開催57回目・ 京王の駅弁大会、コロナ禍で変わった「朝の行列」変わらない「うまいものパラダイス」
☆日本最大級!京王の駅弁大会、コロナ禍の中での試行錯誤
2022(令和4)年1月7日から2週間に渡って、京王百貨店新宿店(東京都新宿区)で「第57回・元祖全国有名駅弁とうまいもの大会」が開催されます。2週間合計で100店舗(うち駅弁の実演販売が35社)駅弁の販売は実演輸送合わせて約300種類。デパートの特設会場で行われる、いわゆる“催事”としての駅弁大会としては、国内随一の規模といって良いでしょう。
同店でこの大会の第1回が開催されたのは1966(昭和41)年、京王百貨店の1号店として新宿店が開店してから、わずか2年後のこと。大会の歴史は、同店の歴史とともにあるといって良いでしょう。また期間中は開催を待ちかねていた来店客で賑わい、期間中の客数が新年の初売りを上回ることすらあるのだとか。
しかし前回の大会(2021年1月・第56回)は、新型コロナウイルスの感染拡大、移動・外出自粛の流れもあり、さらに折悪く開催初日の夕方に「翌日から緊急事態宣言発令」との一報が流れました。開催期間中の来店客数は初日(木曜日)がほぼピーク、週末にかけて盛り上がることはなく、2020年開催時に比べて、実績は半分程度にとどまったそうです。
また、都道府県をまたぐ移動の自粛によって、実演ブースでほぼ必ず出店していた仙台駅弁「こばやし」郡山駅弁「福豆屋」などが実演での出店を断念(輸送駅弁で参加)。“うまいものブース”でも、買い求める人々の行列が風物詩でもあった「玉出木村家」などが、京王百貨店と話し合いをもった結果、不参加となってしまいました。
いずれもこの大会の代名詞とも言える人気商品を擁する業者ばかり。来店して初めて出店が無いことを知り、驚く人々も多かったそうです。
そして京王百貨店・参加業者だけでなく、毎年のように来店していた常連の方も「出かけたくとも出かけられない」と、開催をもどかしい思いで見守っていました。その中で大会の一環として始めた冷凍駅弁・冷凍商品の通信販売は、“ステイホーム”を余儀なくされていた顧客の方々にとても好評だったのだとか。
そしてそれだけでなく、“岩手短角牛のやわらか煮“で知られる「肉のふがね」が、実演で参加できなかったものの通信販売には参加するなど、大会を支えてきた業者と京王百貨店との関係を繋ぐのにもひと役買いました。
☆“ニューノーマル”2回目の駅弁大会に潜入!感染症対策で大きく変わったオペレーション
〈変わった点・その① 出店される方々・京王百貨店の感染症対策〉
1年が経ち、いよいよ第67回「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」が開催されます。2021年開催の前回に続いて、“ニューノーマル”2回目となる今回の大会には、2年ぶりにこの地に集う業者も多く、「久しぶりだね!」の声が至る所で飛び交っていました。
そして、大会に業者として参加するためには「関係者全員がPCR検査を受ける」「宿泊ホテルは必ずシングル」など、ニューノーマル前にはなかった数多くの参加条件をクリアする必要があります。そして感染症対策だけでなくクレンリネス(衛生面の徹底)も以前にも増して確認事項が徹底されているようで、前日に行われた夕礼も、かなり念入りなものに。久々の参加となる業者の方が思わず「厳しくなったなぁ・・・」とこぼす場面も見受けられました。
〈変わった点・その② 開店前の待機場所〉
そして、来場を迎えるオペレーションも前回(2021年1月)開催から大幅に変更になっているため、過去の大会を知る人々は少し驚くかもしれません。
大きな変更点といえば、開店前の待機場所が正面口に変更されたことでしょう。そして、その中から一定人数を先にメイン会場の7階まで誘導し、会場手前で待機、という方法がとられています。
なお2020年までは、中地階のエレベーター前で待機、おおよそ20人単位で組が分けられ、開店時間の直前にエレベーターで7階に誘導、といった方法がとられていました。なお筆者も毎年1・2回は参加していましたが、この場所は屋内ではあるものの冬場は冷え込むため、寒さを紛らわせるように「ねえ、何を買う?」と話している人々が多かったように記憶しています。7階の会場手前で待機であれば、その環境は以前よりは間違いなく暖かく待てます。
〈変わった点・その③会場の分散・事前予約での受け取り〉
そして人混みを分散させるために、会場も7階・4階と2フロアに分散。地方から取り寄せた「輸送駅弁」は4階(婦人服「ライラック」向かい)で販売されています。また昨年から一部駅弁の予約販売にも対応しているため、2階特設カウンターで受け取りが可能です。(2日前までホームページで予約、数・アイテムに限りあり)受け取り時間も4階に変更されています。
加えて先に触れたように、冷凍駅弁・冷凍商品の通信販売にも対応しているため、「メイン会場に入らずとも」「店に足を運ばずとも」さまざまな楽しみ方で駅弁大会に参加できるようになった、と言えるでしょう。
