アップルは何を発表するのか、開発者会議6月7日開催
米アップルは先ごろ、年次イベント「世界開発者会議(WWDC)」を2021年6月7〜11日(現地時間)に開催すると明らかにした。新型コロナウイルスの影響で昨年同様、すべてオンライン形式で開き、すべての開発者が無料で参加できるという。
これまでのWWDC
WWDCは主にアプリ開発者に向けるものだが、一般ユーザーも既存のハードウエア製品に備わる新機能の一部を知ることができる。毎年6月に新OSのベータ版を開発者に公開し、秋に正式版をリリースしている。
アップルは毎年、初日にスマートフォン「iPhone」やタブレット端末「iPad」、パソコン「Mac」などの新しいOS(基本ソフト)を発表する。
20年は、iPhone向け「iOS 14」やiPad向け「iPadOS 14」、腕時計端末のApple Watch向け「watchOS 7」、Mac向け「macOS Big Sur」などのOSを発表した。
また同社は時折、新たなハードウエア製品も発表する。例えば19年のWWDCでは、価格が約6000ドル(日本では60万円以上)のデスクトップ機最上位モデル「Mac Pro」の新製品を発表した。
20年のWWDCでは、Macの独自プロセッサー計画を明らかにした。2年ほどかけてすべてのMacを自社製チップに切り替えるというもので、同年11月に「M1」と呼ぶMac向けSoC(システム・オン・チップ)第1弾を採用した3製品を発表した。
4月のイベントで「M1」搭載iMacとiPad Pro発表
先月はオンラインイベントを開催し、M1チップを採用した新型デスクトップパソコン「iMac」(画面サイズ24インチ)や新型タブレット端末「iPad Pro」(画面サイズ11インチと12.9インチ)などを発表した。
iMacはデザインを刷新し、本体の厚さを11.5ミリメートルと薄くしたほか、緑、黄、オレンジ、ピンク、紫、青、シルバーの7色の本体カラーを用意した。
iPad Proはこれまで、iPhoneと同じ独自開発プロセッサー「Aシリーズ」を採用していたが、初めてタブレット端末にもM1を採用した。
この時同社は、鍵や財布などの紛失を防ぐ小型機器「AirTag」も発表した。iPhoneのアプリを使って探すことができる。
衝撃に強い「Apple Watch」
米CNBCなどは4月、アップルが動画配信端末「Apple TV」とAIスピーカー「HomePod」を一体化したような新製品を開発中だと報じた。
本体にカメラを内蔵しており、ビデオ会議が可能。新しいスマートホーム機能も備えると関係者は話している。動画やゲーム、音楽の配信とAIアシスタントなどの機能を備えた多目的機器だという。
アップルはタッチスクリーンを備えた高性能スピーカーの市場投入も検討していると米ブルームバーグは報じている。iPadとHomePodを組み合わせたような製品。こちらもカメラを内蔵しており、ビデオチャットが可能だという。
またブルームバーグは3月、アップルがApple Watchの堅牢モデルの発売を計画中だと報じた。アスリートなど過酷な環境で使用する人に向けた頑丈なケースを備えるモデルで、社内では「エクスプローラ・エディション」と呼んでいる。
Apple Watchはランナーやハイカー、スイマーなどに人気がある。一方、カシオ計算機の腕時計「G-SHOCK(ジーショック)」のような頑丈なデザインの製品もよく売れている。機能は標準のApple Watchと同じながら、緩衝ゴムを採用するなどして特別な耐衝撃性を備える製品を発売する可能性があるという。
VR・AR用ヘッドセット
アップルは21年1月、ハードウエアエンジニアリング担当上級副社長のダン・リッキオ氏がティム・クックCEO(最高経営責任者)直属の新規プロジェクト担当幹部に昇格すると発表した。
リッキオ氏は、iMacをはじめ、5G対応スマートフォン「iPhone 12」、M1プロセッサー搭載Macなどの設計、開発、エンジニアリングなどを率いてきた人物。同氏の異動に伴い、ハードウエアエンジニアリング担当副社長のジョン・ターナス氏が上級副社長に昇格。リッキオ氏の後任に就いた。
同社はリッキオ氏が担当する新プロジェクトの詳細を明らかにしていないが、CNBCなどはアップルがVR(仮想現実)とAR(拡張現実)用ヘッドセットや電気自動車(EV)を開発中だとも報じている。
- (このコラムは「JBpress」2021年4月1日号に掲載された記事を基にその後の最新情報を加えて再編集したものです)