主な新興国/米国経済ニュース(9月19日)
ペイパル、ロシア通貨ルーブルによる代金決済サービスを開始
世界オンライン決済サービス最大手ペイパルは17日、ロシア通貨ルーブルを新たな代金決済通貨として正式に採用した。これはすでにペイパルの決済サービスを利用しているイーコマース(電子商取引)大手13社を通じて実施するもの。モスクワ・タイムズ(電子版)が18日に伝えた。
13社はロシア版アマゾンとして知られるイーコマース最大手オゾンやラモーダ、エニーウェイエニーデイ、エンター、スビャズノイ、トゥトゥルなど。ペイパルのロシア地区担当取締役ウラジーミル・マルジン氏は、「ロシア国内でルーブルを使った商取引に対しルーブルによる決済サービスを正式開始した。ロシアの利用客はルーブルを使ってインターネットショッピングやロシア国内の銀行間の資金移動も行うことができる」と述べており、ルーブル決済はロシア国内の利用客が対象となる。
英市場調査会社TNSグローバルによると、ペイパルのロシア市場のシェアは9%で、これはインターネットサービス最大手ヤンデックスの17%、キウィの14%、ウェブマネーの13%に続く。
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ロシアのナビウリナ新総裁、議会にイグナチェフ前総裁の顧問就任を要請
ロシア中央銀行のエリビラ・ナビウリナ新総裁は17日、連邦議会に対し、前総裁のセルゲイ・イグナチェフ氏の総裁顧問への就任を承認するよう要請した。これは中銀が議会に提出した金融政策決定の最高意思決定機関である理事会の新しい構成メンバーの名簿の中で明らかにしたものだ。
もともと、ナビウリナ新総裁は6月の就任時に、イグナチェフ氏が中銀に残るよう要請する意向を示していた。18日付モスクワ・タイムズ(電子版)によると、今回のイグナチェフ氏の理事就任について、アナリストはこれまでの中銀の金融政策が継続されることを意味していると見ている。
ナビウリナ氏はウラジーミル・プーチン大統領の経済担当補佐官から中銀総裁に転出したが、当時は一部の政府幹部から中銀の金融引き締めに対する批判が噴出していたことから、エコノミストは、中銀は新総裁の下で景気回復を優先して金融緩和に転換すると見ていた。
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日産自、来年からインドネシア市場に新型「ダットサン」2モデル投入へ
日産自動車<7201.T>は17日、2014年から低価格の新型「ダットサン」2車種をインドネシア市場で全世界に先駆けて導入する計画を明らかにした。これはインドネシアの首都ジャカルタにあるショッピングセンター「ガンダリア・シティ」で開かれた「ダットサン・ワールド・プレミア」で、カルロス・ゴーンCEO(最高経営責任者)の出席の下で発表したもの。19日にはインドネシアで国際自動車ショーが開催され、それに先行する形となった。オンライン・ニュースメディア「ベトナム・インベストメント・レビュー」(電子版)などが伝えた。
新型ダットサンはインドネシア向け仕様で、3列シートの7人乗りと5人乗りハッチバックの小型MPV(ミニバン)となっている。また、地元経済紙ビジネス・インドネシア(電子版)によると、7人乗りモデルはインドで7月15日に導入された5人乗りハッチバックの「ダットサン・ゴー」をベースに生産され、エンジン排気量はいずれも1.2リットルでDISスーパーチャージャー(過給機)を装備する可能性がる。これは日産のミクラの3気筒1.2リットルエンジンと同じになるとしている。
2モデルとも価格は1億ルピア(約90万円)未満を予定しており、これによって日産はインドネシア市場での現在の6%の販売シェアを2017年初めまでに15%と、2倍以上に拡大したい考えだ。
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リクルート、ベトナムの企業管理職向けSNSサイトに出資
ベトナムのヘッドハンティングサイトでもある企業管理職向けソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)大手アンファベ(Anphabe、会員数8万5000人)は16日、人材派遣大手リクルートのベンチャーキャピタル、リクルート・グローバル・インキュベーション・パートナーズ(RGIP)が同社の株式19.8%を取得し、戦略的パートナーとなったことを明らかにした。
