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依存症の心理と治し方

竹内成彦心理カウンセラー(公認心理師)

こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

今日は、「依存症の心理と治し方」というテーマでお話したいと思います。

依存症とは、「わかっちゃいるけど、やめられない」という心の病のことです。
代表的なものに、アルコール依存、薬物依存、ギャンブル依存、ネット依存、性依存、買い物依存、食依存 などがあります。
依存症は、ストレスや淋しさ・虚しさから発症することが多いです。依存の対象は、「もの(薬、アルコール、カフェイン)」「行為(ゲーム・ギャンブル・過食・スマホ・痴漢や盗撮)」「(恋人・家族)」など、いろいろです。

続いて、趣味と依存症の違いですが、
趣味は、気分をリフレッシュできるものです。社会生活に悪影響を及ぼさないものです。
それが、依存症気味になると、日常生活に支障が生じるようになってきます。
そして、依存症になると、自分で自分の思考や行動がコントロールできなくなります。
時間やお金を浪費したり、人を傷つけたり法を犯したりするようになります。
そして、困ったことに、不幸なことに、依存症になると、自分が依存している対象以外では、喜びを感じられなくなってしまいます。それが依存症の特徴です。

自分一人で治せるのは、依存症気味までです。依存症になってしまうと自分の力だけで治すのは極めて困難です。今、この記事をご覧の方で、「私は依存症かも?」と思われる方は、お早めにカウンセリングに行かれることをお勧めいたします。

依存症の行動には4つの特徴があります。
1.強迫性がある。やらずにはいられない。
2.反復性がある。繰り返しやる。
3.衝動的である。思いついたら行動してしまう。
4.貪欲である。執拗に追い求める。

今言った4つが全て当てはまる人は、ほぼ間違いなく依存症です。
依存症の最大の問題は、身体的・精神的・社会的・経済的な健康を失うことです。
嗜癖の時代と言われている今、若い人にも若くない人にも依存症が増えています

続いて、依存症の正体ですが、
私たちの脳は、脳内神経化学伝達物質のやりとりによって正常に働いています。その脳内神経化学伝達物質のひとつであるドーパミンは、快楽を感じると、大脳辺縁系および中脳辺縁系(動物脳)から放出されると考えられています。

依存症は、「ドーパミンを繰り返し放出したい」と願う心の病です。全ての依存症は、依存の対象こそ違えど、ドーパミン依存症であると言っても過言ではありません。依存症は、脳内神経化学伝達物質の仕業なので、自分の意志で治せるほど、簡単なものではありません。
ちなみに、ドーパミンは、報酬への期待を感じると大量に分泌される性質があり、わくわくホルモンとも呼ばれています。

続いて、依存症のメカニズムですが、
1.「お酒が飲みたいなぁ」と感じると、脳内からストレスホルモンであるノルアドレナリン分泌がされます。
2.「よし、お酒を飲もう!」と思うと、脳内からわくわくホルモンのドーパミンが分泌されます。
3.お酒を飲んで良い気分になると、脳内から幸せホルモンのベータエンドルフィン分泌されます。

今言った話は、アルコール依存症になる過程です。ストレス状態から、お酒を飲むことによって、怒りや不満な気持ちがいっきに解放され、幸せを覚える様子がよくわかります。

続いて、依存症の治し方についてお話します。
依存症は、否認の病気です。「自分は依存症なんかではない」と思う病気です。よって、まずは、「自分は依存症なんだ」と認めることが重要です。そして、次に、精神医学と性格心理学に詳しい専門家の許を訪れることが大切です。お金に余裕がないと仰る人は、自助グループに参加すると言う手もあります。いずれにしても、自分一人の力で治せるという自惚れは、捨てたほうがいいです。

続いて、専門家の所に行ったら何をするか? ご説明をします。

1.環境を整えます。
依存をやらない、やれない環境づくりを、専門家と一緒に考えます。たとえば、アルコール依存症の人だったら、家にお酒を置かない、酒屋の前を通らない、酒を飲む時間を持たない、酒を飲む友人と縁を切る、等などです。1度に全部は出来ないにしても、環境を整えることは非常に重要です。依存対象である、モノや行為や人に、近付かないようにするということです。

2.心を整えます。
依存によって失った数々のものを思い出し、専門家の前で話し、「もう2度とやらない」と心に誓います。ここは大変に重要です。依存症の人は、依存対象に未練があることが多いので、深く反省することによって、その未練を断ち切るのです。

3.脳を整えます。
大脳皮質および前頭葉を健全に保ち、動物脳の暴走を抑えるようにします。脳を整える方法は、睡眠や食事や運動など、いろいろありますが、薬物もその方法のひとつです。

以上です。以上が依存症を治す方法です。

最後に、依存症が良くなると、もと依存症者は、膨大な時間を手にするようになります。よって、これからもずっとやめ続けるために、もと依存症者は、「空いた時間を何に使うか?」考えることが非常に重要となってきます。どうぞ、仕事をするなり、勉強をするなり、運動をするなり、人と友好を深めるなり、新しい趣味を持つなどして、暇な時間を持つことのないようにして下さい、

というわけで、今日は、
「依存症の心理と治し方」というテーマでお話しさせて頂きました。

今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。

      この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

心理カウンセラー(公認心理師)

1960年、愛知県名古屋市で生まれ育つ。1997年06月、地元愛知でプロのカウンセラーとして独立開業を果たす。カウンセリングルーム「心の相談室with」名古屋 の室長。臨床歴25年、臨床数15,000件を超える。講演・研修回数は800回、聴講者は10万人を超える。【上手に「自分の気持ち」を出す方法】など、電子書籍を含め、20数冊の本を出版している。カウンセリング講座などを開催し、カウンセラーを育てることにも精力を尽くしている。

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