Twitterが一時的に「ログイン必須」に。影響範囲は?
6月30日ごろから、TwitterをWebブラウザーから開こうとすると、ログインを求める画面が表示されるようになりました。
これは一時的な措置のようですが、これまでURLを開けば誰でも閲覧できていたものがログイン必須となることで、さまざまな影響が出てくると考えられます。
一時的にログイン必須に
Twitterを使うには基本的には無料のアカウント登録とログインが必要ですが、ツイートを見るだけなら、URLをWebブラウザーから開いて誰でも閲覧することが可能でした。
しかし6月30日ごろから、ツイートを閲覧するだけでもログインが必要になった、との報告が世界中で相次いでいます。
Twitterに特化したニュースアカウントとして、新CEOからもフォローされている「T(w)itter Daily News」がこの変更を取り上げたところ、イーロン・マスク氏は「一時的な緊急措置」と返信しています。
ログインすればこれまで通り使えることはたしかですが、「ツイートのURLがあれば誰でもアクセスできる」という前提が変わることで、さまざまな影響が出てきそうです。
たとえば他の人にツイートを共有したい場合、これまではURLを送るだけで良かったところが、これからはTwitterを使っている人にしか伝わらない場合が出てくることになります。
Twitterを利用したイベント、キャンペーンのようなビジネス利用においては、参加にあたっての条件や期待できる効果が変わってくる可能性があります。
Twitterには政府や災害情報など公共性の高い情報を発信しているアカウントも多数存在しますが、こうしたツイートの閲覧にもログインを求められます。
URLを指定して利用する外部サービスにも影響がありそうです。たとえばツイートが削除されても記録を残せる「ウェブ魚拓」がうまく機能しなくなっているようです。
検索エンジンはWebサイトを巡回してインデックスを作っていますが、Twitterでログイン必須となることで、今後のツイートは検索にヒットしなくなる場合が出てきます。
ただ、Googleのクローラーにはツイートを表示させる設定になっており、検索エンジンに対しては抜け道が用意されています(7月1日13時時点では、この方法も塞がれています)。
他のWebサイトに埋め込まれたツイートの閲覧には問題ありません。筆者が試した範囲では、新たにツイートを埋め込む機能も問題なく動いています。
外部からのデータ取得への対策か
Twitterにとって、ログイン必須とする変更にはメリットとデメリットの両方がありそうです。
これまでアカウントを作らずに、Webから見るだけだった人が一斉にアカウントを取得すれば、ユーザー数の増加につながります。
その一方で、ツイートが届く人の数が減ることで、情報発信のプラットフォームとして魅力は下がる恐れがあります。
今回の変更に踏み切った背景について、イーロン・マスク氏は「データを取られすぎて一般ユーザーのサービス品質が下がっていた」と補足。さまざまなAI企業が膨大な量のデータをTwitterから取得していたとも説明しています。
本来、ツイートを外部から取得するにはAPIを契約する必要がありますが、外部のAIなどがWeb経由でデータを大量に取得(スクレイピング)していたとすれば、これに対策を打つ必要があったと考えられます。
あくまで一時的な措置として何らかの解決策が見つかることを期待したいところですが、それまでの間、他のプラットフォームに避難する人が増えるかもしれません。
追記:
日本時間で7月5日の夜、ログイン必須とする制限が一部で解除され、個別のツイートについてはログインしない状態でも表示できるようになっています。