海自新型FFMは2024年度からわずか5年間で12隻を調達へ 防衛装備庁が明かす
海上自衛隊のもがみ型護衛艦「FFM」の能力向上型となる新型FFMは、2024(令和6)年度から2028(令和10)年度までのわずか5年間で計12隻が調達される計画であることが分かった。防衛装備庁が11月2日、筆者の取材に認めた。
多機能護衛艦(FFM)であるもがみ型(基準排水量3900トン)は現在、年2隻というハイペースで建造が進められ、当初は計22隻が建造される計画だった。しかし、もがみ型は2023年度計画艦までの計12隻で建造を終了する。そして、防衛省は8月末の2024年度予算の概算要求時に、同年度計画艦から新型FFMを計12隻建造することを公表していた。当初は現在の年2隻というFFM建造のペースを維持し、6年間で12隻の新型FFMを建造するとみられていたが、それよりもピッチを上げ、5年間で12隻を建造することとなる。
2024年度予算の概算要求では、新型FFM2隻の建造に1747億円を計上した。2028年度に配備される予定だ。
現在のFFMは三菱重工業長崎造船所と三菱重工マリタイムシステムズ玉野本社工場で建造されている。しかし、防衛省は8月25日、来年度以降の新型FFM調達について、主契約者を三菱重工業、下請負者をジャパン・マリンユナイテッド(JMU)にそれぞれ決定したと発表した。5年間で12隻の建造となれば、1年間に2隻を超える3隻の建造が見込まれる年が生じる。
1月25日に発表された「『新型FFM型に係る企画提案契約』の参加希望者募集要領」によれば、2024年度と2028年度には主契約者(三菱重工業)と下請負者(JMU)によって各1隻が建造される。また、2025年度から2027年度までは2隻を超える建造を計画した場合には下請負者に1隻を建造させることとなっている。
同要領の内容に沿って、新型FFMの調達数を年度別、会社別に表にまとめると、例えば以下のような調達計画が考えられる。
これに対し、防衛装備庁は「新型FFMの第1番艦の建造契約の締結年度(1年目)と、第1番艦の引渡予定年度(5年目)には、2位者にそれぞれ1隻の建造を実施させることが(参加希望者募集要領に)示されており、2年目から4年目までの間に建造開始隻数が2隻を超える場合は2位者にそのうちの2隻の建造を実施させることが記されている」と確認したものの、「各年度の具体的な建造隻数は記されておりません」と回答した。
●防衛力整備計画の別表に記された「護衛艦12隻」はもがみ型2隻と新型FFM10隻
防衛装備庁はまた、2022年12月に策定された防衛力整備計画(2023年度~2027年度)の「別表2」で述べられている「護衛艦 12隻」の調達は、もがみ型2隻と新型FFM10隻のことであることを認めた。
防衛装備庁は「防衛力整備計画の別表2に示す『護衛艦 12隻』のうち2隻は令和5(2022)年度予算にて建造予定の『もがみ』型護衛艦を指しており、残りの10隻が新型FFMを指している」と回答した。
今後5年間のいずれかでイージス・システム搭載護衛艦(DDG)のまや型護衛艦や向上型DDG2隻の建造に着手するとの見方も一部ではあったが、それが否定されたことになる。
要求性能など新型FFMの詳しい内容については、拙稿「海自新型FFMは12隻を建造へ 2024年度防衛予算概算要求の主な注目点」をぜひお読みください。
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