【河内長野市】日本財団子ども第三の居場所に認定されたかわちラボの目指す道とは?駅前の長野商店街に誕生
河内長野駅前の長野商店街(西商栄通り)は私設公園 AKICHIDE PARKの誕生に続き、25日にはかわちラボが新たに開所しました。私が引っ越ししてきた2021年の冬のころは、コロナ禍という事情があったにせよ、正直「終わった商店街」という印象を持ってしまったので、あまりの変わりように驚きです。
かわちラボが誕生した場所について語る場合は1年以上前、2022年12月に遡ります。電気店の跡地に当時は椿家さんというワインカフェがありましたが、その隣の空き店舗で猫の絵プロジェクトが行われました。
河内長野料飲宿連合会(外部リンク)の事務局の壁に、主に子どもたちを呼んで壁に自由な絵を書かせるイベントが行われたのです。このときの私は、商店街を活性化させるイベントのひとつにすぎないとばかり思っていました。
ところがこのときに居合わせ河内長野市商店連合会の高比良会長の話によると、もっと大きな目的があると言います。実はこの建物は昭和初期に建てられた築100年弱(96年)の物件で、解体業者との契約の直前に高比良会長が「待った」をかけて、地主さんから借りたというエピソードを伺いました。
その後、南天苑の山崎社長が共感し、「シャッターを開けろ」というプロジェクトでwinecafé椿家さんがオープンし、2023年11月まで営業しました。
高比良会長は古民家全体をリノベーションして、人が集まるような新しい拠点を目指したいという話を伺いました。
駅前商店街に面した古民家の奥には中庭や井戸があって、とても雰囲気がいい感じがしました。確かにボロボロ感は否めませんが、取り壊して更地にならなくて良かったと心底思いました。
かわちラボさんが当時の建物の内部の写真を送ってくださいました。こんなことを言っては失礼かもしれませんが、これを見てとても利用できる代物とは思えません。では、この状態からどのようにリノベーションしたのかとても興味深いですね。
猫の絵プロジェクトから1年近くたって今年の1月に、カジュアルワイン会での発表の場に「かわちラボ」が登場しました。これは特定非営利活動(NPO)法人「ぬくもり」(外部リンク)の鬼頭大助代表理事が新たに始めるプロジェクトとのこと。
そして現場の責任者として岡田悠利理事が発表した内容は、「子どもの居場所事業」ということでした。これは日本財団の「子ども第三の居場所」と呼ばれるプロジェクトの一環だったのです。
日本財団「子どもの第三の居場所」プロジェクト(外部リンク)は、日本財団が日本の将来のために子どもへの投資するというコンセプトのもとで進められている事業で、子供たちの居場所を提供しようというもの。
そして、1月16日に先行して椿家さん跡に、LIVING+ただいまCafeがプレオープンしました。
カフェエリアを先行オープンしたので、まだ外壁や奥などは工事中という状態です。日本財団の第三の居場所は「おかえり」というキーワードがついているので、それに対して「ただいま」の名前を付けたようです。
さて、かわちラボではいろんな動きを準備していて、その中のひとつに「駄菓子屋をつくる」というのがありました。
市役所食堂のONキッチンさんで行われた最初の集まりの様子を撮影しました。子どもたちが主体的になって準備や運営を行なう駄菓子屋は、4月中旬ごろのオープンを目指しています。駄菓子屋のほかにも、かわちラボさんでは次のプロジェクトを進行中です。
放課後フリースペース/試験運用中:4月3日本格開始
小学生から高校生を対象に、週3日間(月・水・金曜日、15:00~19:00)安心安全を感じられるプレイルームとして無料開放に加え、子どもたちが企画したイベントを開催するなど自分らしさを発揮できる場所になるよう運営するそうです。
まちのスクール(フリースクール)/4月3日から試験運用、5月8日本格開始
