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103万円の壁、106万円の壁、何を知っておくべき?に関するFP目線でのまとめ #専門家のまとめ

高橋成壽お金の先生/C FP/証券アナリスト/IFA
(写真:イメージマート)

今最も注目を集めているお金に関するテーマの1つに所得税の課税対象となる「103万円の壁」の見直しがあります。また、社会保険料の加入対象となる「106万円の壁」をどうするかも関心が高まっています。収入の壁についての報道や解説をまとめました。

ココがポイント

ニュースでは103万、106万、130万…と色々な数字が出てきますが、どう違うのでしょうか?
出典:NHK 2024/11/8

103万円を超えると、超えた分に対して所得税が課税されるようになります。
特にパートタイムで働く主婦(主夫)や学生に影響を与えます。

出典:R-Contents 2024/4/22

就業調整をした理由(複数回答)を尋ねると、配偶者がいる人に限ると(中略)「自分の所得税の非課税限度額(103万円)を超えると税金を払わなければならないから」が46.3%
出典:ツギノジダイ 2023/9/30

妻の年収には、税金負担が増えたり社会保険の扶養から外れたりと、いくつかのボーダーラインがあり、パートの時間を増やしても、手取りがそのまま増えるというわけにはいきません。
出典:TOWN WORK マガジン 2024/10/01

エキスパートの補足・見解

103万円の壁は年収の壁などとも言われ、課税対象となったり社会保険への加入により手取りが減少する境目となります。年収の崖と表現する人もいるようです。確かに、壁ではなく崖、「落とし穴」といった表現の方が、手取りの減少をうまく説明できていると言えるでしょう。

どの壁も最低賃金の引上げに伴う壁の引上げをしなかったために特に注目を集めており、政策的な不作為と言えそうです。この不作為により実質的な増税になっていることが、筆者がもっとも着目すべき点と言えます。

この年収の壁に限らず、賃上げをしているにも関わらず各種所得控除、特に給与所得控除を減額していることは、単なる所得控除の減少による増税だけでなく、賃上げという本来喜ぶべき事象が、翻って所得税率の引き上げにより所得税をもって国に回収される結果となります。

国民民主党の代表である玉木氏のスキャンダルにより、減税の勢いが削がれる懸念がありましたが、財務省のSNSに多くのコメントが付いているとニュースになったように、国民の多くは年収の壁の見直しによる減税と「手取り増」を望んでいるのではないでしょうか。

お金の先生/C FP/証券アナリスト/IFA

日本人が苦手なお金を裏も表も解説します。お金の情報は「誰がどんな立場から発信したのか見極める」ことが大切。寿FPコンサルティング、ライフデザインセンター代表。無料のFP相談・IFA相談マッチングサービスとして「ライフプランの窓口」「住もうよ!マイホーム」「アセマネさん」を運営。1978年生神奈川県藤沢市出身。慶応大学総合政策学部卒業後、金融関係のキャリアを経て有料FP相談を開始。東海大学では非常勤講師として実務家教員の立場から金融リテラシー向上の授業を担当。連載:会社四季報オンライン。著書:ダンナの遺産を子どもに相続させないで。メディア出演、メディア掲載多数。

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