海自新型FFM、2025年度は2隻ではなく3隻を調達へ 5年間で12隻のハイペース
防衛省は8月30日、過去最大の8兆5389億円に及ぶ2025年度防衛予算の概算要求を発表した。このうち、海上自衛隊のもがみ型護衛艦「FFM」の能力向上型となる新型FFM(基準排水量4800トン)については、3隻分の3140億円を予算要求した。一部で見込まれていた2隻分ではなかった。
多機能護衛艦(FFM)であるもがみ型(基準排水量3900トン)は、年2隻というハイペースで建造が進められ、2023年度計画艦までの計12隻で建造を終了する。そして、新型FFMを2024年度計画艦から計12隻調達する。当初はこれまでの年2隻というFFM建造のペースを維持し、6年間で12隻の新型FFMを建造するとみられていたが、それよりもピッチを上げ、5年間で12隻を建造することとなっている。5年間で12隻の建造となれば、1年間に2隻を超える3隻の建造が見込まれる年が生じる。それが初めて来年度になった。
現在のFFMは三菱重工業長崎造船所と三菱重工マリタイムシステムズ玉野本社工場で建造されている。しかし、防衛省は2023年8月、2024年度以降の新型FFM調達について、主契約者を三菱重工業、下請負者をジャパン・マリンユナイテッド(JMU)にそれぞれ決定したと発表した。
2023年1月に発表された「『新型FFM型に係る企画提案契約』の参加希望者募集要領」によれば、2024年度と2028年度には主契約者(三菱重工業)と下請負者(JMU)によって各1隻が建造される。また、2025年度から2027年度までは2隻を超える建造を計画した場合には下請負者に1隻を建造させることとなっている。
同要領の内容に沿って、新型FFMの調達数を年度別、会社別に表にまとめると、例えば以下のような今後の調達計画が考えられる。
防衛装備庁は昨年11月、筆者の取材に対し、「新型FFMの第1番艦の建造契約の締結年度(1年目)と、第1番艦の引渡予定年度(5年目)には、2位者にそれぞれ1隻の建造を実施させることが(参加希望者募集要領に)示されており、2年目から4年目までの間に建造開始隻数が2隻を超える場合は2位者にそのうちの2隻の建造を実施させることが記されている」と確認したものの、「各年度の具体的な建造隻数は記されておりません」と回答していた。
要求性能など新型FFMの詳しい内容については、拙稿「海自新型FFMは12隻を建造へ 2024年度防衛予算概算要求の主な注目点」をぜひお読みください。
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