小学生から高校生を対象に、週3日間(月・水・金曜日、10:00~15:00)不登校児童の日中の居場所として開設します(有料:月額25,000円)「まちが学校」というテーマで自分自身を認められる事を教育の核とします。公認心理師(外部リンク)などの専門家による研修を通じて共に学び続けるスタッフの育成にも力を入れるとのこと。
また将来的には、相談事業やイベントスペースの開放や食事提供、コワーキングスペース、地域の課題解決のための勉強会も考えているとのこと。4月2(火)、6(土)、11(木)には内覧会の予定もあるので、詳細や申込はかわちラボまで問い合わせましょう。
3月の頭頃の工事の様子です。まだまだ足場がありますが、前よりずいぶん工事が進んでいるのがわかります。
そして先日、3月25日かわちラボが正式オープンし、開所式を行なうという情報を得ました。開所式は関係者だけで行われる招待制だったのですが、特別にお願いして潜入取材させていただくことができました。
入口の前に来ると花が置いてあります。ここはカフェの入口ですが、今日はかわちラボの式典のため臨時休業(貸切営業)とのこと。
かわちラボの入口はカフェの隣です。料飲宿連合会事務局と同じ入口です。
あんなボロボロの古民家が見違えるほど綺麗になっていますね。開所式は2階で行われていました。
少し遅れて入ったので、すでに鬼頭代表理事による説明が始まっていました。
私は「次の間」のようなところに案内されました。大きなディスプレイで式典の様子がみられます。ここだけの話、私だけ場違い感があったので、こちらのほうで良かった!
「次の間」のディスプレイ越しに式典の様子を紹介しましょう。鬼頭代表理事のNPO法人ぬくもりのページを見ると障がい児への支援を通して「誰もが自分らしく生きられる『ぬくもりある社会』」をコンセプトに設立した団体です。
しかし、勘違いしてはいけないのは「かわちラボは」障がい児向けの施設ではありません。さらに言えば、子どもだけの施設でもありません。画像にあるように、「子どもラボ」を中心にその周りに「大人ラボ」、さらに地域全体を見据えた「まちラボ」でもあるのです。
かわちラボが駅前商店街にあるのはそういった意味合いもあるようで、電車やバスに乗って来ることができる場所として選ばれました。年齢や立場を越えた皆がつながれる場所を目指しています。
そして日本財団から「子ども第三の居場所」の認定を受けました。認定施設は全国199あり、大阪府では17あるそうですが、かわちラボは河内長野ではもちろんのこと、南河内地域でも初めて認定されたとのこと。
まちの未来そのものと言える子どもたちを中心に多様な人が集まり、「誰もが自分らしく生きられるぬくもりあるまちづくり」を目指します。あくまで民間の事業ですが、行政との連携は必須と考えているそうです。
ここで来賓の挨拶があります。通常来賓の挨拶は市内のいろんなところで見られる機会が多いので普通は紹介しないのですが、今回あえて紹介した理由は、来賓の方の子ども時代の写真が見られたからです。
一般の市民からしたらどうしても雲の上の存在に感じてしまう人たちも、当たり前ですが当然子ども時代はあったのです。
子ども時代の写真を見ると、来賓の人たちもより身近な存在のような気がしました。
そして、オープンを記念して最後にくす玉が割られます。
くす玉を割るのは、まちの未来を担う子どもたちです。
くす玉が割れる瞬間を動画に録りました。
くす玉が無事に割れました。こうして「かわちラボ」が正式に開所しました。
開所式の後、改めてリノベーションした建物内を見ました。天井も新築マンションのようです。
木はおおさか河内材を使用しています。子供が舐めても大丈夫な無害の透明ワックスがけをするそうです。
次の間の様子です。緑色の部分は恐らく、もともと押入れがあったのではと想像します。
会場に到着してすぐの子供たちが一目散にこのスペースに来て、ごろんごろんしていたのが印象的でした。子供の居場所にふさわしい、いろんな仕掛けが施設内にあります。
窓から見た外の様子です。外壁も白色に塗られているので新しく建てられたように見えますね。
