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青森県が「あなたの夢を実現します!」という面白企画

鳥塚亮大井川鐵道代表取締役社長。前えちごトキめき鉄道社長

青森県西北地域県民局が「あなたの夢を実現します!」ー鉄道で叶えたい「夢」をおしえてくださいーと、一般から「夢」の公募を始めました。

この募集は、日本海の絶景路線として観光列車が走るJR五能線と、地吹雪とストーブ列車で有名な津軽鉄道の2つの路線を対象として、「乗りたい」「撮りたい」「体験したい」「食べたい・飲みたい」など、皆様方がやってみたいことを募集して優秀なアイデアには賞を与えて、実現してみましょうというもので、青森県が主催し、JR東日本と津軽鉄道が協力会社として8月10日まで広く一般の皆様方からの応募を受け付けています。

今の時代、ローカル鉄道があれば地域が注目されるきっかけになりますし、ローカル鉄道を上手に使えば地域活性化につながるということは、広く世間に認知されてきていると思いますが、筆者が注目するのは、青森県がJRや津軽鉄道(私鉄)を対象としてこういう企画をするということです。

現在、全国的にJRのローカル線問題が表面化してきていて、各地で県や沿線市がJRに対して存続要望運動を始めている状況ですが、青森県では県が主催してJRや津軽鉄道を巻き込んでこういう「夢企画」を進めているところが評価できるのではないでしょうか。

では一体どのような「夢」を求めているのか、申し込み窓口になっている日本旅行に尋ねてみましたところ、次のような返答が帰ってきました。

「主催の青森県としては、実現性にこだわらず、また鉄道をメインにしながらその回りの地域も活かして、津軽に行ってみたい、津軽で体験してみたいと思わせるような大きな夢を送ってもらえると嬉しい。ということです。夢の形はいろいろだと思いますが、一方では鉄道にこだわって魅力を追求したものにも期待しているところです。あまり飛び抜けてしまうと実現できなくなりますが、今回は津軽を訪ねようと思わせる、地域の魅力作りになるようなアイデアだと嬉しいということです。」

大きな夢も、小さな夢も、いろいろあって良いんじゃないでしょうか。

大切なのは鉄道というのはいつの時代も「夢と希望を乗せて走っている。」ということ。

そういうことを今一度考えてもらえるきっかけになれば、ローカル鉄道にも未来が見えてくるのではないでしょうか。

我こそはという方はこちらからご応募してみてください。▼

「JR五能線と津軽鉄道で叶えたい夢の募集」

凍てつく津軽平野を走る津軽鉄道のストーブ列車。

今の季節、こういう景色をお届けするのも「夢」の一つだと筆者は思いますが、いかがでしょうか。

※本文中引用したパンフレットは日本旅行提供のもの。津軽鉄道の写真は筆者撮影のものです。

大井川鐵道代表取締役社長。前えちごトキめき鉄道社長

1960年生まれ東京都出身。元ブリティッシュエアウエイズ旅客運航部長。2009年に公募で千葉県のいすみ鉄道代表取締役社長に就任。ムーミン列車、昭和の国鉄形ディーゼルカー、訓練費用自己負担による自社養成乗務員運転士の募集、レストラン列車などをプロデュースし、いすみ鉄道を一躍全国区にし、地方創生に貢献。2019年9月、新潟県の第3セクターえちごトキめき鉄道社長、2024年6月、大井川鐵道社長。NPO法人「おいしいローカル線をつくる会」顧問。地元の鉄道を上手に使って観光客を呼び込むなど、地域の皆様方とともに地域全体が浮上する取り組みを進めています。

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