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アンドロメダ銀河で巨大構造を新発見!そこでわかった新事実とは?

どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。

今回は「アンドロメダ銀河の新構造とそこからわかる発見」というテーマで動画をお送りしていきます。

2022年11月27日、シドニー大学などの研究チームは、アンドロメダ銀河に新たな構造を見出し、そこからわかるアンドロメダ銀河にまつわる新発見をまとめた研究結果を発表しました。

●巨大銀河「アンドロメダ銀河」

私たちの太陽系が属する、2500億個もの恒星が集まった星の大集団は、天の川銀河または銀河系と呼ばれています。

天の川銀河の直径は10万光年以上にもなるとされていて、現在の人類がどうあがいても抜け出せない巨大天体です。

そんな天の川銀河から250万光年ほど離れた所に、アンドロメダ銀河と呼ばれる銀河が存在しています。

アンドロメダ銀河の直径は20万光年以上あるとされていて、天の川銀河より約2倍も巨大な銀河です。

銀河内の恒星の数は実に1兆個に達するとも見積もられています。

そして宇宙空間においては近所にあるためにお互い重力的に引き合って結びついている銀河の小集団を銀河群、さらに大きい集団を銀河団と呼びますが、天の川銀河やアンドロメダ銀河を含む40-50個程度の重力的に結びついた銀河の小集団は特に「局部銀河群」、英語で「ローカルグループ」と呼ばれています。

そんな局部銀河群において私たちの天の川銀河は2番目に大きく、最大の銀河がアンドロメダ銀河となります。

この二つの銀河は他の局部銀河群の銀河と比べてもずば抜けて大きい銀河であることが知られています。

これだけ巨大なために、アンドロメダ銀河は地球から遥か250万光年も彼方にあるにもかかわらず、なんと地球から見たディスクの大きさは満月や太陽の5-6倍程度にもなっています。

●アンドロメダ銀河の新構造

2022年11月27日、シドニー大学などの研究チームは、アンドロメダ銀河に新たな構造を見出しました。

その構造についてはまだわかっていないことも多いため、黒い流れという意味で「デュライ構造」と呼ばれています。

デュライ構造が発見されたのは、アンドロメダ銀河の内部ハローと呼ばれる領域です。

この領域には銀河本体であるディスク領域と比べて非常に低密度で恒星が分布しています。

銀河ハロー領域には、10万~100万個単位の恒星が球状に集まった天体である「球状星団」が存在します。

天の川銀河のハローには現時点で150個ほどの球状星団が発見されています。

デュライ構造の正体は、10~20個程度の球状星団の集団であると考えられています。

ただしこれを確定させるためには、この構造との正確な距離を追加で知る必要があるとのことです。

●新構造の特徴とそこからわかること

アンドロメダ銀河を構成する星々は全体として、比較的統一的な方向で銀河を回転しています。

そんな中デュライ構造は、周囲の他の天体とは明確にズレた方向に運動していることがわかっているそうです。

また、デュライ構造を構成する天体に含まれる金属量は、周囲の典型的な天体と比べて少ないことも明らかになっています。

天文学の分野では、金属とは「水素とヘリウム以外の全ての元素」を指します。

水素とヘリウムは宇宙初期から存在していましたが、金属は恒星内部の核融合で徐々に作られ、その星が爆発することで宇宙内での存在比が高まっていきました。

恒星が誕生する時、その時代に存在する周囲のガスが集まることで誕生します。

つまり金属量が少ない恒星は宇宙初期に生まれたもの、金属量が多い恒星は比較的最近生まれたものであると推測できます。

このように恒星に含まれる金属量は、その星がいつの時代に誕生したのかを示しています。

デュライ構造は全体として低い金属量で統一されていることから、これらがかなり前に同時期に誕生したことが推測できます。

周囲の他の天体とは運動も誕生時期も異なるという事実から、デュライ構造は元々別の銀河に含まれており、その銀河が過去50億年のどこかでアンドロメダ銀河に吸収されてしまった可能性が示されています。

ただし先述の通りデュライ構造までの正しい距離の情報が乏しいため、デュライ構造がかつて1つの巨大銀河に含まれていたと確定することはできていないようです。

この数十年の間の天文学の研究により、天の川銀河やアンドロメダ銀河のような巨大な銀河は、より小さな銀河を吸収することによって徐々に成長してきたという説が有力視されるようになりました。

もしもデュライ構造がかつてアンドロメダ銀河で起きた巨大銀河衝突現象の名残であれば、デュライ構造の発見も、銀河の進化にまつわる現在の定説が正しいことを裏付けるものとなっています。

そして天の川銀河もアンドロメダ銀河と同様に渦巻銀河なので、今回のようにアンドロメダ銀河の歴史を紐解くことで、最終的には私たちの住む天の川銀河の歴史を理解することにも繋がると期待されています。

https://www.inverse.com/science/andromeda-contains-the-remnants-of-a-recent-feeding-event
https://arxiv.org/pdf/2211.07877.pd

「宇宙ヤバイch」というYouTubeチャンネルで、宇宙分野の最新ニュースや雑学などを発信しているYouTuberです。好きな天体は海王星です。

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