投票用紙に候補者の名前を書いて終わりじゃもったいない!政治家もいろいろな人たちの声を求めている。
政治に影響を及ぼしたり、法律や条例を変えたり作ったりするために、議員や官僚、行政などに働きかけを行う人、つまりロビー活動をする人のことを「ロビイスト」と呼んでいます。
これまで日本で行われてきたロビイングは、経団連や日本医師会、農協などの業界団体が「もっと金よこせ」と言って政治家に圧力をかけることがメインでした。また、労働組合も政治運動の一環として政策提言活動を行ってきています。これらの組織は圧力団体と呼ばれ自分たちの利益を図るべくロビイングなどの政治活動を行ってきました。
さらにこれらの圧力団体は組織内候補を選挙のときに出馬させて自民党や民進党などに送り込んでいます。これらの組織内候補が当選したら、この議員を中心として圧力団体はロビイングを行っていくことが可能となるのです。
その一方で、これまで社会的な弱者やマイノリティを守るためのロビー活動を行う人材が足りませんでした。
政策を実現したいなら政治家になるよりロビー活動という方法も
私がはじめて政治に興味を持ったのは郵政選挙後の小泉政権の時でした。私の中では「政治=議員」だったので、都議会議員のもとで議員インターン生も経験してみました。
実際に議員インターン生を経験してみると、細かな仕事の多さに驚きました。支持者が参加している小さな会合を毎日いくつも回り、挨拶をして名刺を配る。いくつもの報告会に顔を出す。秘書や後援会の人たちが名簿を作成したり、都政報告会への参加/不参加を電話で1件ずつ確認したり、とにかく事務作業がたくさんありました。
政治家は毎日とにかく忙しいし、いろいろな人たちに支えられている分だけ、しがらみが多いこともわかりました。政治家なのに、政策のことを考えられる余裕がないように見えました。私としては、純粋に政策だけにコミットするためにはロビー活動のほうが効果的な手段だと考えました。
ときには各政党の調整機能を担って政策を動かしていくことも
通常、私たちは国会の審議で賛成や反対を知ることができます。しかし、国会に法案が提出されるまでには様々な動きがあります。まずは、政党の中で採決をする。超党派議連を作って各党の意見をすり合わせる。その一番のスタートがロビイングです。
国会議員だけでは、それぞれの立場があるので議論は進んでいきません。そこで、各政党内での人間関係を調整していく必要があります。国会議員も官僚もメンツを気にする人たちなので、第三者が入らないとメンツが保たれないのです。その中で、シンポジウムを開いたり、メディアに働きかけて問題提起をしてもらうこともあれば、内密に進めていくこともあります。
ロビイングには鉄則があって、与党に行ってから野党に行く。これは、仁義みたいなもので、野党から行くと「失礼」となってしまうので、断られてから野党に行けば良いのです。どれだけイシューが正しくても、まわる政党の順番が間違ってしまうとそれだけで賛成できなくなってしまうようです。これは自民党政権でも民主党政権のときでも同じです。
やはり政治なので、党内手続きを踏めるのかどうかが大切です。与党の人たちは「なんで与党なのに、うちからこないの?」という感覚ですし、議員には当選回数による序列もあります。一般の市民からすると、「知らないよ」って思われるかもしれませんが、政治家には政治の世界のルールがあるのです。
政治家は使い倒してこそ価値がある
一番簡単な方法としては地元の選挙区にいる政治家に会いにいけばいいと思います。政治家の仕事は自分の地域の有権者の声を聞くことです。そのために様々な場所に足を運んでいます。ですが、今は話を聞く人たちが固定化されてしまっています。
政治家もいろいろな人たちの声を聞きたがっていますが、なかなか聞ける接点がないようです。いきなり、ロビイングやロビイストというと難しいように聞こえますが、政治家は私たちの代弁者です。議会で代弁するのが政治家の役割なのです。
しかし今は「政治家が悪い」と言われているだけになっています。ですが、本当にそうなのでしょうか。そもそも私たちが適切な人を当選させてないかもしれませんし、当選後の議員を使いこなせていないだけなのかもしれません。せっかく私たちの代表なのですから、使って使って使い倒さないといけない。
今の日本は、まだ市民と政治家の繋がりが薄いです。この間を埋めていくのがロビイングなのでしょう。もっとロビイングが世の中に浸透していけば、少しずつ日本の民主主義も変わっていくのではないでしょうか。
※ちなみに、都民が都政へ意見を言う方法については下記ブログが参考になりますのでぜひご覧ください。