シリア軍はトルコの警告を無視してアレッポ県で支配地を拡大、アサド大統領は異例の勝利宣言
シリア軍はアレッポ県西部での攻勢を続ける
アレッポ県では、国営のシリア・アラブ通信によると、シリア軍が17日、シャーム解放機構、国民解放戦線などからなる「決戦」作戦司令室と戦闘を続け、バスラトゥーン村、フール村、アンジャーラ村を新たに制圧した。
シリア軍はトルコ軍監視所が設置されているシャイフ・アキール山を完全制圧
クルド民族主義組織の民主統一党(PYD)に近いANHAによると、シリア軍はまた、トルコ軍監視所が設置されているシャイフ・アキール山を砲撃、「決戦」作戦司令室との戦闘の末にこれを完全制圧した。
ロシア軍の爆撃で住民死亡
一方、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機がアターリブ市、カフル・アンマ村、シャイフ・バラカート山、ダーラ・イッザ市、同市とタルマーニーン村を結ぶ街道沿線一帯、アルハーブ村、カフル・ヌーラーン村、アブザムー町を爆撃し、アブザムー町で子ども1人と女性1人が死亡した。
シリア軍戦闘機もサッルーム村一帯を爆撃した。
ホワイト・ヘルメットは声明を出し、ロシア軍戦闘機がダーラ・イッザ市内のフィルドゥース病院とカナーナ病院を爆撃し、住民多数が負傷したと発表した。
イドリブ県でも戦闘は続き、トルコ軍は2カ所に新たな拠点を設置
イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機がカフルナブル市、ラーミー村、ブサンクール村、アリーハー市、タカード村、シリア軍戦闘機がアリーハー市一帯を爆撃した。
シリア軍地上部隊もダーナー市を砲撃し、住民1人が死亡した。
一方、トルコ軍はサルマダー市とダーナー市の間に位置するバルダクリー村、アリーハー市近くのムウタスィム村に新たな拠点を設置した。
シリア軍が人道回廊を設置し、反体制派支配地域の住民の移動の安全を確保
SANAは、シリア軍と関係機関が、アレッポ県アレッポ市西に位置するミーズナーズ村とイドリブ県サラーキブ市東に位置するムジャイリズ村に「人道回廊」を設置し、反体制派の支配下にあるアレッポ県北西部やイドリブ県からシリア政府支配地域への避難を希望する住民の移動の安全を確保したと伝えた。
アサド大統領が異例の勝利宣言
バッシャール・アサド大統領は、シリア軍がアレッポ市北西郊外一帯を解放したのを受けて、国民向けのテレビ演説を行った。
8分間にわたる演説のなかで、アサド大統領は次のように述べ、異例の勝利宣言を行うとともに、トルコの脅しに屈しない姿勢を示した。
(「シリア・アラブの春顛末記:最新シリア情勢」をもとに作成)