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木村拓哉主演『レジェンド&バタフライ』入門 織田信長が盆踊りで人々を感激させた納得の訳

濱田浩一郎歴史家・作家

木村拓哉さんが主演する映画『レジェンド&バタフライ』が公開され、話題を呼んでいます。木村さんが演じるのは、戦国大名の織田信長。信長と言えば、同映画にも描かれたように「魔王」として恐れられた面もありますが、決して怖い人、冷酷な人というばかりではありません。そればかりか、温かみ溢れる対応・態度で人々に感激の涙を流させたこともあったのです。

本日、ご紹介するのは、信長がまだ若い頃、尾張国にいた頃のお話です。ある年の7月18日、津島(愛知県津島市)において、信長は踊りを興行します。赤鬼、黒鬼、餓鬼、地蔵、弁慶などに信長の陪臣(家来の家来)が扮し、踊りを踊ったのです。家臣にだけ任せていたわけではなく、信長自らも踊りに参加。

信長は「天人」の格好をして、小鼓を打ち、女踊りをしたということです(信長の家臣・太田牛一が記した書物『信長公記』より)。

津島の村々の年寄たちも、返礼にと踊りを披露します。彼らは後に清須城にやって来ます。信長は彼らに対し「ひょうきんだ」などと気さくに声をかけたと言われます。

それだけではありません。自ら扇で人々を扇いでやったり、お茶を飲むように勧めたり、それはそれは親しく接したのでした。信長の態度に津島の人々は、大変有り難いことと感動。涙を流して帰っていったようです。

盆踊りでも人々を楽しませ、その後の振る舞いにおいても人々を感激させる。「人たらし」というと信長の家臣・羽柴秀吉が有名ですが、私はこうした逸話から、いやいや、信長もなかなかの「人たらし」ではないかと感じるのです。

歴史家・作家

1983年生まれ、兵庫県相生市出身。皇學館大学文学部卒業、皇學館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。兵庫県立大学内播磨学研究所研究員、姫路日ノ本短期大学講師、姫路獨協大学講師を歴任。『播磨赤松一族』(KADOKAWA)、『北条義時』『仇討ちはいかに禁止されたか?』(星海社)、『家康クライシスー天下人の危機回避術ー』(ワニブックス)ほか著書多数

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