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左利きの左ウイングと右利きの右ウイングが仕掛ける横浜FMの特異な攻撃

杉山茂樹スポーツライター
川崎フロンターレに4-1で勝利し、優勝を確定的にした横浜F・マリノス(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 日本代表の中島翔哉(左)と堂安律(右)がそうであるように、ウイングには右利きを左サイドに、左利きを右サイドに配置するケースが目立つ。かつては左には左利きを、右には右利きを置くことが常識だったが、この10年ぐらいの間に、多数派は入れ替わった。

 右利きの左ウイングは、利き足が内を向いているので、縦に行くより内に入りやすい状態にある。「カットインして右足シュート!」が狙いやすくなった分だけ、得点のチャンスも増えている。左利きの右ウイングも同様だ。

 だが、早い段階で内に切り込めば、攻撃のルートは真ん中に寄る。ボールは相手のゴールライン付近まで運ばれにくくなる。攻撃は浅くなりがちだ。それに伴い得点が最も生まれやすいプレーとされる、マイナスの折り返しも期待しにくくなる。

 相手にとって嫌なのはどちらか。攻撃のルートを狭めながらゴールに向かってくる相手は、ディフェンダーがほぼ正面を向いて対応できるので、守りやすいと言えば守りやすい。つまり浅い攻撃は、少々強引な力攻めに見える場合がある。

 一方、相手のゴールライン付近までボールを運べば、運んだ選手(ウイング)のプレーは、ほぼ折り返しに限られる(後ろに戻すという選択肢もあるが)。シュートという選択肢はほぼ消える。ゴール前で構える枚数も減ることになる。しかし、そのマイナスの折り返しが決まれば、中央で構える選手が触ることさえできれば、ゴールに直結する。相手のディフェンダーは、折り返されたボールと、マーカーである相手を同時に視界に捉えることができにくいので、マークはズレがちだ。飛び込む枚数が少なくても大きなチャンスになる。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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