そして、会場入口の正面には、人数の計測カウンターを設けているため、混雑の具合によっては入場制限を行う時もあるのだとか。
また、買った駅弁を店内で食べる「お休み処」は休止・撤廃され、屋上スペースにあったテーブル・椅子も撤去。「駅弁・うまいものの飲食は持ち帰ってから」が徹底されています。(ぶどうジュース1杯売り・ソフトクリームなど個食のものは近くで飲食可能なものもあり)
なお余談ですが、中地階エレベーター前で行列待機していた方なら、人員整理をされていた京王百貨店の話好きの社員さんを記憶に留めている方も多いのではないでしょうか。日によっては数百人の行列ができることも珍しくない中、そのトークは「今年も漫談が始まった!」と言われるほど軽快だったように記憶しています。
この方はコロナ禍前に定年退職し、既に在籍されていません。京王百貨店の社内にも「あの人は大会の名物だったのになぁ」と惜しむ声もあったそうです。
☆会場の「美味いもの三昧」ぶりは変わらない!各社からのメッセージ
2022年開催の「元祖有名駅弁とうまいもの大会」は、各社ともお馴染みのアイテムだけでなく“攻めた“新商品を引っ提げて、京王百貨店新宿店に乗り込んでいます。この大会に出店される業者の方の笑顔を見に、各コーナーを回ってきました。
【まねき食品様(山陽新幹線・姫路駅弁)】
・ご担当者様コメント
今年こそは良い年になりますよう、1年始まりのこの駅弁大会で、お客様が少しでも元気に、明るい気持ちになっていただけますよう、感謝を込めて頑張ります! 開けてビックリ!「牡蠣」が20粒も!「瀬戸内産牡蠣使用 どっさり牡蠣めし」をご用意してお待ちしております!是非ご来店くださいませ。
〈筆者補足・まねき食品様はここがスゴい!〉
姫路市に本拠地を構える同社は、感染症の拡大が続いていた際には本社工場を一時的に改装し、地元の人々に駅弁・駅そばを提供し続けました。
今年は崎陽軒・シウマイ弁当の公式コラボレーション「関西シウマイ弁当」が大きな話題を呼びましたが、地元の方々が「まねきが何か面白いことをやっている!」とばかりにいそいそと買いに来る姿も見られ、その愛されぶりに100年以上続く「まねき」の強みを見た気がしました。今回の新作「どっさり牡蠣めし」も期待大です!
【丸政様(中央本線・小淵沢駅)】
株式会社丸政様 ご担当者様コメント
現在販売している「そば屋の天むす」をたこ焼き風に焼き上げた新商品となっています。一見するとたこ焼き?と勘違いするかもしれません。天むすの周りを醤油で焼き上げていますので、口の中に香ばしさが広がり、通常のそば屋の天むすとは違った味わいとなっています。
今回の1/7から始まる元祖有名駅弁大会から初めてお出しする変わり種の新商品ですので、お客さまからどう評価されるのか不安でいっぱいですが頑張ります。
〈筆者補足・丸政様はここがスゴい!〉
丸政様の駅弁といえば、1985年に発売された「元気甲斐」が有名です。テレビ番組「愛川欽也の探検レストラン」の協力で、伊丹十三氏、安西水丸氏・京都「菊乃井」村田吉弘氏など、各分野のスペシャリストが総結集して作り上げた一品は、今はなき紀行作家・宮脇俊三氏も大のお気に入りだったのだとか。
他にも2021年の“駅弁大将軍“に選ばれた「ワインのめし」、生野菜が入った「高原野菜とカツの弁当」なども。丸政様の駅弁は、いつも「どんな美味しい仕掛けがあるんだろう?」とワクワクしてしまいます。
【淡路屋様(山陽本線・神戸駅)】
淡路屋さんの今回の実演販売は、ご存知「ひっぱりだこ飯」シリーズの新しい仲間「たこ壷カレー」です。よくよく壺を見ると、蛸の頭には・・・後は買って確かめてください。
そして輸送駅弁では、史上初・JR貨物とのコラボ駅弁「JR貨物コンテナ弁当 神戸のすき焼き編」がかなりの争奪戦になりそうです。
【いかめし阿部商店様(函館本線・森駅)】
駅弁大会といえば、真っ赤なパッケージの「いかめし」!
2021年には、京王の駅弁大会で販売数1位50回を達成、殿堂入りを果たした「いかめし阿部商店」は、いかめし史上初のどんぶり駅弁「3代目のいかめしde丼!」で勝負を賭けます。
「いかめし」のロゴが入った真っ赤な特製の丼、この機会にぜひ入手したいものです。
【ひろしま駅弁当様】
こちらでは、JR山口線で運行されている「SLやまぐち」に因んだ弁当を復活販売しています。
それでは続いて「全国うまいもの」ブースへどうぞ!
【安岡蒲鉾様(じゃこ天など)】
愛媛県宇和島市からいらっしゃった安岡蒲鉾様といえば、近海で獲れるほたるじゃこ・えそから作る「じゃこ天」でしょう。水にさらさず作るので栄養は豊富、旨味もたっぷり。おかずにも、おつまみにも、お弁当にも。いずれも最適です。
【駒乃屋様(釜めし)】
長野県佐久市からいらした駒乃家様は、とり釜めし・五目釜めし・きのこ釜めしなど・さまざまな釜めしを実演販売しています。こうして炊き上げているところを見ることができるのも、こういった催事の楽しみですね。
※この後も、少しづつ追加していきます。
〈了〉