STAP細胞研究の小保方晴子博士が「研究活動に支障が出ている」と報道機関にお願い
万能細胞STAPを開発したことでメディアに大きく取り上げている理研発生・再生科学総合研究センターの小保方晴子ユニットリーダーのラボウェブサイトに報道関係者へのお願いが掲載されました。研究成果に関係がない報道で研究活動に支障が出ているという内容です。
ファッションブランドから、サイトには写真特集、中学の作文を発掘して掲載、と程度の差はあれ研究以外の人物像を取り上げているメディアは、反省すべき点が多いにあるのではないでしょうか。
理化学研究所のホームページにも「報道の皆様へ:STAP細胞に関する取材について」というお願いがアップされている。
昨日、STAP細胞研究の報道を見て、『「デート」「ファッション好き」革命的研究者の紹介に見る根深い新聞のおっさん思考』という記事を書きました。人物像の描き方に問題があることを指摘しましたが、一部からは「興味をもってもらうために人物像の紹介は必要」という意見がありました。
しかしながら、今回の成果のニュース性は、その研究のインパクトは当然ですが、1)年齢や性別に限らず、リーダーを任してもらえる研究環境があること。2)一度リジェクトされて酷評された論文を練り直し、相談し合う真剣な環境が日本にあること、の2点だと考えています。つまり報道機関には「どうしてこのような世界的インパクトのある研究が生まれたのか」という背景を解き明かしてほしいのです。
この2点は、研究に限らず、年功序列や足の引っ張り合い、特定の実績ある(だがもう古い)研究者や企業に集中する資金という日本の(というと言葉が大きいですが)構造的問題を突破しています。「どうやって突破したのだろう」と多くの人が感心を持つのではないでしょうか。人物像の紹介や安直なリケジョ(講談社の登録商標です)フォーカスの記事では、どうしてこのようなインパクトがある研究が生まれて来たかを知る事は出来ません。
もちろん、すべてのメディアが問題という訳ではなく、下記のようなバランスがとれた記事もあります。リードに「博士号を取って3年という30歳の女性研究者だ」と出てくるのですが、それ以外は女性とかリケジョとか一切ありません。理研の思い切った抜擢マネジメントと、第一人者たちが若い研究者である小保方ユニットリーダーを支えたことを書いています。
このようなマネジメントの決断と、若手を支える周囲の力は、研究に限らず他の分野にも共通する、普遍的な取り組みとして捉える事ができます。若くても任せてもらえると思えば、優秀な人は集まってきます。リケジョなどと特別扱いしなくとも…
リケジョについては、前の記事では余り突っ込みませんでしたが、下記のような意見があることも紹介しておきます。サイエンスライターの内田麻理香さんの記事です。
ここまでメディアの事を書いているのですが、かっぽう着の写真を撮らせ、デートやファッションというプライベートの質問を認めた、理化学研究所の広報担当はこのような騒ぎになることを想定していなかったのか、疑問が残ります。もし、メディア受けしそうなエピソードをアピールし、ニュース性を高めようとしたなら、マスメディアだけの責任というわけにもいかないでしょう…