北欧でマスク フィンランドとノルウェーでも動き
アイスランドとデンマークがマスク要請へと踏み切った。それを追うようにフィンランドとノルウェーでもマスク着用を求める声が高まっている。
フィンランドでは来週にも方針発表か
6日、フィンランド社会保健省はマスク着用に効果があるかは未だに検討中ではあるが、強制ではなく要請という形で新しい方針を出す動きを見せている。
詳細は来週中にも発表予定。要請を全国対象か・地域別とするか、どのような時に着用するべきかを指定し、年齢指定を設ける可能性もあると報道されている(フィンランド公共局)。
首都ヘルシンキのJan Vapaavuori市長は「マスク着用要請は早く準備されることが重要」と国からの指示を待っている状態だ(フィンランド公共局)
ノルウェーは7日に政府が記者会見予定
ノルウェーでは7日にも政府がマスク着用要請に関して発表する動きを見せている。
現地では医療関係者から「何も顔につけていないよりはましだ」とマスク着用を求める声が上がっていた。
ノルウェーでは3月から新型コロナの感染拡大が顕著となったが、政府はマスク着用という対策には関心を示していなかった。4月時点ではノルウェー公衆保健研究所の医師は「アジアのマスク着用は文化的なものだ」とさえ話していた(VG紙)。
欧州各国でマスク着用が定着し始めても、北欧各国はその流れに乗らない独特の動きをしていた。
7月19日にベルゲンス・ティーエンデ紙の取材で公衆保健研究所のエリクセン・ヴォッレ班長は「ノルウェーでは感染率が低いからマスク着用は推奨されない。しかし、1メートルの距離を互いにとることが難しい場所で感染率が高くなれば、今後要請する可能性はある」と答えていた(アフテンポステン紙)。
アイスランドとデンマークが7月末からマスク着用に乗り出したことで、他の国も動かないと批判をかわしきれない状況になった。
北欧各国は気候や人口密度などの条件や文化が似ているために、コロナ対策では互いを参考にしあう傾向がある(スウェーデンは集団免疫戦略をとっていたので例外)。
8月は人の移動が活発になる
8月の北欧諸国では市民が夏の休暇から戻り、在宅勤務から職場に戻る人、秋学期の開始で教育現場に通う子どもや学生も増える。
一方で、欧州の国によっては8月が本格的な休暇時期であり、今月はノルウェーに旅行にくる外国人旅行者の出入りが増加するともされている。
公共交通機関が8月から混雑しはじめるのは明らかで、どの北欧の国もマスク着用要請は「混雑した公共交通機関」・「他者との距離がとりにくい混雑した場所」と条件指定をする傾向がある。
ノルウェーとフィンランドで話題となる共通の課題
マスク着用に乗り出すであろう動きの中で、ノルウェーとフィンランドでは同じことが話題となっている。
- 薬局でマスクが急激に売れており、買い占め行為をしないように呼び掛けがされている
- マスクの価格が安いとはいえないため、経済格差が広がり、金銭的に余裕のない家庭が感染防止対策をしたくてもできなくなること
- なんらかの理由でマスクを着用していない人が、交通機関などで偏見の眼差しで見られる可能性
ノルウェー公共局の調べによると、マスク1枚の効果が8時間とする場合、1日に1人2枚必要となり、4人家族は月に3792ノルウェークローネ(約4万4600円)をマスク購入で支払わなければいけない。
物価の高いノルウェーで、この出費が子どもがいる家庭にとって打撃となるのは明らかだ。
フィンランドでは2日に国立健康福祉研究所THLがマスク着用要請の動きを認めて以降、薬局でマスクの売り上げが3倍になっている(フィンランド公共局)。ノルウェーではその数は5倍、一部のオンラインショップではマスクの価格が8倍以上にもなっている(ノルウェー公共局)。
政府の7日の記者会見を待たずにして、すでにノルウェー現地では手作り布マスクの売れ行きが伸びている。
一方でオスロの街ではマスクをしている人の姿はほとんどない。私は今日、中心地を歩いていて見かけたマスク着用者は2人だけだった。この光景は週末以降にはガラリと変わっているのかもしれない。
Text: Asaki Abumi