国民年金の加入(納付)期間5年延長で年金額はどう変わる?
7月3日に公開された厚生労働省 社会保障審議会年金部会の令和6(2024)年財政検証結果。それによると国民年金の加入期間を5年延長することで、年金財政を安定化させる案が入っていることがわかりました。
■40年から45年に加入期間が延長される可能性
国民年金は20歳になり年金手帳が届くタイミングから保険料の納付が始まります。60歳になるまで40年間保険料を支払い続けると、65歳から公的年金の1つである老齢基礎年金を受取れる仕組みです。
成人年齢が18歳になったのだから、18歳から加入すればいいのではないかと感じた人もいるかもしれません。もしかすると、今後成人年齢に合わせて、加入期間が2年前倒しになる余地はあるかもしれません。その方が年金財政にもプラスになることは間違いありません。
公的年金の財政を健全化するために、現在の加入期間である40年を45年にしてはどうかと試算が公開されています。
国民年金の加入期間延長案は、すぐに政治のチカラで見送りになったと報道されました。
国民年金の加入期間が5年延長になると所得代替率という、現役世代の手取りに対する公的年金の支給割合の上昇が期待されます。つまり、5年間保険料を払い続ける人が増えることで、収入としての保険料が増えますから年金財政はプラスになるのです。
■5年延長での損得勘定は?
2024年度の国民年金保険料は月額16,980円です。5年延長の場合、60か月納付することになりますから、約102万円追加で保険料を納めることになります。増税か?と聞かれたら増税です、と答えざるを得ない内容です。
ただ、5年の延長で受取れる年金額も増加します。年間10万円、毎月換算で8,333円相当の年金額が増加する計算です。
現在の国民年金が40年加入の場合、年間81.6万円、月額68,000円ですので、老齢基礎年金が12.2%増える計算です。
なお、所得代替率は7%程度改善される見込みです。
加入期間を延長すると、将来的に第3号被保険者を廃止した際に、かなり炎上する可能性があります。個人的には延長した方がいいのではないかと思いますが、国政選挙が近いようですので、余計な火種は生まないようにしたいのでしょう。
筆者は将来的に5年延長になると見ていますが、そもそも18歳から加入した方がいいようにも思いますので、7年延長になるのかもしれません。
今後の公的年金の制度変更を注視する必要がありそうです。