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パリ五輪世代の逸材Jリーガーを探せ!激推しの”アナザー10”

河治良幸スポーツジャーナリスト
(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

大岩剛監督が率いるU−21日本代表(大岩監督から「大岩ジャパン」以外の呼び名をお願いされた夕刊フジの久保さんは「プラチナジャパン」と命名。現在、様子を見てます)は最初の合宿を千葉県で行い、最終日に行われた横浜F・マリノス(メンバーの大半は提携する関東学院大学の選手)との練習試合でも意欲的なプレーが目に付きました。

Football Zoneのコラム「J1で開幕3戦先発の黄金ルーキーら期待の逸材がズラリ パリ五輪世代の注目選手10人を厳選」で、文字通り10人の選手を紹介したが、まだまだいるJリーグの逸材をここで紹介したい。

樺山諒乃介(横浜F・マリノス)

非凡な突破力を武器に、昨シーズンは高卒ルーキーとして開幕スタメン、夏に期限付き移籍した山形では主力としてインパクトを残したが、将来の海外移籍を見据えて、あえて厳しい環境のマリノス復帰を選んだ。さらに「世界で勝負するならインサイド」と考え、マルコス・ジュニオールが主力を張るポジションにも挑戦するなど、負けん気と向上心を一切隠さない姿勢は清々しい。

U−21代表合宿ではマリノスの選手として、同僚の藤田譲瑠チマを擁する代表チームと対戦。キャプテンマークを巻いて、果敢なプレーを見せるとPKでの得点もマークした。そのプレーに感化された藤田は「カバと一緒に代表で戦いたい」と語ったほど。最近はあまり良くも悪くも”優等生タイプ”が多い中で、一際ギラギラしたキャラクターをオンオフ両面で忘れずに、さらに向上していって欲しい選手だ。

川崎颯太(京都サンガ)

そろそろこの世代の記事では鈴木唯人らと同じく”殿堂入り”させたいと考えているので、もしかしたらこういう形でのピックアップは最後になるかもしれない。J1初挑戦という言葉も陳腐に感じられるほど、もはや普通にやれている。京都では”ホールディングセブン”と言われるアンカーを根城に、かなり広範囲に動いて相手の起点を潰すと同時に、自分たちの攻撃をクリエイトする。

デュエルも着実に上がって来ており、いわゆるフィルター役としては高水準になって来ている。あとは攻め上がった時の決定力など、松岡大起(清水)や藤田譲瑠チマ勝るとも劣らないインパクトを残していけるかどうか。また”夢フィールド”で会いましょう。

野澤大志ブランドン(いわてグルージャ盛岡)

ハイスケールなセービングとワイドに蹴り分けるフィードが特長だ。最初の合宿に招集された4人は鈴木彩艶(浦和レッズ)を含めて、所属クラブでレギュラーを掴めていない。もともとGKは若手が出場チャンスを掴みにくいポジションだが、野澤はFC東京から期限付き移籍した岩手で、昨年は正GKとしてJ2昇格を支えた。

今シーズンのJ2開幕戦では同じパリ五輪世代の櫻川ソロモンが前線に張る千葉を完封。その後、2試合の欠場で心配されたが、第4節の仙台戦でスタメンに復帰している。結果は3−0で敗れたが、好セーブやキャッチングを見せていた。最初の合宿は選外だったが、アンダーカテゴリーの代表にはたびたび招集されており、順調に経験を積んでいけば、有力候補の一人になっていくことは間違いない。

染野唯月(鹿島アントラーズ

ストライカーとしてのポテンシャルを考えれば、この世代のエースになってもおかしくない。鈴木優磨、上田綺世、エヴェラウドと猛者が揃う鹿島の前線でリーグ戦でも、短い時間ながら開幕戦から出場機会を得ており、ルヴァン杯の大分戦では得点を記録した。

