部下を潰す上司「クラッシャー上司」6つの口ぐせ
「君は何をやっても、だいたいうまくいかないね」
「いつも失敗ばかりじゃないか」
「みんなそう言ってるよ。全然ダメだって」
あなたは、このような、
「みんな」
「いつも」
「だいたい」
「全部」
「すべて」
「全然」
といった表現を使って部下にネガティブフィードバックをしていないか。もしそうなら、どんなに笑顔で優しく言ったとしても「クラッシャー上司」と呼ばれることになるかもしれない。
部下を潰す上司――それがクラッシャー上司だ。
■クラッシャー上司はなぜ理不尽なのか?
私がコンサルティングを行う中で、部下を潰しかねない上司に遭遇することがある。冒頭に書いた6つのフレーズを口ぐせのように使う。
しかし「クラッシャー上司」は自覚がなく、指摘されても無視することが多い。
「私がクラッシャー上司? パワハラ? モラハラ? あり得ない」
こう笑い飛ばすのが一般的だ。
彼らは、声の大きさや態度の執拗さではなく、「言葉の中身」や「言い回し」で部下を追い詰める。それにより、自覚のない「クラッシャー上司」が存在する。今回は、クラッシャー上司の口ぐせに焦点を当てて解説する。
部下を潰す言い方とは、まさに「理不尽な言い方」である。理不尽の反対は「論理的」だ。
論理的である、ということは「筋が通っている」ということ。つまり非論理的な発想や言い方を続けると部下を潰してしまう。筋が通っていないからだ。
■気を付けるべき「一般化」とは?
とりわけ注目すべきは「一般化」という心理現象だ。
「一般化」とは、ある事柄の一部分だけを見て全体を決めつけることだ。「レッテル」とも呼ばれる。客観的なデータや信憑性のある根拠もなしに、強い先入観や知識不足に基づいて物事を決めつける。そのため、部下には理不尽な印象を与えるのだ。
「一般化」の表現には、冒頭書いたとおり
「みんな」
「いつも」
「だいたい」
「全部」
「すべて」
「全然」
という言葉が含まれる。たとえば、
「【いつも】ミスばかり」
「何をやっても【全然】ダメ」
「【みんな】言ってる」
「【すべて】おかしい」
「【だいたい】間違っている」
「【全部】意味がない」
などが「一般化」の例である。
これは「部分」に着目して「全体」を評価する言い方だ。「100%」か「0%」の極端な表現になる。たとえ部下に「40%」のポテンシャルがあっても「0%」と評価するし、ミスは「100%」部下の責任と決めつける。
問題は、「一般化」の表現を繰り返すと、部下の「行動」ではなく「人格」の否定につながることだ。
たとえ10%や20%の可能性しかなくても、そこに光を当て部下の成長を促すことが上司の役割であろう。なのに「0%」とレッテルを貼ると、部下は意気消沈してしまう。その結果、部下を潰すことになるのだ。
上司は、部下に対して先入観を持ったり、不当なレッテルを貼るべきではない。これは「部下育成」において禁止事項である。部下との対話では、「みんな」「いつも」「だいたい」「全部」「すべて」「全然」といった決めつけの言い方を避けるべきだ。