今回のリクルートからの出資を通じて、今後、アンファベは、優秀な人材を集めるために雇用主としての企業の魅力度を高めるエンプロイヤー・ブランディング戦略の調査・立案を専門とするベトナム初のコンサルティング企業を目指す。
出資額については明らかにされていない。RGIPはアジアの新興企業への投資を通じて、起業家に専門知識やノウハウを提供している。
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米マイクロソフト、4兆円の自社株買いと22%増配実施へ
ソフト世界最大手マイクロソフト<MSFT>は17日、株主への利益還元を目的に、新たに400億ドル(約4兆円)の自社株買いと、四半期配当金の22%増配を実施する方針を明らかにした。
増配は1株当たりの支払額を23セントから28セントへ22%増額するもので、11月21日現在の株主を対象に、12月12日から配当金を支払う計画。配当落ち期日は11月19日になるとしている。また、自社株買いは9月末に期限切れとなる400億ドル相当の自社株買いプログラムを引き継ぐものだが、今回は、有効期限は明示していない。この発表を受けて、同社の17日の株価は0.39%高の32.93ドルで引けた。
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米スーパー大手セーフウェイ、ヘッジファンドの敵対的買収で防衛対策導入
米アクティビスト・ヘッジファンドのジャナ・パートナーズは17日、米スーパー大手セーフウェイの株式6.2%を取得したことを明らかにした上で、今後はセーフウェイの経営陣と株価を高めるための協議を進めていく考えを示した。これを受けて同社の株価が急騰した。米経済情報専門サイトのマーケットウォッチなどが17日に伝えた。
ジャナ・パートナーズは米証券取引委員会(SEC)に提出した報告書で、セーフウェイの経営陣との間で、一部の不採算地域からの事業撤退や投資家に対するリターンの引き上げについて協議しているとしている。
一方、セーフウェイはジャナ・パートナーズによる敵対的買収に対抗するため、ポイズン・ピル戦略を強化する方針だ。ポイズン・ピルは、株主割当増資(ライツ・イシュー)によって、敵対敵買収を仕掛けているヘッジファンドの持ち株比率を低下させる戦術で、ジャナ・パートナーズが株式の10%以上を取得するのを防ぎたい考えだ。
このため、セーフウェイは17日、ポイズン・ピルとして、1年間の期限付きの株主割当増資(ライツ・イシュー)プログラムを実施する方針を明らかにしている。これによって、9月30日現在の株主を対象に、普通株1株につき、優先株1株の購入を認める。この新株取得の権利行使は、特定の個人や企業が一定の株式保有比率を超えた場合に、株主に対し割安な価格で購入できる権利を行使させて株式の購入を促すことになる。セーフウェイの株価は17日に、10.5%高の30.99ドルに急騰し、時価総額は約75億ドル(約7400億円)となっている。
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独高級車アウディ、ブラジルで2015年から9年ぶりに現地生産を再開へ
ドイツ自動車大手フォルクス・ワーゲン傘下の高級車部門アウディは17日、2015年からブラジルでの現地生産を再開することを明らかにした。生産再開は2006年の現地生産停止以来9年ぶりとなる。
これはブラジルを訪問した同社のルパート・スタドラー会長がジルマ・ルセフ大統領との会談後、記者団に明らかにしたもので、同社はパラナ州南部のサンジョゼー・ドス・ピニャイスに、2015年までに1億5000万ユーロ(約200億円)を投じて、新工場を建設するとしている。
新工場では新型セダンの「A3」とSUV(スポーツ用多目的車)の「Q3」の2車種を組み立てる計画で、A3は2015年下期(7-12月)、Q3は2016年半ばごろから、それぞれ生産を開始する。アウディの生産再開にあたって、ブラジル政府は自動車に対する工業製品税(IPI)を最大30%課税免除するなどの税制優遇措置を適用する。
スタドラー会長は、「いまはブラジルの高級車市場はかなり小さいが、今後数年間で急成長が見込める」と述べている。同社は2013年末に中国で新工場の操業を開始し、2016年にはメキシコの新工場でもフル生産に入る予定。同会長によると、来年のアウディの全世界の自動車生産はドイツ国外の生産台数が国内の台数を初めて上回る見通しで、2020年までに全世界で年間販売台数200万台の目標達成を目指したい考えだ。(了)