もともと俺が俺がというタイプではなく、少し大人しい印象も受けるが、メッセージ性のある動き出しから好パスを受ければ、ファーストコントロールでマークを外してシュートに持ち込める。ポストプレーのセンスも高いので、あとは目に見える結果を出しながら、中心選手になっていくためのパーソナリティを磨いていけるかどうか。

荒井悠汰(FC東京)

変幻自在のドリブルと言ったら安直かもしれないが、相手ディフェンスが読みにくいリズムとタッチでゴール方向に迫って行く。17歳で昌平高から特別指定選手として、アルベル監督の率いるチームで、ルヴァン杯の磐田戦ではスタメン起用されて、随所に仕掛ける意欲を見せた。ただ、まだオフでボールを引き出して行くところなど、明確な課題は見られる。そう言った部分はプロの強度に慣れながら、しっかりと伸ばしていけるか。来年のU−20W杯にも出られる2004年生まれということで、飛び級が無ければパリ五輪世代で一番下になるが、北野颯太らと切磋琢磨して食い込んで来て欲しい。

森山公弥(アビスパ 福岡

冨安健洋を輩出したアカデミー出身のレフティで、もともとセンターバックだったが、トップチームでは展開力とディフェンス能力を兼ね備えたボランチとして成長を続けている。リーグ戦の出場はまだないが、ルヴァン杯ではすでに確かな存在感を見せており、セットプレーのキッカーも務める。パリ五輪世代のボランチは非常にタレントが多いので、割って入るのは簡単ではないが、長谷部茂利監督が求める攻守の強度をしっかりと上げて、リーグ戦にも絡んでいければ、五輪代表でも確実にチャンスは来るはずだ。

吉長真優(ジュビロ磐田)

磐田の期待の若手と言えば高卒ルーキーのドリブラー古川陽介やアカデミー育ちのボランチ藤原健介が浮かびやすいが、吉長も2002年生まれのパリ五輪世代。本職はFWだが、伊藤彰監督は3−4ー2ー1の右ウイングバックに適性を見出し、”英才教育”をしている。推進力は抜群で、トップスピードで正確な技術を使えることも特長。ルヴァン杯では湘南戦、FC東京戦とスタメンで試合を重ね着実に存在感を高めている。

松本凪生(ヴァンフォーレ甲府)

”01ジャパン”ではセレッソ大阪の同僚である西尾隆矢とともに常連で、この世代のリーダー格である松岡大起(清水)の不在時にキャプテンマークを巻くこともあった。期限付き移籍でJ2の甲府に環境を移すと、中盤のレギュラーポジションを掴んでいる。ボックス・トゥ・ボックスとバランスワークの両方ができる”マルチタスク”の才能は素晴らしく、パンチの効いたミドルシュートも武器だ。

平河悠(FC町田ゼルビア)

名前を出すと町田サポーターから”見つかってしまった”と言われるかもしれないが、すでにかなりインパクトがある。山梨学院大学に在学中で、2023年から町田に加入が内定している。最終節に出場した昨年から引き続き特別指定となるが、岡山戦では横浜F・マリノスに帰った吉尾海夏の定位置だった右サイドハーフのポジションでスタメン起用されると、1得点1アシストを記録。本職FWの選手らしく、ドリブルだけでなく鋭い動き出しでゴールに迫れる。

横山歩夢(松本山雅)

J3開幕戦でいきなりゴールを決めて、1年でのJ2復帰を目指す松本の勝利に大きく貢献した。”ネクスト前田大然”との呼び声もあり、昨年の開幕時から期待されていたが、鳴かず飛ばずのままシーズンが終わってしまった。新シーズンにかける意気込みはひしひしと伝わってくる。前田ほど爆発的なスピードはないが、俊敏性が非常に高く、細かいテクニックを使える。そして名波浩監督がスタメンに抜擢するだけあり、守備や裏を狙う動きなど、オフのところでも成長が見られる。来年のU-20W杯にも出場資格があるだけに、山雅をJ2昇格に導く活躍ができれば、飛躍のチャンスは十分にある。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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