iDeCo掛金7000円アップで今からでも始めるべき?
政府がiDeCoの掛金上限を7000円引上げる方針という報道がありました。2024年は新NISAが注目を浴びましたが、2025年はiDeCoが注目を浴びる順番なのでしょうか。今回は、そもそもiDeCoってどんな制度なのか、7千円の増額となり今からでもやるべきなのか考えます。
■iDeCoのメリット
(1)拠出するだけで節税になる
iDeCoの拠出額(積立額)は全額が所得控除の対象となります。年末調整や確定申告時の小規模企業共済掛金控除はiDeCoの掛金を含めることができるのです。全額とはいえ、働き方によって上限がことなります。
詳しくはiDeCo公式サイトで確認しましょう。
(2)運用益は非課税である
新NISAで注目を集めている運用益の非課税ですが、確定拠出年金にも備わっています。しかも、投資期間中の銘柄買換えの制限もありません。iDeCoは実は優れモノなのです。
(3)受取時に税制優遇がある
(1)で所得控除の対象となった拠出額は、受け取る際に所得税の課税対象となります。しかし、受け取るときの税負担が重くては加入するメリットがありません。そのため、受取時にも税負担を軽くする仕組みが設けられています。それが、退職所得控除と公的年金等控除です。
(4)差押え禁止財産である
個人事業主や経営者は仕事の関係で、借入をすることがあります。借入返済が滞ったときに、個人事業主や連帯保証人となっている経営者は、財産を換金して借入を返済する必要があります。しかし、iDeCoに投資した財産は、差押え禁止となっているため、仕事が立ち行かなくなったとしても老後資金を一定額確保できる可能性があります。
■iDeCoの注意点
(5)専業主婦(夫)は節税効果が無い
専業主婦(夫)で収入がまったくない人も、今話題の103万円の壁に届かない収入の人は、所得税・住民税が非課税だと思われます。
非課税の人は、そもそも税金を払っていませんので(1)の節税効果がありません。にもかかわらず、所定の手数料が発生しますので、必要のないコストを負担しているように見えます。
(6)住宅ローン控除との相性が悪い
住宅ローン控除の適用期間中、所得税が全額還付されている場合、iDeCoの節税効果が激減します。加えて住民税の納税額が少ない場合は、iDeCoの節税効果がさらに薄まります。
(7)育休中・産休中
育休中、産休中は手当を受取り、給与が発生しません。手当は非課税ですので、所得税も住民税も課税されません。
(8)解約できない
65歳(受給開始年齢は選べます)で一時金か年金を受取るまでiDeCoでつみたてたお金を解約することはできません。人生何があるかわかりませんので、突如お金が必要になっても大丈夫な程度のお金で取り組みましょう。
(9)退職金と併用すると退職所得控除ができなくなる
退職所得控除は一定期間内の重複ができないようになっています。勤務先の退職金制度がある人はiDeCoの受取時期に注意しないと、(3)の受取時の税制優遇の効果が減少するかもしれません。
詳細はこちら
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2732.htm
(10)退職金の税制優遇が今後改悪される可能性
退職所得控除は、雇用の流動性の妨げになっているという「強引な」主張があり、今後改悪になる見通しです。数年先の税制の見通しは立ちますが、10年20年先の税制を予測することはできませんので、税制改正に伴い税的なメリットが減少する可能性がありそうです。
(11)元本確保型商品で運用すると物価上昇に負けて財産が目減りする
新NISAと異なり、元本確保型商品での運用ができるのがiDeCoを含めた確定拠出年金の特徴の1つです。ただし、元本確保型の場合、額面として元本が目減りする恐れはありませんが、実質的な価値は物価上昇に伴い下落します。
元本を守る意識が強いばかりに、結果として損をすることがないよう、投資信託等を上手に購入したいところです。
いかがでしょうか。新NISAとiDeCoのどちらがいいのか考えている人もいるかもしれません。iDeCoは新NISAよりもメリットとデメリットが多いので、来年から始めたい人は上記(1)~(11)をチェックするといいでしょう。