帯広・釧路への「代行バスなし」JR石勝線寸断 高速バスに乗れと言われても・・・「乗客困惑」の実態
2024年8月31日の豪雨被害でJR北海道の石勝線が寸断され、特急列車や貨物列車の運休が続いている。今回の運休では、通常であれば設定されるはずの特急列車の代行バスが運行されない異常事態となっていることは、2024年9月1日付記事(JR石勝線寸断!帯広・釧路方面への特急列車の代行輸送なしの異常事態 いったいなぜ!?)で触れたが、JR北海道から「高速バスなどをお使いください」と言われた先で途方に暮れる状況があったと読者の方から情報提供をいただいた。
昨年2023年9月30日までは札幌駅前の複合商業施設「札幌エスタ」に札幌駅バスターミナルが入居しており、札幌を起点とする高速バスはほぼ全てがこの札幌駅バスターミナルを起点としていた。しかし、北海道新幹線の札幌延伸開業に関連した再開発事業に伴い札幌エスタは閉館。現在、札幌から各地に向かう高速バスは札幌駅前の路上の広範囲に分散してのりばが置かれていることから、高速バスののりばが非常に分かりにくい状況となっている。
読者の男性は「『高速バスをおつかいください』と札幌駅を追い出されても、これまでのように隣のターミナルにいけば何とかなるわけではなく、自分自身で分かりにくいのりば案内の地図から目的地に向かうバスのりばを探すのは一苦労だ」。また「バス案内所にも、閉店後は現状の案内掲示一つなく、QRコードなどで予約サイトへ誘導する掲示さえも無い」と話す。
さらに、今回のケースではJR北海道から「高速バスをお使いください」と言われても、すでにバスの予約がいっぱいで乗車できなかったことから駅員に対して詰め寄る乗客の姿も見受けられた。
昨年、閉館となった札幌エスタはJR北海道の関連会社が運営する複合商業施設であったが、北海道新幹線の札幌延伸開業がトンネル工事などの遅れにより当初予定していた2030年度末から大幅に遅れることとなった。札幌エスタの再開発工事も遅れており、高速バスの利用者は当面、この不便で分かりにくいのりばを利用し続けなくてはならない。近年のJR北海道をはじめとする北海道内の多くの交通事業者と行政は、利用者の目線に立った交通結節点の整備や、情報連携には目が届かず、とにかくハコモノを建設することばかりに目が向いている印象だ。また、北海道新幹線の札幌延伸に関連したハード整備豪華主義政策のほころびも見え始めている。
(了)