トランプ氏の政権返り咲き、日本の外交安保への影響は?防衛費負担増の要求はあるか? #専門家のまとめ
アメリカ大統領選挙は共和党のドナルド・トランプ前大統領が勝利し、来年1月に政権に返り咲くことになった。トランプ氏はアメリカ・ファースト(米国第一主義)を強く掲げる。バイデン政権が推進してきた同盟国や同志国などとの多国間協調主義や経済安全保障上のサプライチェーン(供給網)強化の取り組みを弱体化させる恐れがある。懸念される日本の外交安保への影響をまとめてみた。
ココがポイント
エキスパートの補足・見解
日本メディアはトランプ氏が日本に防衛費増額を求めてくるとの警戒感をあらわにしている。実際、トランプ前政権で国防次官補代理を務めたエルブリッジ・コルビー氏は日本がGDPの3%にまで防衛費を増やすべきだと主張した。また、前政権で大統領補佐官(国家安全保障担当)を務めたジョン・ボルトン氏も今年3月、日本経済新聞の取材(筆者注:この記事閲覧には会員登録が必要)に対し、トランプ氏が政権に返り咲けば、日本はアメリカ本土が攻撃された際に自衛隊の出動を義務付ける条約改正を迫られると警鐘を鳴らした。
トランプ氏の外交安保政策は基本的に孤立主義で、同盟国ともディール(取引)を図る自国利益第一主義だ。この考え方の背景には、アメリカの安全保障上の利益は他国とは分離可能であり、アメリカの平和と繁栄は世界の他の国々と別個に存在しているとの発想がある。トランプ氏は日韓といった同盟国に対しても、アメリカからより多くの安全保障を得たいと思うのであれば、もっと金を出すか、アメリカからもっと多くの物を買うよう迫る可能性がある。実際にトランプ氏は在任中に日本に駐留経費の増額を求めた。ディールの一環として再びこうした一方的な要求をしてくる可能性がある。