アジア~中東で異常高温 北京やピョンヤンでは2月の史上最高気温も
春と錯覚するような季節外れの暖気が、21日(日)から22日(月)にかけて西日本や東日本などを覆いました。
たった2日間で、110近くの2月の観測史上最高気温記録が塗り替えられました。
山口県下関市など20か所以上の地点では、2日連続での記録更新となりました。また東京は21日(日)に20.9度、22日(月)には21.9度となって、観測史上5度目となる2月に2日連続の20度超えとなりました。なお21.9度は、2月の気温としては観測史上10位タイの高温記録です。
しかし記録的に暖かかったのは、日本だけではなかったようです。
アジア~中東の異常高温
21日(日)には朝鮮半島や中国でも前例のない高温が記録されました。
・北京(中国):25.6度【←2月の観測史上最高】
・ピョンヤン(北朝鮮):17.3度【←2月の観測史上最高】
・浦項(韓国):24.5度【←2月の「国内」観測史上最高】
さらに数日さかのぼると、中央アジアでも2月としては前例のない高温が記録されていました。
- 20日(土)Hanbogd(モンゴル):15.8度【←2月の「国内」観測史上最高】
- 18日(木)Karshi(ウズベキスタン):32.0度【←2月の「国内」観測史上最高】
- 16日(火)Nasiriyah(イラク):34.0度【←2月の「国内」観測史上最高】
つまり、中東からモンゴル、朝鮮半島、そして日本へと暖かさが伝播していたのです。
反対に記録的寒波の欧米
その一方で、先週からは大寒波が北米を襲いました。顕著だったのは、寒気がかなり南にまで侵入していたことです。新たな記録は下記の通りです。
- テキサス州アマリロ:マイナス23.9度【←観測史上最低】
- テキサス州アビリーン:10日間連続で氷点下の気温【観測史上最長】
- オクラホマ州オクラホマシティ:マイナス25.6度【←1899年以降で最低】
- ネブラスカ州ヘイスティングズ :マイナス35度【←観測史上最低】
また16日(火)にはアメリカ本土全体の73%が雪に覆われて、観測史上もっとも広範囲の積雪記録となりました。
先週はヨーロッパ南部のギリシャでも12年ぶりの大雪、中東のエルサレムでも5年ぶりの大雪が降っています。
極端な気温差の原因
こうした極端な気温差が世界で見られている理由が、偏西風の蛇行にあります。寒気と暖気の境目である偏西風が南北に蛇行しているため、北に盛り上がったところでは極端な高温が、南に下がったところでは低温となっていたのです。
この顕著な偏西風の蛇行は何によるものか。今、研究者の間で議論が分かれています。温暖化が原因とする説、そうでない説の2つです。
温暖化派はこう言います。北極圏が世界平均より2倍速く昇温している。このことは南北の温度差が小さくなっていることを意味する。すると偏西風が弱まって、蛇行しやすくなる。
それに対し、反対派はこう切り返します。過去数十年のデータを見ても偏西風が弱まっている確たる証拠はない。その上もし温暖化しているなら、北極から降りてくる寒気も緩まるはずだ。どちらも言い分があるようです。
研究者同士の熱い議論はなかなか冷めそうにありませんが、そんなことはよそに、北半球は段々と暖かくなっていきます。