でも、本当に築100年近くの古民家なのです。リノベーションを行う建築業者さんの技術力の高さを痛感しました。
さて、2階の商店街側にはテラス席があります。
テラス席から商店街の様子が見られるのも良いですね。子どもたちも楽しめそう。
私も普段よく通る長野商店街ですが、初めて2階からの様子を眺めることができました。
そして、これまでの活動などが紹介されたパネルが置いてあります。
ただ、建築法との兼ね合いで、向かい側の建物とは2階で正面のフロアと直結することはできなかったとのこと。正面のフロアに行くためには階段を降りなければなりません。
階段を降りて下に来ました。
元から残っていた昭和レトロな看板と、新たに作られた日本財団「子ども第三の居場所」の看板、並んでも違和感がありません。
提灯などがぶら下がっているから、本当に昭和の下町の飲み屋街のように見えます。これなら大人たちも違和感なく利用できそう。
これは国民的アニメ番組のそれも初期のイラストです。上の「人造バター」(マーガリン)というネーミングも含め貴重なものです。余談ですが、これと同じものがアマゾンで2,979円で販売していました。
そして中庭エリアに来ました。ここは一昨年の12月に実際に見た場所です。こんなに見違えるほど変わるとは正直驚きました。
昔の井戸があえてそのままになっているのが良いですね。
こちらでは子供たちが集まって何かをしています。
こちらです。かわちラボ開所日早々から謎解き宝探しというゲームが行われていました。
さて、向かいの部屋に行きましょう。数年前私は家を買うわけでもないのに住宅展示場に遊びに行くことにハマった時期がありました。その時に見たのと同じ階段です。子どもなら横から下にジャンプしそうだと思っていたら、本当に子どもがジャンプしていました。
こちらのフロアには大人が落ち着けそうな畳敷きの部屋があります。
こちらは板の間です。こちらでももう遊びが始まっていますね。早くも子どもの居場所として機能していました。
そして、古くて使えるものがこのように残っているのも素敵です。
古民家でボロボロだったものをリノベーションしているのでいちばん心配なのは耐震ですが、こちらの耐震設備がついています。住宅展示場で見たのと同じで、このクロスに配置した金具は木造住宅の耐震性をとても高めているものです。
ボロボロの部分は新しくしながらも、まだ使えるものはそのまま活用するというリノベーション。昔の名残が強く残され、その空気感も残っているのがとても素晴らしいです。
ただ高比良会長によれば、新築よりも当然お金がかかったということでした。
さて、この日は来賓者招待客の皆さん向けにLIVING+ただいまCafeが軽食とコーヒーを提供していました。プレオープンで切り盛りしていたあいちゃんに加え、月曜日と火曜日を中野さんが、水曜日にじゅんじゅんさんが4月から新たにキッチンを切り盛りするとのこと。
私も軽食とコーヒーを御相伴に預かりました。カフェもこの日がグランドオープン。曜日ごとにキッチン担当が変わることでメニューなどが幅広くなりますから、ますますカフェのほうも利用しやすくなりますね。
ということで、かわちラボさんの開所式をご紹介しました。開所式だけではなくこの日に至るまでの経緯を含めてどのようなものかご覧いただければと思います。
かわちラボも駅前商店街の活性化の一環ですが、先日AKICHIDE FORUMに出席した時に、和歌山や泉佐野のまちづくり担当者から事例の紹介がありました。やはりどこも最初はみんな懐疑的だそうですが、やり続けることで空気が変わっていったそうです。長野商店街も少しずつですが本当に空気が変わっている感じるのは私の気のせいでは無いと思います。
かわちラボ
住所:大阪府河内長野市本町9-15 長野商店街内
TEL:070-9267-6153
アクセス:南海・近鉄河内長野駅から徒歩4分
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