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【河内長野市】えっ!たった40年で鍾乳石?間近で見える摩崖仏など滝畑ダム見学で想像以上の魅力とは

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

高向公民館のセミナーで、9月に日野浄水場の見学に同行しました。公民館セミナーは2回シリーズで、10月実施の2回目は滝畑ダムの見学会が行われましたので、同行取材させていただきました。

場所は滝畑ダムのダムサイトと呼ばれているところです。わかりやすく言えば水をせき止める堤防がある地点です。

ダムサイトのところに、滝畑ダムを管理している「大阪府南河内農と緑の総合事務所滝畑ダム分室」があります。

その事務所内で、最初に画像での説明がありました。

実際にダムの管理をされている担当者の方が、画像を通じて滝畑ダムがどのようなものであるかを説明してくださいました。180億円の事業費をかけて、1973(昭和48)年に着工、1982(昭和52)年に完成、およそ9年かけて造られました。ダムの目的は以下の通りです。

  • かんがい用水
  • 洪水調節
  • 水道用水
  • 河川維持用水

ちなみに見学会が終わってからの話ですが、参加者から水力発電での使用の有無についての質問がありました。発電目的で滝畑ダムは利用していないとのこと。

面白いのはこの場面です。ダム建築前の写真をべースに、ダムができたことでどのくらい水が貯まって風景が変わったのかを図示しています。

滝畑ダムは水位が激しく上下するため、貯水量が減少するとかつて村があった痕跡が出てくることがあるそうです。

水位が低下した時に撮影
水位が低下した時に撮影

私も実際に滝畑ダムを散歩した時に、村の痕跡を見たことがあります。

一連の説明が終わった後、いよいよ実際に滝畑ダムの見学が行なわれます。ヘルメットの着用が必要です。

荷物を建物の中に置いて、身軽になって出発です。

滝畑ダムの様子です。少し水位が下がってきているように感じました。

ここからが普段は入れないところです。担当者の方がカギを開けます。

階段を降りてダムの壁の下に向かいます。

堤防の高さは62メートルある滝畑ダムですが、ここでは40メートルの高低差を降りていきます。

このように降りていきます。降りるのはまだよいのですが、帰りは上らないといけません。ちょっと不安になりました。

いちばん下の部分にまで降りてきました。

下からダムの壁を見上げると、やっぱり迫力があります。

下の部分は広場のようになっています。

ダム湖から水が流れています。毎秒0.1トンの水を流しているそうですが、水の量が多い時には倍の量を流すそうです。

動画も撮りました。

上の部分を見ます。滝畑ダムの水位が満水を超えそうになると、壁へのダメージを防ぐために、自動的に水が落下するような仕組みになっているそうです。

広場の先です。ゲートがあり、祭壇が見えます。以前滝尻バス停から歩いて向かったときのダム敷地に入る手前のところ。今回は敷地側から撮影しました。

そして滝畑ダムの名物である摩崖仏が間近でとてもよく見えます。ダムの堤防の上からも見えますが、下から見ると間近でインパクトが違います。

ちなみにこれは見学の後に見せて頂いた写真ですが、摩崖仏は大正末から昭和6年にかけて、長野郵便局初代局長だった夏目庄吉という人が、毎日掘り続けた結果できたものです。現在の河内長野市街地から10キロメートルほど自転車で走り、さらに梯子によじ登って掘り続けたのですから、想像を絶する忍耐力と気力がないとできないですね。

ここから、ダムの内部に入っていきます。

こちらが入り口です。

ドアの中はトンネルになっています。

トンネル内は監査廊と呼ばれています。

下に降りていきます。

地下都市に向かうかのように回廊が続いています。

温度計が設置してあり、温度の確認ができます。

トンネル内は四季を通じて一定の温度とのことですが、この日は奇しくも外の温度とがちょうど同じくらいだったため、その違いがわかりにくいと担当者の方が言ってました。

トンネル内で気温が一定である理由についての説明です。地中深くなると温度変化が小さくなり、監査廊内の気温は年中一定とのこと。

温度計以外にもいろんな装置があります。これは地下水に圧力がかかるので水を抜き取るためのもの。季節ごとの排水の状況についてもチェックしているそうです。

こちらはプラムラインと呼ばれるもので、堤防の様子を監視する役目をになっています。

担当者の話では、ダム堤防は通常でも数ミリ程度の動きがあるとのこと。ダムの上からステンレス線が40メートル下まで伸びていて鋼の振り子があります。これでダム堤防が急激に動いていないかといった変化をチェックします。

さて、トンネルを見上げると不思議なものがあります。えっ!鍾乳石?

