18ヶ月以上日持ちする食品は「年」表示のイギリス 3年以上日持ちする食品にも「年月日」表示する日本
まだ食べられるのに捨てられる「食品ロス」について、政府が数値目標を初めて制定する。2030年までに家庭の食品ロスを半減することを目指す、と、環境省が発表した。
家庭の冷蔵庫や台所で発生する食品ロスに着目するのはもちろんだが、店での消費者の購買行動にも問題がある。筆者が全国で講演しているうち、約500名にアンケートを行なったところ、約88%が「買い物をする時、商品棚の奥から賞味期限日付の新しいものを引っ張り出したことがある」と答えている。一旦、自分のお金を出して購入した食品であれば賞味期限を気にせず食べる傾向が複数のアンケート調査で示されているが、一方、まだお金を出す前であれば、同じ値段なら、より新しいものを求めるのである。その結果、店の商品棚には賞味期限日付の古いものが残り、消費者ではなく、店が廃棄コストをかけて廃棄する(あるいはメーカーに返品する)。
そんな中、帝京大学の渡辺浩平先生が興味深い情報を教えてくれた。イギリスでは、賞味期間が18ヶ月(1年6ヶ月)以上ある食品については、賞味期限表示は「年」だけ示せばいい決まりになっているというのだ。
渡辺先生によれば、実際の店の商品棚で見てみると、「年」表示は見かけたことがなく、数年間日持ちする缶詰やパスタ、ほかに菓子なども「年月」表示が多いそうだ。
日本では、法律上、3ヶ月以上の賞味期間があるものは「年月」表示でOKということになっている。それを受けて、大手食品小売や大手食品メーカーが、1年以上の賞味期間の食品を、順次、「年月日」表示から「年月」表示に切り替えている。そうした方が、月末まで流通でき、食品ロス削減に貢献するからだ。
だが、実際、店の商品棚で賞味期限表示を確認して欲しい。3年間の賞味期間がある缶詰ですら、「年月日」表示になっているものは多い。数年間日持ちするパスタや、1年以上日持ちするレトルト食品も同様だ。
日本がイギリス並みになるには、まだまだ年月を要するだろう。
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