ドラ1候補の評判に偽りなし。黒星先行も早稲田・早川の投球内容は森下以上。
第3週終了時で投手三冠
3週間後に迫ったドラフトで投手の目玉となる左腕が本領発揮、早稲田大学の早川隆久が大学最後のリーグ戦で格の違いを見せつけている。まずは9月19日の明治大学戦で2安打17奪三振1失点。10月3日の法政大学戦では4安打13奪三振、無四球で完封勝利を挙げた。4日にも8回1死満塁からマウンドに上がり、三振とファールフライでピンチを凌いで9回も無失点。連投の影響を感じさせない炎のリリーフで1回2/3を無安打3奪三振、背番号10を背負うエースが気迫で流れを呼び込んだ。第3週を終えた時点で2勝、33奪三振、防御率0.46は全てリーグトップ、スカウトの評価もさらに高まっている。
4年春までの通算成績は防御率3.08で8勝12敗と黒星が先行。ドラフト1位候補としてはやや物足りなく映る。実際、昨年のドラフトで広島から1位指名を受け現在新人王争いを演じている森下暢仁のリーグ戦通算成績は15勝12敗、防御率2.42。2年前にロッテからドラフト3位指名を受けた早稲田大学の左腕の先輩、小島和哉は22勝13敗、防御率2.37だった。数字の面で早川は"結果"では及ばないが、"内容"では先輩達を上回っている。
制球力と奪三振能力で群を抜く
1つ四球を与える間にいくつ三振を奪ったかを示すK/BBは球場の違いや味方の守備力の影響を受けない。投手の実力を表す指標としてかなり有効で、3.5以上あれば完成度の高い投手とされている。早川の大学通算K/BBは4.98とかなり高い。ホームページで確認出来た成績は与四球ではなく与四死球だったため、死球を含む。実際よりも低い数値となっているが文句なしだ。森下のK/BBは3.31、小島は1.75だった。近年では柳裕也(中日)が3.93と優秀な数値を残していたが早川は1.05も上回る。過去5年間、東京六大学野球連盟からプロに進んだ投手でK/BBが3を超えていたのは柳と森下の2人だけ。早川の勝ち星はともかく、内容は圧倒的だ。
他連盟のドラフト1位投手の成績は
2018年
巨人 高橋優貴(八戸学院大学)
17勝10敗 防御率2.02 K/BB2.62
DeNA 上茶谷大河(東洋大学) 1部のみ
10勝4敗 防御率2.14 K/BB4.5
ヤクルト 清水昇(國學院大学)
13勝7敗 防御率2.83 K/BB3.01
ソフトバンク 甲斐野央(東洋大学) 1部のみ
8勝4敗 防御率2.11 K/BB2
西武 松本航(日本体育大学)
30勝18敗 防御率1.63 K/BB4.08
2017年
巨人 鍬原拓也(中央大学)
11勝13敗 防御率3.38 K/BB2.12
阪神 馬場皐輔(仙台大学)
15勝6敗 防御率1.34 K/BB3.68
DeNA 東克樹(立命館大学)
19勝9敗 防御率0.93 K/BB6.03
楽天 近藤弘樹(岡山商科大学)
29勝22敗 防御率1.23 K/BB確認出来ず
K/BBが4以上を記録している上茶谷、松本、東は1年目から1軍の舞台で活躍していた。当然、早川にも期待が高まる。ドラ1競合は確実で、即戦力となりそうだ。