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被災地に「見えない力」を届けたい――大相撲初場所が開幕 芝田山親方が語る見どころと石川県への思い

飯塚さきスポーツライター/相撲ライター
大相撲初場所初日に話を伺った芝田山親方(写真:すべて筆者撮影)

大相撲初場所初日。快晴に恵まれた新年初の本場所には、多くの人が詰めかけた。横綱・照ノ富士の出場や綱取りのかかる霧島など、見どころの多い今場所。広報部長の芝田山親方(元横綱・大乃国)に、土俵への期待と自身の監修するスイーツの新商品などについて伺った。

国技館で「スイーツ親方」に会える!

多くの来場者でにぎわう1階の売店。「スイーツ親方」こと芝田山親方も、自身の監修したスイーツパンなどを売る店頭に姿を見せる。

売店でスイーツを売る芝田山親方
売店でスイーツを売る芝田山親方

「今場所の新しいスイーツパンはいちごとホワイトチョコ味で、アフタヌーンティーにいいかもね。あとはぜんざいと、うなぎの骨を使ったスナック『うなぎのポリッタ』も新商品です。うなぎの骨は、栄養価が高いのに捨てられてしまうものがほとんどなので、SDGsの一環でもあるんです」

今場所の新商品「うなぎのポリッタ」とぜんざい
今場所の新商品「うなぎのポリッタ」とぜんざい

また、国技館では売られていないが、全国のスーパー、ドラッグストアなどで山崎製パンとコラボした商品も期間限定(1月末まで)で販売中。開発には苦労があったという。

山崎パンとコラボした商品。芝田山親方は「カスタードクリームボール」を監修
山崎パンとコラボした商品。芝田山親方は「カスタードクリームボール」を監修

「バゲットのような固いパンだとカスタードクリームが染みていかないので、もちっとした柔らかい食感のパンを採用しました。クリームが入る部分が空洞にならないようにも工夫しました。どこかで見つけたら食べてみてください」

力士たちには「本来の強さを見せてほしい」

芝田山親方に、今場所の見どころについても伺った。休場明けの横綱・照ノ富士が久しぶりに土俵に上がる。加えて、綱取りのかかる霧島、大関が見えてきた琴ノ若の活躍に期待したいというが、彼らへの思いをこう語る。

「みんな目の前の白星がほしいのはわかるけれど、ここ一番で小細工しても意味ないんです。各々が自分の相撲を取り切って、本来の強さを見せること。そうすることによって、(番付が)上がった後も安定感が出るし、何より場所の雰囲気も盛り上がりますよね。だから、上がる前の予行練習のようなつもりで取り組んでほしいと思っています」

そのほか、新入幕の大の里、稽古総見で存在感を発揮したという高安、新三役の宇良、昨年活躍した熱海富士らの名を挙げ、「世代交代でどの取組も面白いよね」と太鼓判を押す。

さらに、元日に被災した石川県にも思いを馳せる。石川県は、人気力士の遠藤ら多くの力士を輩出する相撲大国だ。芝田山親方の願いは。

「物資を届けたり寄付をすることはもちろん大事だし、協会としてもこれから取り組んでいくんですが、いまはそれよりも『見えない力』を送らないといけないと感じています。遠藤、輝、大の里ら地元出身力士の活躍をはじめ、協会員全員が一丸となって、被災地に勇気を届けたい。そのために、いまは見守りながら与えられた仕事を全うしたいと思います」

15日間、必死に戦う力士たちが、日本の地を踏み固める。彼らの勇姿が、被災地に少しでも光をもたらしますように。思いを一つに、新たな戦いがここから始まる。

スポーツライター/相撲ライター

1989(平成元)年生まれ、さいたま市出身。早稲田大学国際教養学部卒業。ベースボール・マガジン社に勤務後、2018年に独立。フリーのスポーツライター・相撲ライターとして『相撲』(同社)、『Number Web』(文藝春秋)などで執筆中。2019年ラグビーワールドカップでは、アメリカ代表チーム通訳として1カ月間帯同した。著書に『日本で力士になるということ 外国出身力士の魂』、構成・インタビューを担当した横綱・照ノ富士の著書『奈落の底から見上げた明日』。

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