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極端な投高時代到来。統一球時代より点が入らない?

小中翔太スポーツライター/算数好きの野球少年

 健大高崎が群馬県勢初優勝を果たした今春の選抜では、反発力を抑えた新基準の"飛ばないバット"が大きな話題となった。昨年は12本あった本塁打が今年は3本(1本はランニング本塁打)だけ。これほど極端ではないもののプロ野球でも平均本塁打が年々減少傾向、ひいては得点の入りづらい投高の時代となっている。

統一球時代より本塁打が出にくく点が入らない

 20年前の2004年には9球団が試合数より多くの本塁打を記録しており、1試合平均本塁打は2.45本。毎試合複数アーチが飛び出すような状況だった。しかし統一球時代の2011年は1.09本、2012年は1.02本と半減以下に。2013年からは増加傾向だったが2019年の1.97本を境に2020年から減少へと転じ昨季は1.46本。対戦が1回りした段階の今季は0.79本と大幅に減っている。

 一発が出にくい環境下では自然とロースコアの展開が増える。NPB全体での2004年の平均得点は4.92点だった。5点を巡る攻防だったものが2014年の平均得点は4.12点と10年前はいかに4点より多く取るかが勝敗の分かれ目となり、昨季の平均得点は3.48点と4点取れば勝ちだった。今季はさらに拍車がかかり、平均得点はセリーグが2.77点、パリーグが2.98点と3点取れば勝ちという状況だ。平均得点は2011年が3.28点、2012年は3.26点だったから今季は統一球時代より点が入らない。

気温が上がれば打つのか、オープン戦と同じく打低か

 ペナントレースはまだ1/9を消化しただけでサンプル数が少なく、一般的に春先は投手有利とされているため今後増加することは十分に考えられる。実際、昨季の平均得点は3.48点で4月終了時点は3.23点。平均本塁打は1.46本で4月終了時点では1.33本だった。今季の異様に低い打撃成績も気温の上昇と共に増加する見込みはあるものの例年の水準に達しない可能性もある。今季のオープン戦の本塁打は1試合平均0.9本。1を割り込むのは2015年以来でNPBのホームページで確認出来る2012年以降の中では2番目に少ない。最も少なかったのが統一球が使用されていた2012年の0.71本だった。

 投高の要因としてはトレーニングやトラッキング技術の発達が考えられる。投手は自身の投球を視覚化することで質の良いボールの再現性が高まり、球種選択も適切な組み合わせを選択出来るようになった。加えて平均球速はこの10年で約5km/h上昇しているという。高速化は特にリリーフ投手が顕著で勝ちパターン以外のリリーバーでも150km/hオーバーは珍しくない。先発でもトップクラスの投手ならば平均球速で150km/h台をマークする。打者に求められるスキルは過去のどの時代よりも高い。

 個人成績を見ても昨季の3割打者は両リーグ合わせて5人だけ。これは2リーグ制となった1950年以降では最少で、パリーグ首位打者となった頓宮裕真(オリックス)の打率.307は1962年の森永勝治(広島)と並んで最も低いものだった。逆に非常に珍しい記録であるノーヒットノーランは昨季2人、おととしは5人が達成している。

 打者受難の時代であることは間違いないものの、それにしても今季の極端な投高打低は単に偶然が重なった一時的なものなのか。これからは活発な試合展開が数多く見られますように。

スポーツライター/算数好きの野球少年

1988年1月19日大阪府生まれ、京都府宮津市育ち。大学野球連盟の学生委員や独立リーグのインターン、女子プロ野球の記録員を経験。野球専門誌「Baseball Times」にて阪神タイガースを担当し、スポーツナビや高校野球ドットコムにも寄稿する。セイバーメトリクスに興味津々。

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