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米韓合同軍事演習に対抗し北朝鮮が金総書記立ち会いの下、「南侵訓練」も

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
米韓合同軍事演習に対抗した北朝鮮の軍事演習(朝鮮中央通信から)

 米韓連合軍が3月4日から朝鮮半島有事に備えた合同軍事演習「フリーダムシールド(自由の盾)」を実施しているが、演習開始当日に国防省スポークスマンの談話を通じて中止を求めていた北朝鮮が行動に出た。

(参考資料:朝鮮半島「波乱の3月」 米韓合同軍事演習に北朝鮮の反発必至!)

 昨年は短距離ミサイルの発射で対抗していたが、今年は軍事演習を実施し、それも金正恩(キム・ジョンウン)総書記自らが視察していた。「侵略戦争の準備」と警戒している米韓合同軍事演習中に、それも大胆にも前線に姿を現していた。

金正恩総書記の立ち会いの下、行われた前線部隊の射撃訓練(朝鮮中央通信から)
金正恩総書記の立ち会いの下、行われた前線部隊の射撃訓練(朝鮮中央通信から)

 今朝の国営放送「朝鮮中央通信」によると、金総書記は6日に朝鮮人民軍西部地区重要作戦訓練基地を訪れ、訓練施設を見て回り、各部隊の実動訓練を指導していた。

 金総書記の演習視察には軍の「三羽烏」である党中央軍事委員会の朴正天(パク・ジョンチョン)副委員長、強純男(カン・スンナム)国防相、李永吉(リ・ヨンギル)総参謀長をはじめ軍副総参謀長、戦闘訓練局長らが訓練を参観していた。臨戦態勢に入っているのか、黒ジャンバー姿の金総書記と警護責任者を除く、全員が戦闘服を身にまとっていた。

 金総書記は2月8日に朝鮮人民軍創建76周年に際して国防省を祝賀訪問した時の演説で第1、第2、第4、第5軍団の将兵に向け「我が祖国の国境戦線を守って献身している頼もしい将兵諸君」と真っ先に呼びかけていた。いずれも前線部隊であった。

 第1軍団(江原道・淮陽郡に駐屯)は南侵の主力部隊で第2軍団(黄海北道・平山郡に駐屯)は軍隊内で最初に「一当百」(一人で100人を倒す)のスローガンを掲げた先鋭軍団である。また、第4軍団(黄海南道・海州に駐屯)は韓国との海の軍事境界線(NLL)に近い離島を含む西海岸の防衛を任務としており、韓国の第1軍団と対峙しており、第5軍団は(江原道・伊川郡に駐屯)防御を主たる任務にしている。

 金総書記が視察した「重要作戦訓練基地」の場所は伏せられていたが、朴光柱(パク・クァンジュ)上将が率いる第4軍団内の基地の可能性が考えられる。

 「朝鮮中央通信」の報道によると、金総書記は監視台から計画に従って募集された各級単位の戦闘区分隊による「重要作戦訓練基地」での実動訓練を視察したとされるが「重要任務遂行部隊」がどのような部隊を指しているかは明らかにされてなかった。しかし、配信された写真の何枚かに軍事境界線を突破し、韓国の仮想歩哨所を攻撃している写真が含まれていることから「国境」と称している軍事境界線の防御訓練だけでなく、浸透作戦に基づく突撃訓練も行われたようだ。

 金総書記は「我が軍隊が敵の恒常的な威嚇を圧倒的な力で牽制し、些細な戦争挑発企図も徹底的に制圧するため戦闘能力を飛躍的に高めるための実戦訓練を絶えず強化せよ」と命じ、「全軍の各級が現情勢の要求に即して戦争準備強化の新しい全盛期を力強く切り開け」と発破をかけていた。

 金総書記は最高人民会議の場(1月15日)で「朝鮮半島で戦争が起こる場合は、大韓民国を完全に占領、平定、収復し、共和国領域に編入させる」と言明していた。

(参考資料:朝鮮半島で本当に戦争が起きるのか? 米韓が憂慮する「3つの不安要因」)

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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