日本では、法律上、3ヶ月以上の賞味期間がある加工食品については、賞味期限表示の日付を省略してよいことになっている。3ヶ月以上の賞味期間がある食品は多く、たとえば菓子やスナック菓子、粉末調味料や醤油(酸素に触れづらい容器形態のもの)、レトルト食品、乾麺、缶詰などがある。だが、省略してよいにもかかわらず、日付が入っているものは多い。
最近では、食品ロスを減らす観点から、年月日表示を年月表示にする取り組みが、食品メーカーや、大手食品系小売(スーパー)のPB(プライベートブランド)商品などで進んでいる。ただ、対象の多くは賞味期間3ヶ月以上ではなく、「賞味期間1年以上」である。
味の素は172品目を年月表示に切り替え済み
大手食品メーカーの味の素は、2017年2月から、賞味期間が1年以上の食品(調味料・加工食品)、合計172品目を年月表示に切り替えた。
ニッポン消費者新聞2018年8月1日付の記事によれば、味の素は2011年に経済産業省の「製・配・販 連携協議会」に参画、2012年には農林水産省の「食品ロス削減のための商慣習検討ワーキングチーム」に参画した。その中で、賞味期限表示の年月表示化や、賞味期間そのものの延長、食品業界の商慣習である「3分の1ルール」の「納品期限」を最適にする取り組みを続けてきた。
キユーピーは2018年9月から切り替えスタート
同じく大手食品メーカーのキユーピーは、2018年9月から切り替えを始める。
大手卸では国分グループ本社が初の年月表示化
食品メーカーや大手小売では年月表示化が進められているが、大手卸では、国分グループ本社が初めて年月表示化に踏み切った。
日本の菓子業界では賞味期限の年月表示化が進んできている
日本の食品業界のうち、菓子の分野の大手食品メーカーの製品では、年月表示化が比較的、進んでいる。
先月、240名の社員の方に食品ロスの講演をさせて頂いた、株式会社ロッテの商品も、その多くが年月表示になっている。
一方、同じ菓子類でも、ポテトチップスなどのスナック菓子では、賞味期間が6ヶ月であるにもかかわらず、日付が入っているものを多く目にする。
イタリアの首都ローマのスーパーで販売されている菓子の賞味期限表示は?
世界の中でも、食品ロス削減や環境負荷への取り組みが進んでいるヨーロッパではどうだろうか。
イギリス・ロンドン在住、サステナビジョン代表取締役の下田屋毅さんが、イタリアの首都、ローマのスーパーマーケットで販売している菓子の賞味期限表示を調べてくださった。ほとんどが年月表示になっている。
日本もますます賞味期限の年月表示化を
日本も少しずつ年月表示化されてきたのは、食品ロス削減の観点からも、効率化やエネルギー削減、環境負荷の削減の面からも望ましい。これからも引き続き、年月表示を進めていってほしいと願っている。
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