鍾乳洞にありそうなつらら鍾乳石があります。しかし、鍾乳石は100年で1センチ程度しか成長しないそうで、滝畑ダムはできて42年しかたっていません。たった40年で鍾乳石!いったいどういうことでしょうか?

鍾乳石に見えるものの正体は「エフロレッセンス:白華」と呼ばれるものです。コンクリートの中に含まれている水酸化カルシウムが水に溶けて空気中の炭酸ガスと化学変化を起こして炭酸カルシウムが生成されます。天然の鍾乳石と比べて成長がものすごく早いのが特徴とのこと。

つらら石だけでなく、床にも鍾乳洞にありそうな石筍(せきじゅん)もありました。びっくりですね。

とはいえ、ここは天然の鍾乳洞ではなく人工的に作られた滝畑ダムの内部です。トンネル内に様々な設備が見られます。

水位流量の換算表など、定期的にチェックするために必要な情報が壁に貼っています。

ここから急な階段を上って行きます。手すりがあるとはいえ、ちょっと怖いですね。

昇りきったところですが、さらに上に別の階段が見えます。

ここにはバルブがあります。これはダム湖の水を取水する際にダムの水位によって4カ所の取水口があり、その時々に応じて取水するときに使うものです。

これはダム見学の前に見た画面です。このように4つの地点から取水できるようになっているわけですね。

そういった取水設備をコントロールする操作盤がありました。

担当の方が詳しく説明してくださいます。滝畑ダムの見学は団体の受付と毎年夏に見学する機会があるそうです。今回は高向公民館のセミナーとしての団体での見学会だったわけです。

さらに上の階段に向かいます。

同じように急な階段で上がります。

トンネル内で上がっていくので、今どこまで上がっているのか予想がつきません。

上がったところにある装置です。

放流管ゲート室とのことですが、これはダムの水がたまりすぎた緊急時に放流するために使うためのものです。しかし、担当の方の話では完成以来使ったことがないとのこと。

見学コースから外すことも検討しているそうなので貴重な場面に遭遇できたようです。とはいえ、利用されていないということは緊急時が無かったということなので、本当は喜ばしいことなのかもしれません。

ふと壁を見ると蝙蝠(コウモリ)がいました。

ここからまた急な階段を上がっていきます。

ずいぶん上がったと思えば、監査廊の出入り口の上部付近まで来たようです。

そして外に出てきました。このようにダムの壁の真ん中付近まで上がってきていました。

もう結構な高さです。あと少しだけ上りました。

ダムの上まで上がったところで反対側に向かいます。

ダム湖の上、ブイのところに見えるもの。あそこには天野酒の湖底熟成酒を沈めるスポットです。

先ほどダムの堤防の下まで降りて行ったときに、横から水が流れている様子が見えましたが、ここからも水が流れている様子が見えます。

最初の部屋に戻り、過去の写真を拝見しました。

滝畑ダムができる前にあった滝畑に向かう道路の様子です。現在は通行不能とのこと。

ということで滝畑ダムの見学会が終わりました。途中にも記載しましたが、滝畑ダムの見学会は、夏休みの時期と団体の貸し切りとで受け付けているとのことでした。

そして最後にダムカードをいただきました。ダムを見学した証ですね。滝畑ダム見学で想像以上の魅力がありました。

滝畑ダム(大阪府南河内農と緑の総合事務所滝畑ダム分室)

住所:大阪府河内長野市滝畑240-2

アクセス:南海・近鉄河内長野駅からバス 滝畑ダムサイトバス停下車徒歩1分

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奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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