるのはいいなと思います。
――葵が同期の京(齊藤なぎさ)に「会社に好きな人がいるっていいね」と言われるシーンもあります。
久間田 それはいいと思いますけど、役に入り込んでいくと、会社にいるからこそ見たくないことも目に入ったり、辛くなるシーンもあります。いいことが8、辛さが2くらいかもしれません。でも、好きな人がいるから頑張れたり、やっぱり幸せなことのほうが多いんでしょうね。
――仕事のモチベーションにもなって。
久間田 この作品は展開が速くて、ときめきの先の葛藤や苦悩まで描かれるのが素敵だなと思います。
友だちの話から会社のイメージを作りました
――ガッツリ働いている役を演じるのは初めてとのことですが、入社3年目はどんな感じか、イメージできました?
久間田 学生時代の友だちと食事に行くこともあって、本当に今2~3年目の子たちの話は、この作品が決まる前から聞いていました。私は会社で働いた経験はない中で、そういう話からもイメージを作っていきました。
――友だちの話が演技に役立っているんですか?
久間田 「〇〇先輩がカッコ良くて」みたいな話は聞くので、私は名前を言われても存じ上げませんが(笑)、やっぱり憧れの人は会社にいるんだなとは思っていました。
――琳加さんはコピー機のトナーの交換はしたことないですよね?
久間田 はい、ないです(笑)。そういうシーンを撮影2日目に撮って、ガチャンと交換し終わったあとの場面だったので助かりました。
――お仕事ドラマではありませんが、葵がやっている広告会社の営業について、調べたりもしました?
久間田 タレントとして広告撮影などでお世話になる機会があったので、イメージはしやすかったです。セットで使われている企画書を見ると、「このCMのコンセプトは」みたいなことがパーッと出ていて、カッコいいですね。広告会社さんのことがより知れそうです。
力の抜きどころがわからないのは似ています
――後輩の教育係的なことは、専属モデルの世界でもやっていませんでした?
久間田 後輩に話し掛けるのは勇気が要ります(笑)。ドラマでのそういうシーンと違って、私は葵みたいにはっきり教えてあげられる自信はないです。
――黒澤は葵のことを「面倒な仕事もちゃんとしようとする」「張り詰めている感じもある」などと評していました。琳加さんは葵の人物像をどう捉えていますか?
久間田 黒澤さんが言っていることと同じです。とにかく仕事に一生懸命で、すべてに100%で力の抜きどころがわからない。常に張り詰めている感じがします。
――それは琳加さんにもあるもの?
久間田 内面的なところは似ているかなと思います。私も100%でやりたくて、抜くところと力を入れるところのバランスがうまく取れなくて。葵みたいに我慢まではしていませんが、気持ちはすごく理解できます。
クランクイン前日はいまだに寝られなくて
――1話では「子どもの頃から高身長でいじられることも多くて」という台詞がありました。琳加さんはそういうコンプレックス的なことはありますか?
久間田 私はすごくネガティブ思考で、直したいなと思いつつ、なかなか変われません。考え込んでしまうんですよね。クランクインの前日はいまだに寝られませんし。
――初ドラマの頃から、そんな話が出ていましたが、主演を含めて出演をたくさん重ねても、変わらないですか?
久間田 ずっとそうです。今回のクランクインのとき、菊池さんに「寝られました?」とうかがったら「めっちゃ寝た」と言われました(笑)。私もそんなふうにどっしり構えたいです。
――不安がよぎるんですか?
久間田 現場はどんな空気になるんだろう? と考えてしまって。監督や共演者の皆さんと読み合わせなどで会っていたとしても、技術のスタッフさんたちも入るとどうなるのかなと。こんなにたくさんの人数で2~3ヵ月動くのは、この業界くらいですよね。だからこその緊張感はあります。でも、今回は菊池さんが近くにいらっしゃるので、見習えるところは学びたいと思っています。
――琳加さんは身長はちょうどいいくらいですか?
久間田 ちょっと高いくらいです。前は少しサバを読んでいたんですけど(笑)、伸びてやっと164cmに追い付きました。
自分からついていかないと波に乗れません
――「年齢を重ねるごとに、いろいろ考えてしまって踏み出すことに臆病になる大人の恋」と謳われていますが、恋愛でなくても、そういうことはあると思いますか?
