主な新興国/米国経済ニュース(3日)
米シティ、今月の米FRBストレステストで不合格ならばトップ更迭も
米金融大手シティグループ<C>は今月、FRB(米連邦準備制度理事会)によるストレステスト(健全性審査)の結果が発表されて、昨年3月の前回のストレステストに続いて再度、不合格と判断された場合、マイケル・コルバットCEO(最高経営責任者)やジョン・ガースパッチCFO(最高財務責任者)、ブライアン・リーチCRO(最高リスク責任者)は投資家から解任要求が出される可能性がある、と英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)が1日付電子版で伝えている。
昨年3月に、FRBは2008-2009年の世界的な金融危機を受けて、シティグループなど大手行に対し、金融資産の状態について量と質の両面からストレステスとを実施した。シティの場合、十分な金融資産を保有しており、過度なストレスに耐えうると判断されたものの、金融資産の質の部分の健全性を測る審査「包括的資本分析レビュー(CCAR)」で不合格となっている。
ただ、多くのアナリストは、シティは3月11日に発表される審査結果で合格を勝ち取ると予想しているものの、FRBの合否の判断基準の詳細が明らかにされていないため、審査方法には謎が少なくない、と指摘している。
-----
米スプリント、ベスト・バイと提携し2年リースの通話・ネットし放題へ
ソフトバンク傘下の米携帯電話サービス大手スプリント・コーポレーション<S>は米家電小売り大手ベスト・バイ<BBY>と提携して、ベスト・バイの店舗で簡単な手続きで携帯電話を購入できるサービス「ベスト・バイ・ワンプラン」の提供を開始する。米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)が先週末に伝えた。
このサービスは、携帯電話機の2年リース契約と通話、メール、データの無制限利用を一つのパッケージにしたもので、ユーザーが毎月支払う料金は米IT大手アップル<AAPL>の「アイフォン(データ保存容量16GB)」の場合、税・手数料別で65ドル(約7800円)、他のグーグルの携帯電話向け基本ソフト「アンドロイド」を搭載した携帯電話やスマホは75ドル(約9000円)となる。
スプリントは昨年12月に、同業大手の米通信大手AT&T<T>や米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>からのユーザーの乗り換えを狙って、既存の携帯電話料金の半額で通信契約が可能になる販売促進キャンペーンを開始し価格競争に入っている。
-----
ロシア通貨ルーブル、2月は対ドルで11.5%上昇―20年以上ぶり大幅高
昨年末から対ドルで急落していたロシア通貨ルーブル相場が2月に入ってから1990年代初め以来20年以ぶりの大幅上昇となった。モスクワ・タイムズ(電子版)などが1日に伝えた。
これは2月単月のルーブル相場がドルに対し11.5%上昇の1ドル=61.7ルーブルとなったもの。月間の上昇率としては20年以上ぶりの大幅上昇となる。一方、ユーロに対してもルーブルは13.2%高の1ユーロ=69ルーブルとなった。昨年12月、ルーブルは一気に40%もドルに対し急落し、1月にはルーブルはさらに18.7%も下落していた。
2月のルーブル相場の上昇の背景には、原油先物価格の回復傾向やウクライナ東部での政府軍と親ロシア派の武装グループとの戦闘の鎮静化で緊張が緩和したことがある。また、ロシアの対外債務の支払いスケジュールに余裕が見られたこともルーブル高を支える要因りなった。原油価格については、欧州の代表的油種であるブレント原油先物価格は昨年6月の1バレル115ドルから昨年下期(7‐12月)に急落、2月はそれ以降で初めて単月で上昇となり、現在は1バレル60ドル超で推移している。
しかし、アナリストは、ロシア政府が原油価格の低下による経済への悪影響を相殺するため、“弱いルーブル”を支持していることから、ルーブルが急落する前の2014年初めの水準にまで回復すると過度に期待しないよう警告している。
-----
国策投資ファンドのカザナ、マレーシア航空に再建資金530億円注入へ
マレーシアの国策投資ファンド、カザナ・ナショナルは昨年2度にわたって航空機事故を起こし経営危機に陥っているマレーシア航空の経営再建計画を支援するため、今後3カ月以内に最大で16億リンギット(約530億円)の資金を注入する方針を明らかにした。
カザナは昨年8月に政府のマレーシア航空の国有化方針に従って、同社の株式70%を取得し、新会社「NewCo(ニューコ)」によるマレーシア航空の再建を進めるため、総額60億リンギット(約2000億円)の資金注入を約束している。今回は再建計画の第2段階として、NewCoの事業計画の承認やコーポレート・ガバナンス(企業統治)などを条件に16億リンギットの資金を供給するものだ。ニューコは2015年7月1日までにマレーシア航空の資産を引き継いで再出発する計画。
-----
ホンダ、ベトナム製自動二輪の2015年輸出台数を2倍超の10万台へ
本田技研工業(ホンダ)はベトナムで生産したオートバイやスクーターなど自動二輪車の2015年の輸出台数を昨年比2倍超の10万台に拡大する方針だ。ベトナムの声・ハノイ放送局(電子版)などが2日に伝えた。
ホンダが自動二輪車の輸出拡大を目指す背景にはベトナムやタイ、インドネシアでトップシェアを誇るだけでなく、ミャンマーやラオスなどの他の東南アジア周辺国でもホンダ製の自動二輪車の知名度が高まっていることがある。また、ホンダはベトナム国内での自動二輪車に対する需要を喚起するため、既存モデルよりハイグレードなモデルへの買い替えを促進したい考えだ。
ベトナムは昨年、エンジン排気量50ccのスクーターは日本向け、また、100cc以上のスク―ターを欧州向けなどに計4万台を輸出しているが、昨年11月にはベトナム・ハナム省に1億2000万ドル(約140億円)を投じて、年間生産能力50万台の第3工場を完成させている。これでベトナム国内での自動二輪車の年間生産能力は200万台となる。
-----
ブラジル中銀週報:GDP伸び率見通し、マイナスへ下方修正―9週連続
ブラジル中央銀行が2日に発表した先週の経済週報「フォーカス・ブルティン」によると、同中銀の委託を受けた民間アナリストが予想した2015年実質GDP(国内総生産)伸び率見通しは、前週予想の対前年比伸び率0.5%減から0.58%減へ下方修正された。下方修正は9週連続。1カ月前の予想は0.03%増だった。一方、2016年のGDP伸び率見通しは前週予想の同1.5%増のまま据え置かれた。据え置きは4週連続。1カ月前の予想も1.5%増だった。
また、IPCA(拡大消費者物価指数)で見たインフレ見通しは、2015年は前週予想の前年比7.33%上昇から7.47%上昇へ下方修正(悪化)された。下方修正は9週連続。1カ月前の予想は7.01%上昇だった。2016年の見通しは前週予想の5.6%上昇から5.5%上昇へ上方修正(改善)された。1カ月前の予想は5.6%上昇だった。
一方、2015年末時点の政策金利の見通しは前週予想の12.75%から13%へ引き上げられた。1カ月前の予想は12.5%だった。2016年末時点の見通しは11.5%のまま据え置かれた。据え置きは9週連続。1カ月前の予想も11.5%だった。3月3-4日の次回金融政策決定会合時点での政策金利の見通しも12.75%のまま据え置かれた。1カ月前の予想は12.5%だった。
為替レートの見通しは、2015年末時点の対ドルレートは前週予想の2.9レアルから2.91レアルへ引き上げられた。1カ月前の予想は2.8レアルだった。2016年末時点の対ドルレートも3レアルのまま据え置かれた。1カ月前の予想は2.9レアルだった。(了)