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石北本線特急「大雪」、来春ダイヤ改正での快速化検討!?

清水要鉄道ライター
特急「大雪」に使用されるキハ283

6月7日、JR北海道が旭川と網走を結ぶ特急「大雪(たいせつ)」を来年3月ダイヤ改正で快速列車に切り替えることを検討していると、北海道新聞が報じた。

「大雪」は一日二往復運行されている特急列車でダイヤは以下の通りだ。

下り<大雪1号>

旭川12:41→遠軽14:49→北見15:45→網走16:34

下り<大雪3号>

旭川17:07→遠軽19:00→北見19:55→網走20:44

上り<大雪2号>

網走8:05→北見8:55→遠軽9:52→旭川11:43

上り<大雪4号>

網走12:37→北見13:27→遠軽14:24→旭川16:16

停車駅は上川、白滝、丸瀬布、遠軽、生田原、留辺蘂、北見、美幌、女満別で、1、2、3号が白滝を、4号が丸瀬布を通過する。

札幌と網走を結ぶ特急「オホーツク」2往復を補完する役割の特急で、平成29(2017)年3月4日のダイヤ改正でオホーツク4往復のうち2往復の運転区間を短縮する形で誕生した。短縮された札幌~旭川間には特急「ライラック」が増発され、対面乗換えが必要になったものの、札幌~網走間の所要時間は維持されている。

車両は「オホーツク」時代と同じキハ183系が使用されてきたが、令和5(2023)年3月18日ダイヤ改正でキハ283系に置き換えられ、同時にグリーン車が廃止された。

編成は指定席2両、自由席1両の3両編成だが、快速化でワンマン運転の2両編成となり、利用者にとっては特急料金が不要となる。

バスやマイカーとの競争により利用が低迷する中、コスト削減を図るのが狙いだが、単にワンマン運転として車掌の人件費を削減するのであれば、わざわざ快速にする必要はないだろう。事実、JR九州などではワンマン運転の特急も存在している。

快速化の理由としては、ワンマン化よりもむしろ老朽化した車両の更新の方が大きいであろう。「大雪」に用いられるキハ283は製造から四半世紀近くが経過しているだけでなく、厳しい環境での長年に渡る高速走行により酷使されている。キハ183よりは新しいものの、とても長期の使用は望めまい。JR北海道としては北海道新幹線札幌延伸で特急「北斗」用のキハ261が余剰となって転用されてくるまで7年間の「つなぎ」とするつもりだったはずだ。それが北海道新幹線の札幌延伸が工期の遅れにより「未定」となったことで、計画が狂ってしまったのだろう。

現在、石北本線には特別快速「きたみ」が運行されており、H100形2両編成が用いられている。ダイヤは以下の通りだ。

下り<きたみ>

旭川14:40→遠軽16:59→北見18:01

上り<きたみ>

北見10:26→遠軽11:41→旭川13:49

停車駅は旭川四条、新旭川、南永山、東旭川、桜岡、当麻、上川、白滝、丸瀬布、遠軽、安国、生田原、留辺蘂、相内、東相内、西北見で、特急と比べるとかなり多い。もし快速化にあたって、「きたみ」並みに停車駅が増えるのであれば、所要時間の大幅な増加は避けられない。また、車両がH100形になるのであれば、座席定員減少によるサービス低下も懸念される。利用者目線で見れば、特急料金不要になるメリットよりも、所要時間増加・サービス低下によるデメリットの方が大きいのではないだろうか。マイカーや高速バスへの対抗面でも石北本線にとって不利に働くと考えられる。今後、正式に詳細な情報が発表されるだろうが、利用者にとってよりよい形で落ち着くことを望みたい。

鉄道ライター

駅に降りることが好きな「降り鉄」で、全駅訪問目指して全国の駅を巡る日々。

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