久間田 学生の頃は、流行っているものに躊躇なく入れていたんです。今だとビーリアルとか流行っているんですよね? 大人になった今は、「このアプリ大丈夫? どうやって使うの?」とかいろいろ頭によぎって、入ることに臆病になりました(笑)。そうやって学生の流行からどんどん遠ざかっているのを、すごく感じています。
――言っても琳加さんはまだ23歳ですが、もうそんな感じですか。
久間田 顔の横でハートを作るポーズ(ルダハート)が流行ったとき、ビックリしました。今でこそ私もチェキとかでやっていますが、最初は「本当に流行っているの?」と思ってました(笑)。
――ずっと第一線でモデルをやっていても。
久間田 「Seventeen」の頃はついていけました。でも、いつからか突然、流行と遮断されるんです。前はずっと波に乗れていたのが、もう自分からついていこうとしなければ、完全に乗れなくなってしまって。常にアンテナを張っておかなければと思います。
ギャップがあるとキュンとします
――葵は公式サイトでは「恋に臆病になっていて」とありますが、意外と積極的に黒澤にアプローチもしていますよね。
久間田 そうなんです。私も最初に原作や台本を読んだとき、臆病というより勇気があるなと思いました。自分にはそういうところがないので、「こんなふうにアプローチするのか」と知ったくらいです。撮影初日に監督とも「意外とアクティブですよね?」と話し合って、監督も「そう思ってた」ということでした。
――黒澤は琳加さん目線でも、惹かれるところはありますか?
久間田 やっぱりギャップはいいなと感じます。普段は冷たそうだからこそ、エレベーターで部長の嫌味から庇ってもらったり、見たことのない表情を見てキュンときて。そういうシーンは試行錯誤しながら撮影しています。黒澤さんのやさしさが詰まっていることが多いので、観る方にもドキッとしていただけると思います。
「外柔内剛」を心に留めています
――葵に「この人の言葉は、いつだって私を揺さぶる」というモノローグもありますが、琳加さんも誰かの言葉に揺さぶられたことはありますか?
久間田 ドラマでは京ちゃんがいつも近くにいて、葵の変化に気づいてくれるんです。黒澤さんに声を掛けたくて、躊躇していてダメだったときの「あのとき言えば良かったなんて寂しいよ」という台詞は、すごくいいなと思いました。行動できる人だからこそ、言える言葉だなと。
――人生レベルで、座右の銘になっているような言葉はないですか?
久間田 「外柔内剛」という言葉は好きです。外見は柔らかく、中身は強く。コロナ禍の頃に何かで見て、こうなりたいと思って心の中に留めています。
野球を観に行けなかったのが最近の悲しみです
――『新米記者トロッ子』での取材では、プロ野球観戦にハマっているとのことでした。ペナントレース終盤まで熱は続いていました?
久間田 今も続いています。10月にシーズンが終わる前に、もう1回球場に行きたくて、チケットの予約サイトをいつも見ていました。撮影の合間にどこかで……と思っていながら、どうしても合わなくて。1回行けそうな日があったんです。仕事の合間に見たら(予約状況が)△になっていて、2時間後くらいに家に帰って、どの席が取れるかなと思って見たら、×になっていました。それが最近の悲しみです。私の今年の野球シーズンは終わってしまいました(笑)。本当は今日(取材日)も東京ドームで巨人×ヤクルト戦があって、すごく観たかったんですけど……。
――取材を受けている場合ではなかったですか(笑)。
久間田 時間が合わなくて仕方ないんですけど、ハーッ……となりました。でも、来年もこの野球熱はきっと冷めないと思います(笑)。
Profile
久間田琳加(くまだ・りんか)
2001年2月23日生まれ、東京都出身。2012年に「nicola」モデルオーディションでグランプリ。2017年8月から2022年3月まで「Seventeen」、2022年6月から「non-no」で専属モデル。女優としてドラマ『マリーミー!』、『お茶にごす。』、『ブラザー・トラップ』、『君に届け』、『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』、映画『おとななじみ』、『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』、『新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!』などに出演。ドラマ『私たちが恋する理由』(テレビ朝日系)に出演中。
オシドラサタデー『私たちが恋する理由』
テレビ朝日系・土曜23:00~