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4年目の飛躍―阪神タイガースのTigers Girls(タイガースガールズ)

土井麻由実フリーアナウンサー、フリーライター
甲子園球場の外周ステージでパフォーマンスするTigers Girls

■Tigers Girlsのステージが幕開けの合図

連日、大賑わいのステージ
連日、大賑わいのステージ

試合開始の1時間と少し前。甲子園球場の外周ステージは連日、大賑わいだ。大音響と手拍子やかけ声で、ライヴ会場かと見紛うような熱気に溢れている。

その中心でファンの視線を釘づけにしているのがTigers Girlsだ。バラエティー豊かな売店と並んで設置されているステージ。そのステージでところ狭しと躍動する彼女たちの笑顔はキラキラと輝き、これから始まる一戦に向けワクワク感を高めてくれている。

■外周ステージでのダンスパフォーマンス

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4年前に産声を上げたTigers Girlsだが年々活躍の場を広げ、今ではタイガースになくてはならない存在になっている。ディレクターの島田若枝子さんによると、「試合開始前、もっとお客さまに楽しんでもらえるように」と、今年はダンスにより力を入れているという。

ダンスを披露する場は2ヶ所ある。まず球場外周ステージ、そして球場内の外野グラウンドだ。

外周のステージでは毎試合前、15~20分のダンスパフォーマンスを披露する。中でも阪神タイガースのマスコット、トラッキーラッキーキー太とコラボレーションして踊るステージは圧巻だ。それぞれのキャラクターイメージに合わせた曲に乗って、まったく異なるパフォーマンスを堪能させてくれる。

トラッキーとの「ULTRA TIGER」
トラッキーとの「ULTRA TIGER」

トラッキーとの「ULTRA TIGER」は、オリエンタルラジオ率いるRADIO FISHの曲だが、昨年この曲がリリースされたとき、島田ディレクターは「これはやらなきゃ!」と閃いたそうだ。「タイガースもまさに“ウルトラタイガー”だし」と、取り入れることを決定した。

トラッキーとともに魅せてくれるダンスはキレッキレで、とにかくカッコイイ!!

愛らしいキー太の動きにも要注目
愛らしいキー太の動きにも要注目

ラッキーとの「CHEER UP」はTWICEという韓国のグループの曲だが、「タイトルの『チアアップ=応援する』がわたしたちのコンセプトにも合っているし、可愛い曲」で、ラッキーとともにキュートなダンスで楽しませてくれている。

そしてキー太と踊る「ABC」は幼いマイケルジャクソンが歌うお馴染みの曲だ。キー太の雰囲気にもピッタリで「元気に楽しく」というイメージで踊っているという。

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曲も振り付けも三体三様の演出で、見る者を飽きさせない。さらにポンポン以外の小物、ステッキや帽子を取り入れたダンスはミュージカルのようで、次々と繰り出されるパフォーマンスにあっという間に時間が経ち、「もっと見ていたい」とファンも名残り惜しそうだ。

■試合直前のグラウンドでのダンスパフォーマンス

ラインダンス
ラインダンス

外のステージがエンターテインメント性を追求しているのに対して、見せ方がまったく違うのが、球場内の外野グラウンドでのダンスパフォーマンスだ。

「まずお客さまとの距離が遠い。そして真正面がなく、360度見られているということです」。スタンドのファンに伝わる振り付けや構成をと島田ディレクターが考えたのは、ラインダンスやポンポンで文字を作ること。

そしてさらに、ビジョンの映り方を意識しているそうだ。踊っている間、センターバックスクリーンのビジョンに映し出されるが、それを頭に入れ、見せ方も工夫しているという。「顔のアップも映していただけるので、常に笑顔で踊っています」というとおり、いつも最高の笑顔を届けてくれている。

ファームの甲子園開催
ファームの甲子園開催

素晴らしいのはフォーメーション(隊形)だ。彼女たちはその場で踊るだけではない。踊りながら大きく移動し、形を変えていく。外野の芝にはもちろん目印などない。けれど決してキョロキョロと周りを見て確認したりはしない。「そういう顔が画面に映るとステキじゃないでしょ。ステキな顔のまま、位置を確認するんです」とニッコリと、こともなげに語る島田ディレクター。

指示を出す島田ディレクター
指示を出す島田ディレクター

自身も現役のときに実践していたという“技”はこうだ。「イメージトレーニングです。自分から見える目線と上からの視線、両方考えて踊るんです」。

ひとりで自主練習をするときも頭の中には周りに9人いて、「自分がこう動く、ではなく、全体でどうか、ということを意識してイメトレするんです」。横を見て確認しなくても激しくフォーメーション移動ができるよう訓練しているそうだ。

土日は駅前の広場でお出迎え
土日は駅前の広場でお出迎え

当初は、球場で踊るのは初めてというメンバーばかりだった。「感覚を掴むまで大変だった。隊形ひとつ作るのに時間がかかった」という。年数を重ね、今ではパッとポジションに就き、形をとれるようになった。「お客さまにはそういう隊形も見てほしいですね」と島田ディレクターは訴える。

さらに毎日同じ場所で踊ることで芝を痛めないよう、実は日々、微妙に位置をズラして踊っている。こういう配慮も「一緒に戦っている」という意識からにほかならない。

■応援団とのコラボレーションも

応援団とのコラボレーション
応援団とのコラボレーション

ダンスパフォーマンスでラストのポーズを決めたあと、さらにグラウンドに残って応援団が奏でるヒッティングマーチとともに踊る。これは昨年からだが、「応援団の皆さんとも一体感が生まれて、今年も継続しているんです」と話す島田ディレクターは非常に嬉しそうだ。

「そりゃ、すごく嬉しいですよ。認められたなっていう感じがするんです。やはりこれまで“新参者”という意識があったし、1年目、2年目はお客さまも好意的ではあったけど、様子見をしてらしたところもあったと思うんです。でも3年目の昨年、こういう応援団とのコラボができるようになって、仲間に入れていただけたなと感じるんです。よりファンの方と一体感が生まれたなって、本当に嬉しかったですね」。

ここに至るまでには様々な思いを抱えてきたのだろう。しかしコツコツとやってきたその姿勢は、ファンにしっかり届いている。応援団のヒッティングマーチとのコラボは、今ではもう当たり前の光景だ。

■単なるダンスチームではなく、ファンサービスメンバー

外周でのグリーティング
外周でのグリーティング

ただ、Tigers Girlsはダンスチームではない。4年前に結成されたときも「阪神タイガースに36年ぶりにチアガールが復活!」などと注目されたが、その表現は間違いだ。「チアガール」ではなく「ファンサービスメンバー」なのだ。(参照記事⇒Tigers Girlsからのお願い。「日本一になって!」

試合前のダンスだけでなく、開門時のお出迎え、球場外周のグリーティング、イベントの進行、試合中はボールガールやリリーフカーの運転、そして決められたイニング間に登場して場内を盛り上げる。勝ったときにはヒーローインタビューにも花を添える。また、試合後のグラウンドウォーク(土日限定)のアテンドも大きな任務だ。

そのほか、球場を離れての小学校や幼稚園訪問など、地域貢献活動にも参加している。

「六甲おろし」はファンのみなさんと
「六甲おろし」はファンのみなさんと

島田ディレクターは言う。「やはり『踊りたい』と入ってくる子も多いんです。でもみんな、自分の役割を自覚してやってくれています」。

創設時から継続しているメンバーが4人いる。「彼女たちがすべてにおいて高い意識を持ってやってくれている。見た目やダンスだけじゃなく、ゲームスタッフ業務もイベント進行もファン対応も。年々いろんな意味でのレベルが上がってきている。そしてそれを新しく入った子たちも見習って継承してくれている。彼女たちが成長したことにより、任せていただけることが増えた。過去のメンバーも全員が頑張ってくれたので、4年目で形になってきたと実感しています」。

初代キャプテン、現ヴァイスキャプテンのSariさん
初代キャプテン、現ヴァイスキャプテンのSariさん

初代キャプテンであり、今年はヴァイスキャプテンの責務を担うSariさんは「小さいころからスポーツとダンスが好きだったので、今の仕事は天職だと思う」というチャーミングな女性だ。「チームとしては活動の幅を広げさせていただけて、メンバーそれぞれの個性を発揮できる環境をいただけてありがたい」と、現在の仕事内容にやり甲斐を感じているという。

「他球団のチアさんはダンスがメインだけど、試合中の大事なリリーフカーの運転やボールガール、イベントのお手伝いもさせていただけ、ファンの方と接する機会も多い。タイガースのために一役買えている喜びがある」と生き生きと話す。

4年目を迎え、「年々わたしたちのことを知ってくれる人が増えて、嬉しいとともに責任感もある」と言い、「もっともっと可能性あるメンバーだし、さらに多くの人に知ってもらうために活動していきたい」と瞳を輝かせる。

さらなる高みを目指して・・・
さらなる高みを目指して・・・

島田ディレクターも「もっと自分たちの価値を高められるよう役割を果たしていくことで、子どもたちの夢になっていってほしい。憧れの職業に挙げられるように」と話す。実際、女の子のファンはキラキラした目で彼女たちを見つめているし、学生時代に憧れていたと言ってオーディションを受験する女性も出てきている。

「踊るだけじゃなく直接関われるのがTigers Girlsのおもしろみだし、それがここでやる一番の理由」。優勝に向かって奮闘しているタイガースをさらにバックアップしていくことを、島田ディレクターもメンバーも誓っている。

島田若枝子(しまだ もえこ)ディレクター】

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同志社大学でチアリーディングを始め、副キャプテンを務める。全国チアリーディング大学選手権7位に輝く。

数々の競技やチームのチアリーダーを経て、パフォーマンスディクターやコーチを歴任。また、企業イベントやCM出演、振り付けやパフォーマンス制作にも携わる。

講演活動や指導にも精力的で、2014年、阪神タイガースのオフィシャルファンサービスメンバー「Tigers Girls」のディレクターに就任。

フリーアナウンサー、フリーライター

CS放送「GAORA」「スカイA」の阪神タイガース野球中継番組「Tigersーai」で、ベンチリポーターとして携わったゲームは1000試合近く。2005年の阪神優勝時にはビールかけインタビューも!イベントやパーティーでのプロ野球選手、OBとのトークショーは数100本。サンケイスポーツで阪神タイガース関連のコラム「SMILE♡TIGERS」を連載中。かつては阪神タイガースの公式ホームページや公式携帯サイト、阪神電鉄の機関紙でも執筆。マイクでペンで、硬軟織り交ぜた熱い熱い情報を伝えています!!

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